山梨県富士河口湖町
アメリカンな雰囲気を楽しむ住宅街をぶらり
2022.02.14
日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は、沖縄県浦添市にあるピザハウスのオーナー坂本昭司さんに「港川ステイツサイドタウン」をおすすめいただきました。
個性豊かな店舗がひしめく「港川ステイツサイドタウン」
沖縄県浦添市には、県内外の人から親しまれる「港川ステイツサイドタウン(通称:港川外人住宅街)」というエリアがあります。エリア内には、写真の自動販売機横のような看板がいくつか設置されており、割り振られた番号を目印に目当てのお店を探します。
エリア内には現在57戸(店舗43/一般住宅14)が入居しており、住宅街でありながらおしゃれな雑貨やカフェ、スイーツのお店がひしめく人気観光スポットです。ずらりと並ぶ建物の屋根・外壁は白で統一されており、屋根の庇(ひさし)・窓枠・ドアの色・装飾は入居者に決めてもらうシステム。建物の色にもそのお店の個性が現れているため、直感的に惹かれる色の店舗に入ってみると、素敵な出会いがあるかもしれません。
港川ステイツサイドタウンはもともと、1950年〜60年代に米軍基地関係者をターゲットとした賃貸住宅街として開発された場所(写真は当時の空撮映像)。
しかし築30年が経った1980年代後半には、老朽化が進み空き家が増えていったそう。そんな中、入居者がこの雰囲気を活かして雑貨やカフェを経営するようになったのです。その流れを受けて、2000年代からは空き家になった住宅を順次店舗へ誘致するようになり、現在に至っています。
今回、100年先に残したいスポットとして「港川ステイツサイドタウン」を紹介してくれたのは、敷地内に店舗を構える「ピザハウス」オーナーの坂本昭司さん。ピザハウスは1958年に旧コザ市でオープンしたアメリカンスタイルのレストランで、2017年にこの場所に移転オープンしています。
「開業当時、アメリカから安くお肉が手に入るようになったことから、先代が『沖縄県民にもうまい肉を食べてもらいたい』と店をオープンしました。店自体がアメリカの恩恵を受けてきた事実があることと、このアメリカンな雰囲気が好きで、ずっと残ってほしいと思います」とのこと。早速、港川ステイツサイドタウンを散策してみましょう!
アメリカ気分でバーガーをがぶり!
まずはじめに訪れたのが、ブルーの外壁と大きく書かれた「UFO」の文字が印象的な「UFO Burger & Sandwich CAFE」。一見なんのお店だろう?と覗き込みたくなりますが、実はここ、ボリューミーなハンバーガーが人気のカフェです。
店内は「アメリカ料理とリラックスする空間」をコンセプトに、3つの部屋に分かれています。入ってすぐのお部屋は、ヴィンテージ風のインテリアが特徴のメインルーム。
奥に進むとブルーを基調としたカジュアルでかわいらしいカフェルームがあり、子ども連れにうれしい完全個室のプライベートルームも完備されています。
人気メニューを聞くと、やはりボリューム満点なハンバーガーとのこと。中でもイチオシは写真の「プルドポークバーガー(1250円)」です。
アメリカの定番食であるプルドポーク(調味料に漬け込んだ豚の塊肉を、低温でじっくり調理し、BBQソースで味付けしたもの)を、つなぎを一切使用していない100%ビーフパティにあわせ、温玉やチーズ、レタスを焼きたてのバンズで挟んだアメリカンな一品。ぎゅっと押しつぶしながら、豪快にかぶりつきましょう!
