宮崎県日南市

自然美と伝統美に魅了される日南旅

2022.08.17

宮崎県の南部に位置する日南市には、鬼の洗濯板が広がる雄大な日南海岸や、伊東氏飫肥藩の城下町として繁栄した「九州の小京都」と称される飫肥など、エリアによって雰囲気が異なり旅にはもってこいの場所です。 そんな日南の旅は、守り続けられてきた自然と伝統に触れるなかで、ここで暮らしてきた人たちの息遣いを感じる瞬間が多くありました。雄大な時間の流れのなかでこそ生まれた美しさに触れる一泊二日の旅プランをご紹介します。

おすすめモデルコース

  16:30 自然の神秘な洞窟の中に鎮座する鵜戸神宮

宮崎旅の始まりは、「鵜戸(うど)さん」と親しみを込めて呼ばれる鵜戸神宮から。自然にできた神秘的な洞窟の中に、色鮮やかに鎮座している神宮は、縁結び、安産、育児などのご利益があることで有名ですが、剣法発祥の地でもあることから、国内外の剣道家たちが多く訪れています。

「鵜戸神宮では、神道と仏教が融合し、ひとつの信仰とされた神仏習合(しんぶつしゅうごう)のなごりがいたるところに残されています」と宮司の中原慎太郎さん。御本殿には、左右に「阿吽(あうん)」を表す、口を開けた龍と閉じた龍がいるほか、空と海、滝を昇る魚と下る魚など対になっている絵もあります。じっくりと観察をして発見するのも楽しい時間です。

安産祈願の由縁になっているのが、お乳岩(ちちいわ)です。豊玉姫がサメの姿に戻ってお産をする姿を山幸彦に見られたことを恥ずかしく思い、生まれたばかりの子をおいて海に帰りますが、「せめて自分の乳で我が子を育てたい」と両乳房をご神窟の岩肌にはりつけていったのだとか。乳房のようにふくらんだお乳岩からは、いまもなお絶え間なく石しみずを滴らせています。

そして、サメの姿で海に帰った豊玉姫を待ち続けている間に、いつの間にか石になってしまった大きな亀が「亀石」です。

この亀の背中にある窪みに男性は左手、女性は右手で「運玉」を投げ入れ、見事入ると願いが叶うと言われています。

さらに鵜戸神宮にはもう一つ、他ではなかなか目にすることができない自然のアートがあります。それが、大地がつくった不思議な球体「コンクリーション」。

コンクリーションとは、地層の中にできる丸くて硬い岩のこと。鵜戸神宮一帯の地層は約800万年前の海底に砂や泥が堆積した地層からできています。とてつもない年月をかけて、少しずつ姿を変えながら現在の姿になっていることを感じると、あまりにも壮大な自然のアートにくらくらとしてしまいました。

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施設名

鵜戸神宮

住所

宮崎県日南市大字宮浦3232番地

電話番号

0987-29-1001

営業時間

6:00開門~18:00閉門

休業日

無休

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  12:30 カツオの美味しさを味わいつくすランチ

鵜戸神宮をあとにして、海沿いを南下してやってきたのは、「港の駅めいつ」。新鮮な魚や郷土料理が並ぶ物産館もありますが、今日の目的はランチ!併設されているレストランは、いつも満席で、行列ができる人気店です。

「目の前に広がる目井津(めいつ)の海で今朝、水揚げされたばかりの魚を刺身でお出ししています。日南市は、一本釣りカツオ漁獲量日本一のまち。そのカツオを使ったご当地グルメ、『日南一本釣りカツオ炙り重』も人気です」。そう教えてくれたのは、料理長の神恵英幸(じんえ ひでゆき)さん。

早速、人気の「日南一本釣りカツオ炙り重」をいただきましょう!

