今回ご紹介する北海道札幌市の返礼品は、「ファットリアビオ北海道」のチーズセットです。セットに含まれている「リコッタ」、「カチョカヴァロ」、「モッツァレラ」は、様々な大会で金賞や銀賞を受賞。チーズ製造における世界最高峰の歴史と技術を持つ南イタリアの農場「ファットリアビオ」のチーズマスターが作る美味しさを全国にお届けしています。 ファットリアビオ北海道CEOの高橋廣行さんに話を伺いました。
「日本のチーズは本場の味とかけ離れている」にショックを受ける
高橋さんは、北海道のコンテンツの商品化やPRなどをプロデュースするブランディング会社を経営しています。これまでも「札幌円山動物園白クマ塩ラーメン」をヒットさせるなど、地域に貢献してきた高橋さん。イタリアのチーズとの出会いは、約10年ほど前のことでした。イタリア南部のカラブリア州にある農場「ファットリアビオ」を訪れたとき、イタリア人から「日本のチーズはまるで、海外で食べる寿司のよう。本場の味とはかけ離れている」と言われたことにショックを受けました。
「北海道で作られる乳製品は世界でもトップクラスと思っていたので、外国の方からそのように思われていたことは衝撃でした。しかし実際にチーズを食べてみると、その意味が理解できました」と高橋さんは言います。「機械でチーズが作られることが多い日本に比べて、歴史に裏付けされた製法は、おいしい理由に説得力がありました」と、食がその国の文化であることを痛感したそうです。
北海道の牛乳とイタリアの技術の融合で最高のチーズが誕生する
小さいころからチーズに慣れ親しむ風土があるイタリアでは、チーズは食卓に欠かせない食品。各地方や家庭によって製法が異なり様々なチーズがあります。「イタリアのチーズ作りは長い歴史に培われた技術と文化を受け継いでいる。一方、北海道の牛乳は脂肪分が高く高品質。この二つが出会ったとしたら、どんな素晴らしいチーズが生まれるのだろう」という興味が頭をよぎりました。
そして、東京でイタリアンレストランを経営するエリオ・オルサーラさんと出会ったことで、それが「夢」から「現実」に変わります。エリオさんも日本でイタリアの伝統的なチーズを作る構想を描いていたのです。高橋さんとエリオさんの考えが合致し、2013年に北海道の牛乳とイタリアの伝統技術が融合したチーズ工房「ファットリアビオ北海道」が札幌市に完成しました。
イタリアの職人が丹精込めて作ったチーズを全国へ
創業当時からチーズ作りを担当するのは、カラブリア州出身のジョバンニ・グラツィアーノさん。カラブリア州出身。子どものころから父親にチーズ作りの手ほどきを受け、20歳でファットリアビオのチーズ農場で働き始めると、すぐに才能を発揮してチームの中心的なメンバーの一人に抜擢されました。乳製品産業の知識が広く、技術はもちろん、チーズに対する味覚も優れています。初来日で北海道の牛乳を使用したチーズを作ったときに「イタリアで作ったものよりも美味しい」と納得。そうして、ファットリアビオ北海道では、チーズ製造に必要な機械や道具類など、原料の牛乳以外は全てイタリアから導入し、「北海道の牛乳を使った“イタリアチーズ”の美味しさを日本中に伝えたい」という熱意を持ってチーズ作りに励んでいます。
数々の賞を受賞した自慢の3種類を召し上がれ
そんなファットリアビオ北海道がお届けする今回の返礼品は、日本でもおなじみの「カチョカヴァロ」、「モッツァレラ」、そして南イタリア原産のフレッシュチーズ「リコッタ」のセットです。リコッタは、豆腐で言えばおからのようなもの。チーズをつくる時に出るホエー(乳清)を再加熱して作られます。脂肪分が少なく、ミルクの柔らかな口当たりとさっぱりした食感が特徴で、豊かな風味とほんのりとした甘さが楽しめます。はちみつをかけるとチーズケーキのようなおいしさ。サラダやパスタにも最適です。
カチョカヴァロは、イタリア本国のD.O.P(産地名称保護)認証を受ける伝統的な製法で作られています。原料は北海道産100%の生乳と塩のみ。スライスしてそのまま食べても美味しいですが、サラダやパスタ料理にもよく合います。厚切りしたものをステーキのようにグリルや鉄板で焼いて食べるのもおすすめ。
モッツァレッラは、「パスタフィラータ」と呼ばれる南イタリア独特の製法によってつくられる、やわらかな弾力と癖のない味わいが特徴のフレッシュチーズです。イタリアでは多くの料理に使われていて、加熱しても、そのままでも楽しめます。タンパク質が多く含まれており、日々の生活で不足しがちなビタミンも摂取できる、体に優しいチーズです。
歴史に裏付けされた製法や作り手の思いを届けたい
ファットリアビオ北海道が、イタリア職人によるチーズ作りにこだわるのは、食文化を大切にしたいから。「機械によっておいしいものを作ることもできますが、歴史に裏付けされた製法や作り手の思いも届けたい」と高橋さんは言います。現在、札幌から約1時間の街に乳を搾る目的で羊の牧場をオープンする計画を進めています。高橋さんがイタリアのチーズに驚いたように、イタリア人がファットリアビオ北海道のチーズに衝撃を受ける日は近そうです。
北海道支部(北海道札幌市担当) / 吉田 匡和(よしだ まさかず)
札幌市出身、在住。社会福祉士の資格と経験を持つ異色の「おでかけ系ライター」。2016年にフリーライターに転向し、2017年に個人事業所「ブーレオルカ」を設立しました。「楽しさが伝わる」、「すべての人に有益である」、「記憶に残る」の3つを信条に執筆しています。
釧路や函館へのアクセスにおすすめなのが、丘珠空港(札幌飛行場)。空を見上げると丘珠空港から飛行機が飛び立っていました。