長崎県雲仙市

五感が喜ぶ街・雲仙で味わう美食と温泉

2023.03.16

長崎県の南東に位置する島原半島。胃袋のような形をしたこの半島は、豊かな土壌と海に恵まれ、効能の異なるさまざまな温泉が湧き出るなど、地球のめぐみや息吹をそこここで感じられるエリアです。今回は雲仙市にある2つの温泉街や美しい自然、この土地ならではのグルメなど、五感すべてで旅を楽しめる、雲仙市での一泊二日の旅をご紹介します。

おすすめモデルコース

1日目

  15:00 大地の息吹に満ちた雲仙地獄を望む温泉宿へ

島原半島のほぼ中央に位置する雲仙岳に抱かれるのが、今回の旅のスタート地となる雲仙温泉郷です。この場所を代表する観光スポットといえば、大地から立ち上る水蒸気が印象的な「雲仙地獄」。

夜になると地獄の声が聞こえると言われる「大叫喚地獄」や、2021年にその名がつけられた「いぶき地獄」など、いくつもの“地獄”が訪れる人たちを迎えてくれます。そんな雲仙地獄のすぐそばに建つのが、本日の宿泊地である「雲仙九州ホテル」です。

明治初期には欧米人の避暑地として知られるようになった雲仙。雲仙九州ホテルはこうした流れを汲み、当時、上海航路の洋食の料理人をしていた創業者が1917(大正9)年に立ち上げたというルーツをもつホテルです。そのため食事は洋食がメイン。島原半島の食材を使い、各国のさまざまな料理が楽しめる「世界の食紀行」をテーマとしたコースが堪能できます。

写真提供/九州雲仙ホテル
写真提供/九州雲仙ホテル

雲仙九州ホテルの特徴のひとつが、「地方の親しみ」を大切にしたおもてなし。目指すのは「ホテルのスタッフとお客様」よりも、もう少し話しやすい間柄です。その関係はまるで、ときより会いたくなる気心の知れた友人、ともいえるかもしれません。

客室を訪れた際には、窓からの景色にきっと驚くはず。全25室ある部屋のほとんどから雲仙地獄を望むことができます。全室に完備された半露天温泉にゆったりと浸かりながら、五感で雲仙地獄と雲仙の大地の恵みを感じられる空間はまさに至極の一言。

さらに、屋上ラウンジから見下ろす雲仙地獄は、このホテルからしか見られない特別な風景が広がります。2階のカフェバー共にフリードリンクなのはうれしいポイント。大切な人と非日常を味わうことができます。

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施設名

雲仙九州ホテル

住所

長崎県雲仙市小浜町雲仙320

電話番号

0957-73-3234

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  20:00 美しい夜空と自然を感じる場所へ

写真提供/雲仙諏訪の池ビジターセンター
写真提供/雲仙諏訪の池ビジターセンター

雲仙の夜を楽しむなら、雲仙九州ホテルから車で20分ほどの場所にある「雲仙諏訪の池 ビジターセンター」に向かうのがおすすめ。島原半島の豊かな生態系や自然を感じられる展示やコンテンツが用意されています。なかでも、ぜひ体験してほしいのが、九州でも屈指の大きさを誇る口径250mm屈折式大型望遠鏡から望む星空です。

毎週土曜に加え不定期で夜に行われる星空観察会では、夜空から雲仙を見守る四季折々の天体や星座が観察できます。日によっては季節の星座や神話についての話が聞けるイベントも。雲仙の自然の美しさとともに、雲仙から望むはるかな世界に思いを馳せながらふけていく夜を堪能してみませんか。

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施設名

雲仙諏訪の池ビジターセンター

住所

長崎県雲仙市小浜町山畑3952-1

電話番号

0957-76-5010

開館時間

9:00~17:00

休業日

毎週水曜日(休館日が祝祭日の場合は翌日休館)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

2日目

  10:30 100年続く和菓子の老舗「沖田製菓舗」

雲仙の景観と自然を堪能した次の日は、グルメで心も体も満たす旅へ。2日目は雲仙温泉郷から車で20分ほど走った場所にある「沖田製菓舗」からスタートです。1912(明治45)年に創業した千々石(ちぢわ)地区にある老舗製菓店では、100年以上作られ続けてきた、虎柄が特徴的なとら巻、そしてどら焼きの2つを販売しています。