御膳には、お重にはいったごはん、2種類のカツオ、あら煮、カツオのカツ、茶碗蒸し、お味噌汁、スイーツがのっていて、あまりのボリュームに、運ばれてきた時には「わ〜!」と声をあげてしまいました。この内容で、1500円とは驚きです。

カツオは「特製しょうゆダレ」と「塩ダレ」の2種類の味付けで楽しむことができます。まずは、そのまま生でいただき、ご飯の上にのせて海鮮丼のように食べると、新鮮なカツオの旨味が口いっぱいに広がります。

お次は、七輪の出番。「炙るから古いお魚を使っているの?と思われることもあるのですが、刺身で食べられる新鮮なカツオなのでさっと炙る程度がおすすめです」と神恵さん。七輪の上におくと、じゅっと音がして香ばしい香りがたち、さらに食欲をそそられます。

最後は、お出汁をかけてお茶漬けで。「お腹いっぱい!」と思っていたのに、さらさらと入ってしまうから、あら不思議(笑)。生のカツオ、炙り、お茶漬けとすべての食感と美味しさが異なり、カツオの美味しさを余すところなく満喫しました。

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施設名

港の駅めいつ

住所

宮崎県日南市南郷町中村乙4862-9

電話番号

0987-64-1581

営業時間

10:30~L.O.14:00

休業日

月曜(祭日の場合は翌日)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  13:45 水中観光船で海中の美しさを手軽に体験!

写真提供/マリンビューワーなんごう
写真提供/マリンビューワーなんごう

海の恵みをたっぷりいただいた後には、海の中の魅力を堪能しましょう。

水中観光船「マリンビューワーなんごう」では、日南海中公園の島々の案内と水中観光を楽しむことができます。午後2時に外浦港から出航する時間にあわせて乗船!リアス式の島々を眺めながら、南郷の海の魅力を樫原宏太郎(かしはらこうたろう)さんにお話を伺いました。

海上自衛隊出身の樫原さんは、仕事でたくさんの海を訪れるたびに、「いつか生まれ育った南郷の海の美しさ、貴重さを感じてもらえるような仕事をしたい」と思うようになったそうです。

南郷の海は、沖縄にいる熱帯魚から、伊豆方面にいる食べて美味しい魚まで多種多様な魚が泳いでいるのが特徴。沖合いで船が止まると、「ぜひ船底に降りてみてください」と声をかけられました。階段を降りていくと、そこにはベンチ席とガラス越しに広がる海中の世界が!

写真提供/マリンビューワーなんごう
写真提供/マリンビューワーなんごう

鮮やかに海底を彩るサンゴ礁や、熱帯魚を代表するクマノミやハタタテダイ、ソラスズメダイなどが優雅に泳ぐ姿を見ることができます。

写真提供/マリンビューワーなんごう
写真提供/マリンビューワーなんごう

「宮崎は自然が溢れています。私も小さい頃、港で伊勢海老やクマノミと出会ったりした体験は、いくつになっても鮮明に覚えています。大切な自然を次世代に残すためにも、ここで海の面白さを伝えていけたら」と樫原さん。

魚の鑑賞タイムのあとは、外浦漁港に向けて出発。実は、この後の体験を目的にリピートされる方も多いというユニークな時間がやってきます。

それが、トンビの餌やりです。船上から餌を投げると、トンビの群れがどこからともなくやってきて、空中でキャッチしたり、海に落ちた餌を急降下で口に加えたりする様子を間近で見ることができるんです。

海の上からの景色と海中の景色、どちらも楽しむことができる貴重な体験。天候や気温によって海の色や泳ぐ魚たちが変化するので、何度いっても楽しむことができますよ。

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施設名

マリンビューワーなんごう

住所

宮崎県日南市南郷町潟上134-54

電話番号

0987-64-4288

営業時間

9:00~16:00

休業日

不定休    ※天候により予告なしに運航中止の場合があります。ご了承ください。

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  15:30 古民家を改装したお宿でゆっくりくつろぐ

興奮冷めやらぬまま向かったのは、本日の宿がある飫肥(おび)エリア。飫肥藩・伊東家の城下町として栄え、武家屋敷が点在する貴重な地域として、九州で初めて「重要伝統的建造物群保存地区」に選ばれました。

宿泊する「Nazuna 飫肥 城下町温泉」は、古くから残る武家屋敷をリノベーションしたハイセンスなお宿。築140年以上の母屋と離れの納屋を改修した全5室の旅館は、すべてのお部屋が日南を連想するテーマでつくられています。

写真提供/Nazuna 飫肥 城下町温泉
写真提供/Nazuna 飫肥 城下町温泉

案内されたお部屋は、飫肥の郷土舞踊「泰平(たいへい)踊」の衣装をイメージした「本紫(ほんむらさき)」。全部屋に温泉がついていて、好きなタイミングでお風呂にゆっくりつかることができるのも嬉しい!

