おふくろの味「はなびし食堂」の名物牛カツ
九州のほぼ中心に位置し、2千年以上の歴史を有する阿蘇神社から続く「門前町商店街」。その入り口近くに店舗を構える「古民家レストラン 阿蘇はなびし」は、牛カツの名店として県内外で知られています。連休にもなるとこの牛カツをお目当てに行列ができるほど。今回のお礼の品は、阿蘇名物はなびしの牛カツをご紹介します!
かつて「はなびし食堂」は商店街のメイン通りから一本入ったところにありました。現・代表取締役・宮本博史さんのお母さんが1997(平成9)年に開店した定食屋で、当時は学生も喜ぶスタンダードな定食を提供していたそうです。
このころ、博史さんはというと、福岡のハウスメーカーで営業職を経験したのち、カナダでログハウスについて学び始めたばかり。しかし、ご両親から「お店を手伝って!」との声を受け、帰国。故郷・阿蘇で建築とは畑違いの食の世界へ足を踏み入れます。
震災を乗り越え「古民家レストラン はなびし」をオープン
「ここでは顔見知りから野菜、米、肉といった必要な食材が全て手に入ります。しかもどれも新鮮でおいしい。僕は阿蘇でなければ食の仕事に携わることはなかったですね」。博史さんは、阿蘇だからこそ食の道にも魅力を感じることができたと語ります。
しかし、2016(平成28)年に発生した熊本地震で「はなびし食堂」は被災。店舗の立て直しを余儀なくされました。熊本市内からアクセスするための国道は壊滅的な状況となり、客足が途絶えてしまった阿蘇。博史さんは、それでもどうにか「はなびし食堂」の味をお客さんに届けようと、阿蘇に足を運べなくてもいいように通販事業をはじめることを決意。食品加工の工房を作ります。この工房で一つひとつ手作りされているのが、今回のお礼の品の牛カツ。その後、工房隣にレストランも構え、牛カツ重を目玉に人気のレストランになりました。
ヘルシーな赤牛だからこそ、牛カツ
博史さんは門前仲町商店街のコンセプト作りや阿蘇の特産品をPRするメニュー開発に携わり、地元を盛り上げる活動もされています。博史さんと牛カツの出会いもカナダから帰国後、商工会のメンバーであか牛のおいしさを全国に広めようと案を出し合っていたときに出てきたメニューの一つだったそうです。
熊本のあか牛は阿蘇の広大な草原に放牧され、健康な野草を食べて育ちます。まさにストレスフリーの環境です。よく歩くので肉質は赤身が多く、適度の脂肪分も含み、うま味とやわらかさ、ヘルシーさを兼ね備えています。「はなびし」の牛カツはそんなあか牛のもも肉を使用しています。「脂がのりすぎた牛肉を揚げると、どうしてもべちゃつきますが、赤身と脂の絶妙なバランスがよくさっぱりヘルシーなあか牛は、カツに最適だったのです」と博史さん。
開発期間は1年3ヶ月!絶対にはがれないうす衣
いざ牛カツの試作をはじめると意外な壁にぶつかりました。衣です。牛カツは豚カツと比べて衣がつきにくく、包丁を入れると衣が簡単にはがれてしまいます。最初の試作から牛カツに最適な衣を探し続けること1年3カ月。「試行錯誤の毎日でノイローゼになりそうなほどでした(笑)。牛カツをあきらめた仲間も出てきて、自分がやるしかないという思いで、ありとあらゆる100種類以上の粉を取り寄せては試す、というのを繰り返しました」と博史さんは当時を振り返ります。ようやく出会えたのは国産天然物の粉でした。
「はなびしが開発した牛カツの衣はきめが細かくサクっとしていて絶対に肉からはがれない。この技術は『はなびし』にしかありません。だからこそ、レストランで提供される牛カツはうすめの削ぎ切りなんですよ」。はなびしの自信と努力、そしてあか牛の旨みが詰まった牛カツなのです。
おいしさをそのままパッケージ
「絶品!あか牛のヘルシーな赤身 牛カツ」はすべて、はなびしの工房で手作りされています。衣づけまでしたあか牛を、食材の乾燥や、素材の香りが失われることを防ぎ、品質や鮮度を保ちながら食品を冷ましてくれるブラストチラーという機械を使い急速冷凍をします。これによってあか牛のおいしさをそのまま閉じ込めることができます。また、真空パックにすることで酸化も防ぎます。衛生的にも安心ですね。
ご自宅で「はなびし」特製牛カツの味を
せっかく届いたあか牛の牛カツ。自分で上手に揚げられるか不安…という方に、おいしい牛カツを揚げるためのコツをご紹介します。まず、今夜は牛カツ!と決めたら朝から冷凍された牛カツを冷蔵庫へ移しておきます。揚げる前に一度手に持ってみてお肉がくたっとたわむくらいの固さに解凍されていれば揚げごろです。次に、揚げ油にも一工夫を。ご自宅でお使いの揚げ油の中にスーパーなどで無料でもらえる牛脂を1個プラスしてみてください。そうすることで揚げ上がったカツのコクとうま味が増します。最後に180度の揚げ油で45秒揚げればレストランと変わらぬ牛カツのできあがり!
博史さんおすすめの食べ方は、ちょっといいワサビを勇気をもってたっぷりつけることです。あか牛の脂は甘味があり食べた瞬間に口の中に広がります。脂がワサビの辛さを包み、さらにツンと香るわさびが脂の甘味を際立てて、とても相性がいいんです。特製だし醤油タレもご一緒にどうぞ。
赤牛を食べて、阿蘇の草原を守る
最後に、博史さんが「全国のみなさんに伝えたい」と教えてくれたことがあります。阿蘇の大草原は千年も前から人の手によって維持されていることはご存知ですか?決して自然まかせではないのです。希少価値の高いあか牛は阿蘇の象徴であり、この綺麗な草原を維持するために欠かせない存在でもあります。彼らが草を食べ、有畜農家の生活が成り立つことで、阿蘇の原が健全に保たれています。100g(約1食分)の牛肉を食べると、およそ4畳半(7.5平方メートル)の草原が維持できるそう。皆さんもおいしくヘルシーなあか牛を食べることで、阿蘇の草原維持に参加しませんか?