長崎県雲仙市

窓の外は雲仙地獄。五感が喜ぶ山上リゾート

2023.03.31

長崎県雲仙市 × 雲仙九州ホテル

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、長崎県雲仙市にある温泉宿「雲仙九州ホテル」です。

欧米人にも愛されたリゾート地・雲仙

長崎空港から島原半島へ車を走らせること約80分。大村湾や橘湾といった海の景色から一転、山間の道を上へ上へとのぼっていくと、硫黄の匂いとともに風光明媚な温泉街が目の前に現れます。701年に行基によって開山したと言われる雲仙岳に抱かれた雲仙温泉郷です。

かつて欧米人の避暑地として国内外から観光客が押し寄せたこの場所の観光名所といえば、むき出しの白い土からもくもくと上がる水蒸気の景観が印象的な「雲仙地獄」。島原半島にあるほかの温泉街では見ることのできないこの景色を楽しめる宿泊施設があります。それが「雲仙九州ホテル」です。

歴史を受け入れ、新しきを生み出すホテル

格式の高さを感じる門扉をくぐり抜けると現れるのは明治、大正をほうふつとさせるような、それでいてどこか新しいモダンなエントランス。和と洋、新しいことと古いことの融合をコンセプトにつくられているこの場所は、それほど広くない造りになっています。これは2018年の建て替えに合わせて、団体客ではなく個人客の受け入れにシフトしたため。プライベートで特別な雰囲気を感じる空間がそこにはありました。

建て替え時のこだわりは建材にも。社長自らこだわったという石材などを用い、雲仙の自然や文化を表現したといいます。雲仙で過ごす特別な一日の始まりを象徴するエントランスに、気分も自ずと高まっていきます。

インテリアでも雲仙を、九州を感じる仕掛け

受付を終えて客室へ向かう通路には、新しくもどこか懐かしいアンティークランプが。こちらは改装前から長く使われていたものを使用しています。

白と黒のモダンな通路には、九州や長崎で活躍するクリエイターのアート作品が飾られることも。この日は残念ながら作品の取り替え最中でしたが、ラウンジの書籍やメインダイニングルームに続く通路には、過去に雑誌の表紙を飾ったイラストやポスター、欧米人の避暑地として栄えた頃の写真がホテルに華を添えています。ホテルのそこここに雲仙、九州を感じられる仕掛けが施されている、雲仙らしいおもてなしが感じられました。

雲仙地獄を独り占め。温泉半露天付のプライベート空間

雲仙らしさという意味では、客室こそもっともその色が感じられる場所かもしれません。離れも含めた25室すべての部屋は温泉半露天付。そのうち21室では、まさに「目と鼻の先」に広がる雲仙地獄ビューが体感できます。この景観をまた見たいと、足繁く通うリピーターの方もいらっしゃるということですが、なるほど納得です。

雲仙地獄ビューのない離れには、プライベート感を重視したより広めの空間が用意されています。大切な人と一緒に雲仙地獄をゆったりと眺める幸せ。さらに過ごし方に合わせて部屋を選べるところが、雲仙九州ホテルのおもてなしの素晴らしさと言えるかもしれません。

創業の面影を残すメインダイニングルーム

客室に雲仙らしさがあるなら、雲仙九州ホテルらしさはメインダイニングルームにこそあり。創業年を冠したその名前通り、1917(大正6)年創業当時の様子を再現した気品漂う空間が広がっています。食事を楽しむ人たちを暖かい光で照らすのは、創業時と同じ頃に作られたレトロなシャンデリア。かつて欧米人の避暑地として賑わいを見せた時代にタイムスリップしたような錯覚を起こすのは筆者だけではないはずです。

全体の約25%がリピーターという雲仙九州ホテル。リニューアルにあたり、多くの顧客から「当時の面影を残してほしい」という要望を受け、この場所がつくられました。雲仙九州ホテルが多くの人に長く愛されているからこその空間が、ここにはありました。

舌で味わう世界と雲仙

写真提供/雲仙九州ホテル
写真提供/雲仙九州ホテル

メインダイニングルーム「1917」でいただけるのは洋食を中心としたメニューです。実は雲仙九州ホテルの創業者は、かつて欧米人が避暑地として雲仙を目指した上海航路で洋食料理人として働いていた人物。コース構成はその背景を活かし、食材や料理を通して、世界一周旅行気分を味わえる内容となっています。

写真提供/雲仙九州ホテル
写真提供/雲仙九州ホテル

島原半島の野菜や近海でとれた魚介類から始まる味の航路は、欧米(フレンチやイタリアン)からアメリカ(ステーキなど)へ。その後、締めとなるご飯で雲仙に戻ります。かつて欧米人に避暑地として愛された雲仙に思いを馳せながらいただく料理のおいしさは、より一層、島原ステイの深い思い出となって心に染み渡ります。

特別な時間を堪能できるカフェバー

写真提供/雲仙九州ホテル
写真提供/雲仙九州ホテル

夕食と温泉で心も体も癒やされたあとは、2階にあるカフェバー「The Mellow Ridge」へ。ソフトドリンクはもちろんアルコールも無料で楽しめ、ゆったりとした時間が流れます。

またこの土地ならではの景色を見ながら静かな時間を過ごしたいなら、テラスラウンジ「The Roof Top Lounge」がおすすめです。ここは宿泊者専用となっていて、ライトアップされた雲仙地獄を眺めることができます。

心落ち着くふたつの特別な空間。大切な人とここで過ごせば、普段とは違った会話も楽しめる気がする。そんな気持ちにさせてくれる、不思議な雰囲気がありました。

雲仙九州ホテルだからこそのおもてなしを

雲仙ならではの過ごし方が楽しめる雲仙九州ホテル。設備もさることながら、素晴らしい体験を下支えしてくれるのはスタッフの方々です。「地方だからこその親しみある接客」、そして雲仙でしかできない最高の体験を。それが雲仙九州ホテルの最上級のおもてなしであり、多くの人に愛されている理由なのだと感じました。

施設情報はこちら

施設名
雲仙九州ホテル
住所
長崎県雲仙市小浜町雲仙320
電話番号
0957-73-3234
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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地域ナビゲーター

古地 優菜

九州支部 地域ナビゲーター
古地 優菜

奈良県出身。長崎県諫早市在住のクラウドフリーライター。WEB・紙を問わず、さまざまな媒体のライティング・企画・ディレクション・校正を担当。近年は地方創生事業にも取り組んでいる他、地方で食べていける「地域ライター」の育成事業などにも寄与。2018年 国家資格キャリアコンサルタント取得。