静岡県三島市
尾道の情緒と島の開放感を味わう自転車旅
2022.07.23
瀬戸内海に面し、古くから海運による物流の集散地として繁栄してきた広島県尾道市。寺社と民家が混在する坂の多いレトロなまちで、2015年に「箱庭的都市」として日本遺産に認定されています。映画や文学のまちとしても知られる情緒あふれる土地ですが、尾道水道を挟んだ対岸の島々に渡れば、豊かな緑と瀬戸内海の絶景が織りなす、また違った魅力に出合えます。 尾道市と愛媛県今治市までの島々を結ぶ通称「しまなみ海道」は “サイクリストの聖地”とも呼ばれ、さまざまなサイクルスポットが充実。尾道市街地から島へ、自転車に乗ってひと味違う旅を体験してみませんか。
おすすめモデルコース
1日目
- 12:00 定番の尾道ラーメンを海岸通りで満喫
- 13:30 尾道のシンボル「千光寺」で絶景に出合う
- 16:00 歴史と手仕事が紡ぐ帆布製品をお土産に
- 17:30 サイクリストフレンドリーな宿でほっと休息
2日目
- 11:30 開放的な景色と共に味わうアートなチョコレート
1日目
12:00 定番の尾道ラーメンを海岸通りで満喫
尾道市街と対岸の向島(むかいしま)を巡る旅の始まりは、海岸通り沿いにある「尾道ラーメン 喰海(くうかい)」から。ご当地名物・尾道ラーメンで腹ごしらえをしてスタートしましょう。店内からは尾道水道と対岸の向島、行き交う船などの景色が楽しめます。
店主の榎本洋士(えのもと ひろし)さんは、「おやつ代わりに尾道ラーメンを食べて育った」と話す、生粋の尾道っ子です。一時は仕事で尾道を離れましたが、「仲間が集えるようなラーメン屋を開きたい」とUターン。地元の人気尾道ラーメン店で修業をして、2003年に「喰海」をオープンさせました。
店の看板メニューは、もちろん「尾道ラーメン」。鶏豚を煮込んだ動物系スープと瀬戸内産のイリコやサバ節から出汁を取る魚介系スープを合わせたダブルスープが特徴で、通常の尾道ラーメンより細めの平打ち麺を使っています。地産地消を心がけ、麺は広島県三次市三良坂町産の小麦「ニシノカオリ」を中心に配合、ネギは広島県呉市倉橋島産がメインです。
「尾道ラーメンは脂っこくて苦手」という人もいますが、こちらのラーメンは後味すっきり。プリッとした大粒の背脂をアクセントに、スルスルと箸が進みます。
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施設名
尾道ラーメン 喰海
住所
広島県尾道市土堂町1-12-11
電話番号
0848-24-8133
営業時間
10:00~21:00
定休日
水曜
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
13:30 尾道のシンボル「千光寺」で絶景に出合う
お腹をほど良く満たしたら、尾道観光では外せないまちのシンボル「千光寺」へ。石段坂を登っても、山頂駅まで運んでくれるロープウェイを使ってもアクセスできます。大同元年(806年)に弘法大師により開基、源氏の名将・多田満仲(ただ みつなか)公によって再興されたといわれる千光寺は、大宝山の中腹に位置する見晴らしのいいお寺です。眼下には尾道水道や瀬戸内海の島々を望むことができ、「心身共に浄化される」と遠方から訪れる人が絶えません。
境内は奇勝や奇岩が多いことでも知られ、観光気分を楽しみながら参拝ができます。西国観音霊場の本尊三十三体がまつられている「三十三観音堂」は、霊場をお参りするのと同じ功徳があると伝えられています。正面の数珠は幸せを念じながら回すと、その音により煩悩を打ち消して観音様のお慈悲がいただけるのだとか。
別名「ポンポン岩」と呼ばれる「鼓岩(つづみいわ)」は、岩の上を石で打つと鼓のような音がします。岩の傷は大阪城築城の石垣材として切り出そうとしたノミの跡だとも言われています。本堂近くにある「玉の岩」や、月の光を鏡のように反射させたといわれる「鏡岩」と並ぶ、境内の巨岩です。
住職を務める多田真祥(ただ しんしょう)さんは、「誰でも気軽に来れる、敷居の高くないお寺を目指しています」と話します。すでに観光地として名高い千光寺ですが、有名イラストレーターに境内マップを描いてもらったり、切り絵の御朱印を用意したりと、新しい取り組みに次々と挑戦。「仏教離れといわれる若い世代も訪れたくなるようなきっかけを作り、自然に手を合わせることを学んでもらえたらと思います」。
千光寺を含む千光寺公園内には、2022年3月に新展望台が完成したばかり。スロープをぐるりと歩いててっぺんから見下ろすと、遠くは四国までが見渡せる海景が広がり爽快な気分が味わえます。園内はほかに尾道市立美術館などもあり、1日中いても飽きることがありません。
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施設名
千光寺
住所
広島県尾道市東土堂町15-1
電話番号
0848-2-2310
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
16:00 歴史と手仕事が紡ぐ帆布製品をお土産に
旅のお土産を探すなら、尾道商店街にある「工房 尾道帆布(おのみちはんぷ、NPO法人工房 おのみち帆布)」へ。海上交通の要衝だった尾道は、かつて帆船の帆として使われる帆布がたくさん織られていました。70年ほど前まで市内に10社ほどあった帆布工場は、そのうち合成繊維に市場を奪われ、現在は向島に一軒のみとなってしまったそうです。そんな帆布を、もっと多くの人の手に取ってもらいたいと、ポーチやバッグにアレンジしたのが工房 尾道帆布です。