店主を務めるのは4代目の沖田 慎太郎(おきた しんたろう)さん。県外で和菓子職人として働いたあと、跡取りとして店舗のある雲仙の千々石地区に戻ってきました。しばらくはいろいろな種類の菓子を売っていましたが、「和菓子屋の命」ともいえるあんこを使った2つの和菓子を専門に販売することを決めたといいます。

実はどら焼きを始めたのは、沖田製菓舗の歴史とも言えるとら焼きを後世に残すとともに、このまちの雇用を生み出すためだといいます。沖田家に代々受け継がれた技と技術が活かせるだけでなく、とら焼きとどら焼きは同じ材料で作れること、何より方法を学べば誰もが作れることからどら焼きの製造を決めたそうです。

もちろんおいしさにも妥協しません。一口かぶりつけば、優しい甘さのあんこが心も体も満たしてくれます。店頭にはいちごや栗など、地元食材をできるだけ取り入れた、数種類のどら焼きが並んでいます。お店だけでなくこのまちの雇用も守り、次代へとつないでいく。店主の覚悟がおいしさにあらわれているのかもしれません。

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施設名

沖田製菓舗

住所

長崎県雲仙市千々石町甲173-5

電話番号

0957-37-2065

営業時間

10:00〜17:00

休業日

水曜、日曜

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  12:00 「海鮮市場 蒸し釜や」で地元食材の蒸し料理を楽しむ

和菓子を堪能したあとは、この土地ならではの料理が楽しめる「海鮮市場 蒸し釜や」へ。沖田製菓舗から南へ約15分ほど車を走らせると、雲仙市のもう一つの温泉街が見えてきます。ここが小浜温泉です。標高700mの場所にある雲仙温泉郷が山の温泉街だとしたら、こちらは海の温泉街。日本一長い足湯や間欠泉など、雲仙温泉郷とは異なる風景を楽しむことができます。

海鮮市場 蒸し釜やは、100℃近い源泉から立ち上る蒸気を使ったさまざまな蒸し料理が堪能できるお店です。食材はできるだけ島原半島でその日とれた、季節ごとの味覚を準備。彩り豊かな野菜や魚介類、たまごや点心など贅沢なラインナップに、どれを食べようか迷ってしまいます。

オーナーの山下 隆宗さんにおすすめメニューを伺うと「蒸し豚セットや蒸し地魚セットが人気」とのこと。悩んだ挙げ句、蒸し地魚セットにアラ汁とご飯、そして地元でとれた牡蠣をつけていただくことにしました。外に据え付けられた蒸釜に食材を入れるのはスタッフにおまかせ。ソワソワしながら待つこと数分…。蓋を開くと、水蒸気とともに蒸し上がった野菜や魚たちがおいしそうな顔をして現れました。

橘湾を望む店内で、まずは地魚のタイをポン酢を付けてパクリ。噛むたびに分厚い切り身に凝縮されたうま味が溢れだします!続いて野菜を一口。蒸気でより甘みが増しているので、何もつけなくても一つひとつがごちそうのようです。アラ汁や牡蠣も、全てがお腹と心に染み渡りました。

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施設名

海鮮市場 蒸し釜や

住所

長崎県雲仙市小浜町マリーナ19-2

電話番号

0957-75-0077

営業時間

11:00~15:00(L.O.14:30)/17:00~21:00(L.O.20:00)

休業日

火曜、木曜夜不定休

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

「大満足」。今回の旅の最後に出た言葉です。海と山の幸が味わえるだけでなく、歴史や文化、地球の息吹を感じながら温泉で癒やされる。そんな贅沢な旅を味わえるのが、雲仙の旅の特徴だと改めて感じました。訪れるたびに表情が変わるのもまた、楽しみの一つ。実際に訪れた人にしかわからない「五感で味わう魅力」にあふれた雲仙、あなたもきっと好きになるはずです。

地域ナビゲーター

古地 優菜

九州支部 地域ナビゲーター
古地 優菜

奈良県出身。長崎県諫早市在住のクラウドフリーライター。WEB・紙を問わず、さまざまな媒体のライティング・企画・ディレクション・校正を担当。近年は地方創生事業にも取り組んでいる他、地方で食べていける「地域ライター」の育成事業などにも寄与。2018年 国家資格キャリアコンサルタント取得。