砺波平野に心奪われる、絶景のスキー場

石川県金沢市から約30分。アクセス抜群のスキー場

スキー場といえば“冬に訪れる場所”と思っている人が多いかもしれません。しかし、冬はもちろん、季節問わず楽しめるスキー場が富山県南砺（なんと）市にあります。

東海北陸自動車道の福光ICから車で約15分。金沢市内からも約30分というアクセスの良さで人気を集めているのが、今回ご紹介する「イオックス・アローザスキー場」です。地元・富山の人はもちろん、石川や岐阜など近県からも多くの人が訪れています。

100年先に残したい場所に「イオックス・アローザスキー場」を紹介してくれたのは、富山県南砺市のワイナリー「ドメーヌ・ボー」の望月俊祐（しゅんすけ）さん。山梨県出身の望月さんは、結婚を機にパートナーの実家がある南砺市に移住。イオックス・アローザスキー場には毎シーズン訪れています。

「雪が降らない山梨県に住んでいたので、雪国の富山県に引っ越してから家族で遊びに行くようになりました。世代や季節問わず楽しめるし、インターから近いにもかかわらず景色が最高に美しいんです」と、望月さん。一年を通して楽しめるイオックス・アローザスキー場とはどんな場所なのでしょうか。

地元の人に愛される場所を目指してオープン

イオックス・アローザスキー場が位置する南砺市は、富山県の南西部にあるまち。西部の両白（りょうはく）山地、東部の高清水山地、南部の飛騨（ひだ）高地によりU字型に山地に囲まれた地形で、菅沼・相倉（あいのくら）地域では合掌造りの集落を見ることができます。

イオックス・アローザスキー場が誕生したのは1991年のこと。これまでのスキー場は遠方からスキー客が訪れ、何日も滞在するスタイルが主流でしたが、地元の人を中心に日帰りでも気軽に楽しんでもらおうと、南砺市と石川県金沢市にまたがるアクセスの便利な医王山（いおうぜん）にオープンしました。スイス・アローザ村と友好提携しており、リゾートを思わせる雰囲気も魅力の一つです。

今回はスキー場のキャラクター「イオッティ」と広報の川口由貴さんに見どころを案内していただきます。「イオッティは医王山から冬のシーズンになるとお客さんに会いに山から降りてくる雪男なんです。人前ではめったに話さないので、今回は私がイオッティの代わりにご紹介しますね」と川口さん。よろしくお願いします！

初心者からエキスパートまで幅広く楽しめるコース

まずはゲレンデについて教えてもらいましょう。「イオックス・アローザスキー場では初心者からエキスパートまで満足いただけるコースが揃っています。山麓のコースは斜面も緩やかなので、お子さんも安心して滑ることができますよ。平日はシニアの方、週末は20〜30代のグループやファミリーが多いですね」と、イオッティ＆川口さん。

北陸らしい高めの湿度ではあるものの、雪質はキメが細かく、エッジがかかりやすいので特にボードデビューの方におすすめだそうです。

そして、スキー客に大人気なのがゴンドラ。ゲレンデには5つのペアリフトがコースを縦断していますが、山麓から頂上まで一気に上ることができる全長1,650mゴンドラを利用すれば、リフトを乗り継ぐことなくロングクルージングを楽しめると中上級者から好評です。

さらに、イオックス・アローザスキー場では、アイテムやジャンプ台が設置された「スノーパーク」を併設。初心者もカッコいい技やジャンプにチャレンジできます。これまで滑走するだけだったスキー・スノーボードに新たな楽しみ方を発見できるかもしれません。

スキーデビューの子どもも安心。こんなスクールがほしかった！

イオッティが特におすすめするのが、3歳から参加できるスキーレッスン「イオッティキッズスクール」です。初めてのスキーでは「転ぶのが怖い」「濡れるし外は寒い」といった理由でスキーが苦手になってしまうことも。イオッティキッズスクールでは、まずは暖かい室内で、スキーの道具や滑り方に慣れていきます。専用のマットが敷かれているので、転んでも安心。無理なくゲレンデに出ることができるので、スキーデビューにぴったりです。

「私がスキーを始めた時は何度も転びながら滑れるようになった記憶があります。子どもの時にこんなスクールがあればと思いましたね。イオックスでスキーとの良い出合いを作っていただけたらこんなに嬉しいことはありません」と川口さんは目を細めます。

色とりどりの花に囲まれるグリーンシーズン

一般的なスキー場では、冬以外の季節はゲレンデの草刈りやリフトの保全を行いますが、イオックス・アローザスキー場では十数年前から一年を通して楽しめる取り組みを行っています。

そのひとつが「花」。敷地内では5月の連休前からシャクナゲが咲き始め、6月後半から7月にかけて紫陽花、ラベンダーを見ることができます。そして9月から10月にかけて咲き誇るのがキバナコスモス。ゲレンデが一面、オレンジの鮮やかな花で埋め尽くされます。満開の時期に開催される「キバナコスモスまつり」には、毎年県外からも多くの人が訪れ、思い思いに美しい景色を堪能しています。

その他、グリーンシーズン中はパークゴルフや「ジムカーナ」というモータースポーツも楽しめます。コテージも完備しているので、昼は散策、夜はバーベキューといった過ごし方もおすすめ。最近ではワンちゃん連れの方も多く、ドッグランも人気です。大自然のなかで思いっきり走り回れると、ワンちゃんも喜びそう！

山頂でしか見られない景色を楽しんで

山麓から頂上へと続くゴンドラはグリーンシーズンも大活躍。「天気が良い日は、遠く立山連峰や富山湾も望むことができます。山頂から見渡す砺波平野の景色をぜひ堪能してもらいたいですね」と、イオッティと川口さんは言います。

砺波平野では平野のなかにところどころ建てられている「散居村（さんきょそん）」という村落があり、その規模は日本最大。特に5月上旬の田植えの時期には、水が張られた田んぼに夕日が差し込み、黄金色に染まる田園風景を見ることができます。

さらに2年前からスタートした「ナイトゴンドラ」では、昼とはまた違った風景が楽しめると話題に。星空と夜景が幻想的な雰囲気を生み出し、夜のドライブスポットとしても人気を集めています。

いつの時代も心安らげる場所でありたい

「山頂からの景色は心が洗われるよう」と語っていたドメーヌ・ボーの望月さん。景色はもちろん、子どもから大人までいつ来ても笑顔になれる。そんなさまざまな取り組みが、何度も足を運びたくなる気持ちにさせるのかもしれません。

「今の子どもたちが大きくなっても、安らげる風景を残したいですね。これからもこの場所を活かした過ごし方を提案していきたいです」と、イオッティと川口さん。世代から世代へ。100年先もこの美しい光景は変わることなく、訪れた人たちを癒し続けるはずです。