香川県小豆島町

オリーブの島・小豆島でフォトジェニック旅

2021.02.11

この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。
今回スポットを紹介頂いたのは、小豆島町の苗羽(のうま)地区の地元商社「株式会社島一」の代表取締役社長・照下敦士さんです。

青い空に白い雲!瀬戸内海に浮かぶ小豆島

みなさんは小豆島(しょうどしま)という島をご存知でしょうか?香川県小豆島は、瀬戸内海・播磨灘(はりまなだ)にある、穏やかで美しい海と山に恵まれた島。今回訪れたのは、小豆島の東に位置する小豆島町です。ここは壺井栄(つぼいさかえ)さんの小説をもとにした映画「二十四の瞳」のセットを改築した「二十四の瞳映画村」や、日本三大渓谷美として知られる寒霞渓(かんかけい)など、数多くの観光客が訪れることでも有名な地域です。

そんな小豆島町の苗羽(のうま)地区にある「株式会社島一」は、300〜400年前は穀物の原料を扱っており、過去には「島一醤油」という醤油屋を営んでいたという歴史がある地元商社。代表取締役社長・照下敦士(てるしたあつし)さんが100年先まで残したい小豆島町の場所、それは「道の駅 小豆島オリーブ公園」だと言います。

「オリーブ公園は、小豆島のオリーブの歴史が詳しく分かるように、100年前からの先人たちの努力によって守られてきた場所なんです。ここに来ると、オリーブを我々が100年先の後世にも伝えて行かなければならないという事を実感させられます。島の人も観光客も楽しめるスポットで、広い敷地に植えられたオリーブの木々や風車の景色が特におすすめです。時期によってオリーブの収穫体験も可能なんですよ」

小豆島で活躍する照下さんが紹介してくれた「道の駅 小豆島オリーブ公園」に早速行ってみましょう!

フォトジェニックな「道の駅 小豆島オリーブ公園」

小豆島の草壁港から海沿いに自転車を走らせること約15分(車で約5分・最寄のオリーブ公園口バス停から徒歩5分)。海が見える小高い丘に位置するのが、「道の駅 小豆島オリーブ公園」です。約8haの土地に約2000本のオリーブの木が植えられており、小豆島のオリーブに関する歴史を学ぶといったさまざまな体験ができるということ、そして近年ではフォトジェニックなスポットが多々あることから、小豆島でも有数の人気観光スポットになっています。

日本のオリーブ栽培発祥の地・小豆島

ところで、「小豆島といえばオリーブ」というほどオリーブのイメージが定着しているこの島ですが、その始まりは一体どんなものだったのでしょうか?

小豆島にオリーブがやってきたのは1908年のこと。日露戦争で勝利した日本が、北方海域の漁場で獲れた魚介類を缶詰にして保存することを目的とし、オリーブオイルの国内事業を画策したことがきっかけでした。三重・鹿児島・香川を舞台にオリーブの試験栽培が始まり、唯一結実に成功したのが小豆島のオリーブだったことから、小豆島は「日本のオリーブ栽培発祥の地」として知られるようになったのです。

オリーブ栽培に試行錯誤を重ねてきた歴史の中で、過去に二度発生した土石流災害により荒廃してしまったオリーブ畑を再生すること、そしてまちづくりの一環として地域の資源であるオリーブに着目したことから、1990年にオープンしたのがこの小豆島オリーブ公園でした。

なだらかな丘に広がるオリーブ畑には、19品種のオリーブが植樹されています。青く光る内海湾(うちのみわん)を眺めながらただのんびりと過ごす時間は、日常を忘れて自然に癒やされるひととき。オリーブ栽培に適した気候と先達たちの努力の積み重ねによって今日も元気に育つオリーブたちを見て、100年を超える歴史に思いを馳せます。

魔女のほうきで空を飛んでみよう

オリーブ公園の象徴ともいえるのが、こちらの「ギリシャ風車」。小豆島と姉妹島であるギリシャのミロス島との友好を表し建設されたものです。

青い空、白い雲、緑の芝生に白い風車。この場所で「魔法のほうき(園内のオリーブ記念館にて無料貸し出し)」にまたがってジャンプした瞬間を撮影すると、風景と相まって「魔女の宅急便」の主人公になったような写真が撮れる人気のフォトスポットです。