店舗情報
お店の場所:ARIZONA No.55
営業時間:11:00〜18:00
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
電話番号:098-988-3658
URL:https://ufoburger.jp/
沖縄の手仕事をセレクトした「Proots」
お腹を満たした後は、沖縄のいいものが揃うセレクトショップ「Proots(プルーツ)」へ。沖縄の青い空にぴったりなビタミンカラーの外壁が目印です。
兵庫県出身の店主・萩原悠さんは「移住者目線で沖縄の文化を発信し、つくり手の想いも一緒に届けたい」と話します。
萩原さんが手に持っているものは「牧港硝子工芸」という、今は無き琉球ガラス工房の作品です。「この工房はすでに廃業しているので、こうした作品と出会える事は稀ですが、だからこそ惹かれてしまいます」と笑顔で教えてくれました。
「発信したいと思う商品だけを入荷する」という萩原さんが揃える商品は、どれも物語があり、心ときめくものばかり。店頭での販売だけでなく、定期的に作家さんのもとに取材に行き、丁寧に綴った物語をSNSで発信するのも萩原さんのこだわりです。
沖縄のいいものを発信するために「このハコが必要だった」と萩原さん。「どんな沖縄を伝えたいかと考えたとき、古いものや流行に左右されない物語を持っているものがいいと思いました。ここは歴史とともに育まれたエリアであり、独特の雰囲気が魅力です。この場所から発信したいと即決しました」と語ってくれました。
店舗情報
お店の場所:FLORIDA No.20
営業時間:12:00~17:00
定休日:水・第1土曜日
電話番号:098-955-9887
URL:http://instagram.com/proots_okinawa
外カリッ、中もっちりな黒糖カヌレ専門店
お買い物を楽しんだ後は、スイーツタイム!ということでやってきたのは、沖縄初の黒糖カヌレ専門店「ほうき星」。
焼き立てカヌレのやさしい香り漂う店内には、県産の緑茶やミルク、泡盛など、沖縄県産食材を使ったカヌレがずらりと並びます。
カヌレは全部で9種類(1〜2種類は季節により変わる期間限定商品)あり、どれも保存料・着色料は一切使用していません。多良間島(たらまじま)産の黒糖を使用したカヌレは、一般的なものと比べ砂糖とラム酒の量が半分ほど。ほんのりやさしい甘さで何個でもぺろりと食べてしまいます。
なるべく全種類食べてほしいからと、サイズが小さいのも魅力。表面はカリッと香ばしく、中はもっちりとした味わい深い黒糖カヌレをぜひ味わってみて。
店舗情報
お店の場所:NEVADA No.25
営業時間:11:30〜18:30
定休日:なし
電話番号:098-975-7825
URL:https://www.houkiboshi.jp/
とびきりおいしい一杯を淹れるコーヒーショップ
スイーツをGETしたら、最後はおいしいコーヒーで締めたいところ。ほうき星の斜め向かいには、焙煎工房「沖縄セラードコーヒー」と、直営店「Beans Store」があります。ちなみに焙煎工房は、港川ステイツサイドタウン内で最も古い店舗です。
Beans Storeに入ると奥に巨大な焙煎機が設置されており、焙煎後の絶妙なタイミングでコーヒーをいただくことができます。
直営店では、スペシャルティコーヒーの中でも特に厳選した豆の購入や、淹れたてコーヒーの購入が可能。実は沖縄セラードコーヒーは100%沖縄県産豆を栽培するコーヒー農家でもあり、収穫から販売まで一貫して行う本格コーヒーを味わうことができるのです。
「とにかくおいしい一杯にこだわっています」と話すのは、J.C.Q.A.認定コーヒーインストラクターの資格をもつ大城義貴(よしたか)さん。
豆のセレクトと焙煎しかり、一番こだわっているのは「お客さまの好みをしっかり聞くこと」。「コーヒーがおいしいかどうかを決めるのはお客さまです。その人にとって一番おいしいコーヒーはどういうものなのか、引き出すことを大切にしています」と教えてくれました。
そんなこだわりの一杯を早速淹れていただきました。雑味が一切ない、まろやかな口当たりにびっくり。コーヒーが苦手な人にも、好きになってもらう一杯を目指しているのだそうです。
店舗情報
お店の場所:NEVADA No.28(沖縄セラードコーヒーはNo.27)
営業時間:11:00〜18:30
定休日:祝日
電話番号:080-6486-4107
URL:https://beansstore.jp/
愛される仕事が、愛されるまちをつくる
港川ステイツサイドタウンを管轄する沖商不動産に、どのようにまちづくりを進めたのか問い合わせてみたところ「観光地にする戦略などは一切なく、この空間は借りている人たちが作り上げたものです。入居者それぞれの技術や品質の高さなどがうまく機能して、今に至っています」とのこと。ふと、紹介者である坂本さんのエピソードを思い出しました。
「もう少し小さい敷地を借りる予定だったけど、借りた敷地の隣に住んでいるおばあさんが『大好きなピザハウスが来るなら私はどくわ』と退去してくれたんです」。そして今回、取材したどのお店の方も「このまちの雰囲気が好き」だと口を揃えて言いました。誰かが先頭をきらずとも、それぞれがこのまちを愛しつつ、愛される仕事をすることで、まちが変わっていく。港川ステイツサイドタウンはそんな風に続いていく場所なのだなと感じました。
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施設名
港川ステイツサイドタウン
住所
沖縄県浦添市港川2-16-7
※営業時間や休業日は店舗により異なります。
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
地域ナビゲーター
沖縄支部 沖縄ライター
三好 優実
沖縄県那覇市在住。香川県で生まれ育ったのち、大阪や東京で仕事中心の生活を満喫していましたが、沖縄旅行で「人」の魅力にはまり、仕事をあっさり手放して移住。1年くらいで別の土地に行こうと思いきや、早6年が経過しました。ライター歴は5年。