愛知県名古屋市

感動の瞬間に行ってみた!名古屋港編

2023.06.06

『日本を代表するモノづくりが、世界へ旅立つ港を訪れる』

そのとき、その瞬間でなければ決して出会えない日本の絶景を紹介する「感動の瞬間」シリーズ。この記事では、日常や普段の旅行ではなかなか見ることのできない感動スポットに、ふるさとLOVERSナビゲーターが旅人となって訪問。その土地に旅がしたくなる周辺情報と一緒に、みなさまをご案内します。今回の感動の瞬間は、愛知県にある「名古屋港」がテーマです。中でも、名古屋市港区にある金城ふ頭を中心に巡ってきました。  

おすすめモデルコース

「感動の瞬間×名古屋港」

「感動の瞬間」公式サイトより
「感動の瞬間」公式サイトより

日本を代表する産業といえば、モノづくり。なかでも自動車は、世界中に日本製のファンがたくさんいます。そんな自動車産業のお膝元が、愛知県。世界で指折りの生産量を誇るトヨタ自動車をはじめ、各国の自動車メーカーとも強いつながりを持つ自動車部品のサプライヤーが数多く存在しています。今日も愛知県でつくられた自動車が、いろいろな国へと旅立つ。その出発地となるのが、名古屋港です。名古屋市、知多市、東海市、弥富市、飛島村の四市一村にまたがる、全国でも珍しい港を、ふるさとLOVERSナビゲーターの小林が訪れました。地元の人にもあまり知られていない魅力ある名古屋のスポットとともにご紹介します。

  13:00 モノづくり愛知のチカラを感じる名古屋港散策

写真提供/名古屋港管理組合
写真提供/名古屋港管理組合

2002年から21年連続で貨物の総取扱量が日本一。自動車に加えて、鉄鉱石や小麦、液化天然ガスなど、さまざまな貨物を搭載した船舶の往来が盛んな名古屋港。その中でも、「まずはこれを絶対に見よう!」と決めていたものがありました。自動車の船積みです。

名古屋港から世界に輸出している自動車の数は、2022年で120万台。全国でもダントツの実績です。1日に換算すると約3300台もの自動車が、今日もどこかの国に旅立っていることになります。

各地の工場からトラックで運ばれてきた“輸出待ち”の自動車が、港内のモータープール(自動車保管場所)に整然と並ぶさまは、名古屋港ならではの光景。その様子を見るために、名古屋市営金城ふ頭駐車場の上層階に行きました。そこから目に入ってきたのは、数多くの自動車が整列していると同時に、1台また1台と、新たに自動車が寸分違わず並べられていく光景でした。少しずつ、駐車場が自動車で埋められていく様子は、パズルのピースが埋まっていくようで、「完成するまで見ていたい」と思わせるものでした。

そんな光景を支えるのが、自動車を正確無比にそろえる職人技。トラックに積み込まれた自動車を少しの傷も付けることなく、衝撃も最小限に抑えて負荷を減らし、隙間なく並べていく。そんな技を楽しむのも、ここ名古屋港ならでは、かもしれません。

金城ふ頭を散策したあとは、金城ふ頭中央緑地でゆったりとした時間を過ごすのが筆者のおすすめコース。小高い丘もあり、そこにあるベンチに座れば、沖合を行き交う船舶をはじめ、港らしい景色を楽しむことができます。名古屋港は地理的に波が比較的穏やかな港ですが、津波や高潮などから暮らしを守るため、高潮防波堤など防災設備の整備も行われているそうです。

時間はあっという間に過ぎて、夕方に。改めて名古屋市営金城ふ頭駐車場に移動しました。目的は、この時間だからこそ見られる、伊勢湾岸自動車道の光景を楽しむためです。名古屋港に自動車を運送するトラックが必ずと言っていいほど通るのが、伊勢湾岸自動車道です。その道路を支える巨大な橋もまた、名古屋港の主要な観光スポットになっています。夕日に照らされる姿は、愛知県の自動車製造を支える強さや雄々しさを感じました。

施設情報はこちら

施設名

金城ふ頭中央緑地

住所

愛知県名古屋市港区金城ふ頭3-2

電話番号

052-654-7839(名古屋港管理組合)

 

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施設名

名古屋市営金城ふ頭駐車場

住所

愛知県名古屋市港区金城ふ頭2-7-2

電話番号

052-389-5580(8:00〜20:30) ※展望に興味のある方は左記へお問い合わせください。

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  17:00 名古屋のシンボルにある、アートなホテルに宿泊

写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA
写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA

名古屋港を後にして、本日の宿泊地へ。運転すること30分、名古屋市の久屋大通に到着しました。近年、開発が進むエリアで、日中は芝生でくつろぐ地域の方々、店舗でランチを楽しむ会社員、スポーツを楽しむ学生など、たくさんの人で賑わっています。

そんな久屋大通にある名古屋市のシンボルが、テレビ塔。1954(昭和29)年、日本で初めて誕生した電波塔で、約70年にわたり名古屋市の発展を見守り続けてきました。そのテレビ棟内で2020年にオープンしたのが、「THE TOWER HOTEL NAGOYA」です。

名古屋市の真ん中に誕生した「THE TOWER HOTEL NAGOYA」は、さまざまなジャンルで活躍する東海地区のアーティストとのコラボレーションで創造したアートホテル。全15の客室は、東海地区にゆかりのある10名のアーティストがプロデュース。アーティスト自身が子どもの頃にテレビ塔を上ったときに見た光景を表現した壁絵、繊維の町・一宮市の織物を活かした内装…。客室ごとに、いろいろな遊び心や想いが隅々まで込められています。しかも、時が経てば、アーティストのそのときの想いによって同じ客室でも空間が大きく変わる可能性があります。実際に、オープンから3年もたたないうちに「今とは違う表現をしたい」と、新しいアート空間に変貌した客室も少なくありません。宿泊するときに応じて、同じ部屋でも、違う表情を楽しめるホテルなのです。