映画「魔女の宅急便」の世界へようこそ

「なぜ小豆島で魔女の宅急便?」と思った方も多いのではないでしょうか。実はオリーブ公園の隣接地が、2014年に公開された実写版映画「魔女の宅急便」のロケ地として使用され、当時のオープンセットをそのまま公園内に移築し、現在「雑貨コリコ」として運営しています。店内ではオリーブや四季の花々をあしらったハンドメイドのアクセサリー、ギリシャ風車をモチーフにしたグッズなどを販売しています。

店内は隅々まで凝っていて、そのどれもが目をハートにしてしまうくらいのかわいさ。まるで物語に入り込んでしまったかのようなこの空間を、ぜひあなたも現地で感じてみてくださいね。

自然の恵みに触れるオリーブ収穫体験

秋になるとオリーブの収穫時期がやってきます。毎年10月・11月に行われる「オリーブ収穫祭」では、オリーブ収穫体験、搾油(さくゆ)場見学、オリーブオイルの試飲などが可能。普段はなかなか知ることができないオリーブオイルがつくられる工程を、見て聞いて体験できる人気のイベントなのだそう。

お土産なら「道の駅 オリーブ記念館売店」へ

園内の中心にある「オリーブ記念館」にやってきました。こちらには、小豆島におけるオリーブの歴史を学べる「オリーブまるごと情報ギャラリー」や、小豆島産オリーブオイルを中心に、化粧品、菓子、工芸品などのお土産に出合うことができる「道の駅 オリーブ記念館売店」が併設されています。

中でも要チェックなのが、この実店舗とオンラインショップのみでしか取り扱っていないというオリーブ公園のオリジナル商品たち。「小豆島オリーブ公園エクストラバージンオリーブオイル(写真右)」は、2019年度日本オリーブオイル品評会にて最優秀賞である農林水産大臣賞に選ばれたオリーブオイル。なんとオイルの鮮度を示す酸度(通常0.8%以下のものをエキストラバージンオリーブオイルと呼ぶ)が0.08%という、エキストラバージンオリーブオイルの中でも最高峰のもので、王の証と呼ばれるほどの鮮度と高品質を誇るオイル。爽やかな香りとフルーティーな味わいが特徴です。

商品化してすぐに完売したほどの人気だという「オリーブご飯の素(写真左)」や、「小豆島産オリーブオイル使用 いわしのオリーブオイル漬け(写真中央)」も、小豆島旅行のお土産にぴったりのラインナップになっています。

小豆島にしかないものの魅力を伝えていきたい

専務理事の城博史さん(写真右から2番目)と営業推進部係長の佐伯真吾さん(写真右)は、お二人共に小豆島の出身。城さんは前職時代を含め、オリーブ公園と関わり続けて約20年。「いかにして観光客の方に楽しんでもらうかを考えることが一番大事だと思っています。公園には、皆さんにいい思い出を作ってもらうための仕掛け作りがたくさんあることが自慢なんです」。来園者の方が喜んでくれること、そしてそれが地域の雇用にもつながっていることにやりがいを感じていると話してくれました。

佐伯さんは、公園にやってきた子どもたちや団体客を案内することも多い、いわばオリーブ公園のプロフェッショナル。「来ていただいた方々には、ここでいろんな思い出を持って帰ってもらいたいなと思っています」そう話す佐伯さんを見て、その親しみやすい笑顔がきっとオリーブ公園の魅力のひとつでもあるのだろうな、と感じました。

公園には、今回紹介した他にも、ハーブガーデンの温室、カフェ、オリーブの路、温泉など一日中楽しめる施設がたくさん。

「ここに来る価値があると思ってもらえるように、小豆島産のオリーブを生かした魅力ある商品や仕掛けを増やしていきたいんです」。そんな目標を掲げて日々邁進を続ける「道の駅 小豆島オリーブ公園」には、訪れる方々に楽しんでもらうためのおもてなしの心がたくさん散りばめられていました。

<今回の旅スポット>

施設名
道の駅 小豆島オリーブ公園

住所 
香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1

お問合せ 
0879-82-2200

アクセス 
小豆島オリーブバス「オリーブ公園口」下車 徒歩約5分、小豆島オリーブバス「サン・オリーブ」下車 徒歩約0分

営業時間 
8:30〜17:00(年中無休)

https://www.olive-pk.jp

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

山田 芽実

中部支部 愛知県ライター
山田 芽実

香川県で生まれ育ち、米国・京都・東ティモールを経て現在は愛知県名古屋市在住。土地やそこに住む人たちの「すてき」をゆるっとズバッと発見中。絵を描いたり、デザインをしたり、写真を撮ったりしています。