写真提供/Nazuna 飫肥 城下町温泉
写真提供/Nazuna 飫肥 城下町温泉

「飫肥には素敵なお店がたくさんあり、地元のお店で地元のお料理を召し上がっていただきたい。飫肥の街並みを散策したり、飫肥全体を楽しんでほしいですね」と、あえて夜ごはんは提供せず、近隣の飲食店を紹介するスタイルにしているんだとか。

観光のお客様と地元のお客様がゆるやかに交流できる仕掛けがたくさんあり、思いがけない出会いがありそう。そんな一期一会の出会いがあるのも、旅の醍醐味ですね。

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施設名

Nazuna 飫肥 城下町温泉

住所

宮崎県日南市飫肥8-1-62

電話番号

0987-27-3171

営業時間

チェックイン 15:00~21:00   チェックアウト 11:00

休業日

無休

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  17:00 昔から変わらない優しい味「おきよせんべい」

写真提供/おきよせんべい松家
写真提供/おきよせんべい松家

飫肥のお土産を選ぶなら、「おきよせんべい」がおすすめ。飫肥に生まれた小玉キヨさんが作った「おきよせんべい」は約130年もの間、地域の人たちに愛され続けてきました。口に入れると、サクふわっとした食感で、蜜がじんわり溶けてきて優しい甘さが広がります。お店を訪れると、4代目の小玉聡さんが、ご両親と一緒におきよせんべいを一つひとつ手作業で作っている最中でした。

特別に作っているところを見せていただきました。餅を小さくカットし、鉄製の型に入れコンロで手焼きしていきます。そのあと蜜を刷毛でリズミカルに塗っていき、二枚のせんべいではさんでいきます。

熟練された手の動きがなんとも鮮やかで、美しく、ずっと見ていられるほど。

おきよせんべいは作りたてが一番美味しいため、普段から、湿気てしまわないように繊細に管理をしています。

また、出来立ての美味しさを楽しんでもらおうと、せんべいと蜜が別々になった手作りセットの開発や、オンライン販売などもスタートしました。昔からの大事な味を守り続けるために、新しいチャレンジをする聡さん。そんな聡さんを「息子だから葛藤もある。でも、やっぱり頼もしいですよ」と笑う3代目の和則さん。老若男女に愛されるおやつの進化は続きます。

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施設名

おきよせんべい松家

住所

宮崎県日南市飫肥2-6-50

電話番号

0987-25-1087

営業時間

9:00~18:00

休業日

日曜    ※ご来店されるお客様は、事前にお電話でご予約いただけると確実です。

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

日南市は宮崎空港から車で1時間弱とアクセスがよく、今回ご紹介した美しい海が印象的な南郷エリアや歴史的な街並みが楽しめる飫肥エリアに加え、山の魅力もあります。エリアによって異なる魅力と雰囲気があり、どこを中心にプランを作るかで印象が変わるのも面白いところです。ぜひ、いつもとは違うゆったりとした時間の流れに身をおいて、五感で味わいつくしてくださいね。

地域ナビゲーター

長友 まさ美

九州支部 地域ナビゲーター
長友 まさ美

人生の物語に耳を傾け、その方の可能性や魅力を引き出すことが大好き。旅好き、本好き、美味しいものが大好き。美しさと機能性を兼ね備えたもの、伝統工芸品、職人さんの一点物が大好物です。愛しいものを伝え、人生に彩りを添えられることを願って発信中。暮らしを味わい、楽しみつくす日々を生きています。