加えて、特筆すべきものがあります。部屋に入ったとたん、目に飛び込んでくる鉄骨です。実はこれ、今もテレビ塔を支えている鉄骨なんです。部屋に鉄骨があるホテルは、世界中を探しても、THE TOWER HOTEL NAGOYAのみでは、と言われているほどです。

写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA
写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA

他にもたくさんの感動や驚きがあったのですが、特に印象的だったのが食事です。4階にあるレストラン「GLYCINE(グリシーヌ)」は、ホール内が映像インスタレーションやオブジェなど、さまざまなアートで飾られています。なかでも驚いたのが、オープンキッチン。シェフの技を堪能しながら料理がつくられていくさまは、まさに「見ておいしい光景」です。また、地場の食材をふんだんに使い、食器も東海地区に縁がある陶芸家の作品を使っていることも、こだわりのひとつだそうです。

写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA
写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA

今回の宿泊では、夕食と朝食を楽しみました。夕食は仔牛や鮮魚などをメインにしたコース料理。季節によって旬の食材を選び、メニューを変えるため、訪れるたびにいろいろな表情や味が楽しめそうです。

写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA
写真提供/THE TOWER HOTEL NAGOYA

翌日の朝食も、妥協は一切なし。アーティスティックな盛り付け、やさしい味わいが印象的。この感動を「記憶に残る朝食」と表現するお客さまもたくさんいるほどです。

スタッフの皆さんから、名古屋市とテレビ塔のつながり、アーティストの想いや遊び心などを伺い、空間を堪能する。短い滞在時間でも、見どころがどんどん増えていく。聞けば聞くほど楽しくなり、また利用したくなるホテルでした。

施設情報はこちら

施設名

THE TOWER HOTEL NAGOYA

住所

愛知県名古屋市中区錦3-6-15先

電話番号

052-953-4450

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  10:00 「舞雀」で、こだわりの和菓子を堪能

THE TOWER HOTEL NAGOYAをチェックアウトしたあと、どうしても行きたいところが。名古屋市中川区にある和菓子屋「舞雀(まいすずめ)」です。半世紀以上の歴史を持つ同店で、今、代表として店舗を営むのは、大塚裕二さん。和菓子の奥深さに魅せられ、和菓子をこよなく愛するご主人です。

店内には、どら焼き、草餅など、いろいろな和菓子がズラリ。すべて大塚さんのこだわりが詰まった一品です。たとえば上用饅頭。使うのは、三重県産の伊勢芋と北海道芽室産の小豆。あんこをつくる工程も炊く、濾(こ)すなど一つひとつにおいて妥協は一切ありません。こしあんをつくるにしても、きめが細かくなりすぎると苦みが出てしまう。わずかなバランスのずれにも妥協せずつくりあげた上用饅頭は、多くの常連客から好評です。

また、パッケージへのこだわりが強いのも大塚さんならでは。店舗でういろうをいただいたのですが、このパッケージがすごくかわいい!そして、高級感とあたたかさに満ちあふれています。伺ったところ「和菓子の良さを引き立たせつつ、時代に合うパッケージにしています」とのこと。なるほど、パッケージも和菓子の大切なポイントというわけです。

もちろん、味も絶品。食感は、もっちり。しつこくない上品な甘さです。桜、黒などさまざまな味があり、バリエーションに応じて香りもさまざま。今も一本一本、店舗での手づくりを続けています。「手づくりの和菓子をつくり続けたい」という大塚さんのこだわりも隠し味となって、ほっこり、幸せなひとときを過ごすことができました。

店舗でういろうをいただいている間、ひっきりなしに地元の常連客が訪れていた光景も印象的でした。大塚さんが大切にしているのは、本当においしい和菓子を地域の皆さんが手の届く価格で提供すること。「今日はどら焼きをちょうだい」「ここのカステラ、息子が大好きでね。またお願いできる?」など、いろいろな注文に笑顔で対応する大塚さんを見て、想いがしっかり届いていることを感じました。でも大塚さんは「もっとおいしい和菓子をつくって、喜んでもらいたい」と思っており、今も、よりよい素材を求めて、和菓子を研究する仲間と一緒に全国を飛び回ったり、新商品づくりに挑戦したりしているそうです。

次、訪れたときは、どんな和菓子で楽しませてくれるんだろう。そう思いながら、店舗を後にしました。

施設情報はこちら

施設名

舞雀 中郷店

住所

愛知県名古屋市中川区中郷3-385-2

電話番号

052-351-6277

営業時間

8:30~19:00

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

名古屋港を改めて訪れて歩いてみると、いろいろな国に輸出される自動車の多さが想像を超えており、純粋に驚きました。同時に「日本車に乗ることを心待ちにする人が世界中にたくさんいる」と感じられたのも、自分のなかで貴重な発見でした。旅の始まりと終わりで、名古屋港への印象が大きく変わったように思います。名古屋の新たな観光の魅力にも触れられて、有意義な旅となりました。

地域ナビゲーター

小林 宏輔

中部地方 ライター
小林 宏輔

さまざまな広告の企画・制作に携わっています。動物が好きで、なかでも海の生き物が大好き。出張では、その地にある水族館や海洋博物館に行くことをひそかな楽しみにしています。仕事場でも、趣味を兼ねて、世界各国の海水・淡水フグやヘビを飼っています。