店内にはカラフルな商品がずらりと並び、思わず目移りする愛らしさ。たっぷりと荷物が入るトートバッグは自分用に、かさばらないポーチや小袋はお土産用に人気です。尾道市内の由緒ある7つのお寺を巡る「尾道七佛めぐり」をテーマに、地元大学生がデザインした各お寺のピクトグラム、そして工房尾道帆布とのコラボ商品として出来上がった御朱印帳(写真中央)も「ナチュラルな風合いが素敵」と話題を呼んでいます。
代表の島田美鈴(しまだ みすず)さんは「自然に優しい綿100%の素材で、丈夫かつ通気性の良さが自慢です。ぜひ多くの人に帆布の良さを知ってほしいです」と話してくれました。
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施設名
NPO法人 工房おのみち帆布
住所
広島県尾道市土堂2-1-16
電話番号
0848-24-0807
営業時間
10:00~17:45
定休日
木曜
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
17:30 サイクリストフレンドリーな宿でほっと休息
あちこち散策したら、複合施設「ONOMICHI U2」内にある全国初の“自転車で泊まれる宿”「HOTEL CYCLE」へ。広島出身の建築家・谷尻誠(たにじり まこと)さんが手がけた建物は、もとは県営の海運倉庫。ホテルのほか、カフェやベーカリー、レストランが並びます。
特筆すべきは、自転車と一緒にチェックイン後、愛車を部屋の中まで入れられること。1日走ったサイクリストたちがゆっくりと休めるよう、室内はあえて照明を暗めに設定し、落ち着けるインテリアに整えています。
館内にはサイクルショップがありレンタルもメンテナンスもOK。夜はレストランで食事を楽しんだり、バーで軽く一杯飲んだりと、思い思いに満喫できます。ベーカリーでは事前予約でサンドボックスなども注文でき、翌日のサイクリングのお供に最適です。
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施設名
ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE
住所
広島県尾道市西御所町5-11
電話番号
0848-21-0550
営業時間
チェックイン15:00/チェックアウト11:00
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
2日目
11:30 開放的な景色と共に味わうアートなチョコレート
旅の最後は、U2で自転車をレンタルして対岸の向島に渡り、人気のチョコレートショップ「USHIO CHOCOLATL(ウシオチョコラトル)」を目指しました。向島へは、海岸通りにある渡船場から、自転車と一緒に船で渡ることができます。店は山の中腹にあり、自転車で行くにはなかなかの距離。郷土文化保存伝承施設兼管理センターとして使われていた建物内にあるので、見落とさないよう注意が必要です。
店舗は工場を併設していて、ダイレクトトレードのカカオ豆から作るBean to Bar(ビーントゥバー)のチョコレートを提供。商品の購入はもちろん、カカオミルクやホットチョコレートなどのドリンク、チョコレートケーキやジェラートといったスイーツも味わえます。
おすすめのチョコレートは、3カ国の産地のカカオ豆をブレンドした「尾道ブレンド」とカカオバター、砂糖、カシューナッツで作るヴィーガンホワイトチョコの「カシューホワイト」。チョコレートのデザインは、太陽と、照らされる瀬戸内の波を表現しています。
島へ移住した男性3名でスタートした、USHIO CHOCOLATL。メンバーの1人である栗本雄司(くりもと ゆうじ)さんは「ここのロケーションも気に入ってるんですよね」と、にっこり。「豆からこだわって作っているチョコレートなので、産地の味の違いを楽しんでもらえたら嬉しいです」。
アートな店内の特等席は、島々が浮かぶ瀬戸内海を一望できる窓際のカウンター。甘くほろ苦いチョコレートを口に含み、コーヒーと一緒にゆっくりと味わえば、日頃の疲れがすうっと癒えていくようです。いつまでも眺めていたくなる景色を心に焼き付け、明日への活力をチャージしてはいかがでしょうか。
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施設名
USHIO CHOCOLATL
住所
広島県尾道市向島町立花2200
電話番号
0848-36-6408
営業時間
9:00~17:00
定休日
火・水曜 ※祝日の場合営業あり
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
歴史と文化が色濃く香る尾道市街と、リゾートの空気が感じられる島々。尾道の魅力は、ひと言で言い表せないほど多彩です。レンタルショップが複数あり、サイクルスタンドもあちこち用意してあるので、自転車での周遊にぜひトライしてみてください。汗をかき、吹き抜ける風を肌で感じる旅は、きっと心に深く刻まれることでしょう。
地域ナビゲーター
中国支部 広島県ライター
浅井 ゆかり
タウン誌をメインに、ジャンル問わず取材執筆(時々撮影)を手がけるフリーライターです。広島に嫁いで十数年になりますが、広島生まれ広島育ちの夫よりこのまちに詳しい自信あり! 取材に応じてくれる人、記事を手にしてくれる人へ、ちょっとした幸せや新鮮な驚きを届けられるようなプラスの言葉を紡いでいきたいです。