静岡県三島市
大曲の花火大会で光の競演に酔いしれる旅
2022.12.21
花火のまち・秋田県大仙市では、毎年8月に全国の花火師が技を競う全国花火競技大会が大々的に開催されます。大仙市は、90年以上の歴史を持つこの花火大会以外にも、一年を通してさまざまな花火が上がるまちです。土地の人に愛されるグルメや、豊かな風土で醸されるお土産を堪能し、大迫力の花火に歓声を上げる、非日常感あふれる大仙の旅をご紹介します。
おすすめモデルコース
11:00 花火玉のような「梅酒花火ボトル」をお土産に
大仙市には「花火のまち」ならではの逸品があると聞き、ある酒蔵を訪ねました。大仙市は、春〜夏にかけての温暖な気候が酒米づくりに適しており、出羽(でわ)丘陵の雪解け水が豊富に湧き出る豊かな土地。「出羽鶴酒造」は1865年に「ヤマト酒造店」として創業し、以来150年以上、この地で日本酒を造り続けてきました。生酛(きもと)造りのコクのある味わいが特徴の「出羽鶴」、米づくりから醸造までを同じ蔵人が担う「やまとしずく」という2つのブランドの日本酒を製造しています。
花火の製造工程では、糊(のり)となる部分に米粉を使用します。出羽鶴酒造は、酒米を精米した削りかすを花火の製造会社に提供しており、「花火のまちという特徴を生かした製品を作りたい」との思いから「梅酒花火ボトル(360ml/1048円)」が誕生しました。
地元産の2種類の梅を生酛(きもと)造りの純米酒で仕込んだ梅酒は、梅の甘味が凝縮され、爽やかでバランスの取れた味わいです。ロック、ソーダ割、またはミルクやヨーグルト割も。お好みで、さまざまな味を楽しんでみてはいかがでしょうか。JR大曲駅前の大仙市観光情報センター「グランポール」などで購入できます。
施設情報はこちら
施設情報
出羽鶴酒造
住所
秋田県大仙市戸地谷字天ケ沢83-1
電話番号
0187-63-1224
梅酒花火ボトルを購入できる場所
大仙市観光情報センター「グランポール」 TEL0187-86-0888 / 地酒の店たぐち TEL0187-62-0362
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
12:00 地元民に愛される「大曲カレー旨麺(うーめん)」
ランチは、JR大曲駅近くにある「和ダイニングふじ」へ。季節の旬のものや地元の食材を使った料理が人気のお店で、横手焼きそばや稲庭うどんといった秋田県南の名物も味わうことができます。
ここへ来たら、ぜひ食べたいのが「大曲カレー旨麺(700円・ライス付き)」です。使用している麺は、大仙旨麺(うーめん)という中太の中華麺。カツオだしをきかせた和風のつゆと、5〜6種のスパイスを調合したオリジナルの特製カレーを合わせたスープが、もちもち麺にしっかり絡み、食べ始めたら箸が止まりません。
ほどよくとろみのある特製カレーソースの中には、たくさん野菜が溶けこんでいそうですが、何を使っているかは企業秘密とのこと。和風だし、野菜のうま味、絶妙に配合されたスパイスが、麺にもご飯にもよく合います。お米はもちろん、大仙市産のあきたこまち。
大仙市で「カレーうーめん」が誕生したのは2008年ごろで、もとは市内のお祭りの時に若い人たちが売り出し、人気を呼んだのがきっかけなのだそうです。その後、「お祭りの時だけでなく普段も食べられるお店があったらいいな」という要望を受けて、市内数軒の飲食店で提供するようになったとのこと。気軽に食べられる地元の味として、中高生から年配の人まで、幅広い年齢層に愛されています。
施設情報はこちら
施設名
和ダイニングふじ
住所
秋田県大仙市大曲通町1-28
電話番号
0187-62-0243
営業時間
昼 11:00〜14:00/夜 16:00〜21:00
休業日
日曜日
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
13:30 はなび・アムで花火の魅力を深掘りしよう
花火大会会場のすぐ近くにある「花火伝統文化継承資料館はなび・アム」は、花火の魅力に触れることができる体験型の施設。4階の展望展示ホールでは、パネルやプロジェクションマッピングで大曲の花火の歴史や製造工程を学べるほか、自分でデザインした花火の打ち上げシミュレーションもできます。
花火のことが分かると、花火大会が2倍、3倍楽しくなること間違いなし! さっそく、はなび・アムを見学してみましょう。
今回、案内してくださったのは、はなび・アム主事の三浦成美さん。はじめに、大曲の花火の歴史について説明していただきます。大曲の花火が記述として残されている最古の文献は、江戸時代の紀行家・菅江真澄が編さんした『月の出羽路(いでわじ)』で、丸子川の川原に打ち上げられる花火が描かれています。その後、大曲の中心部にある諏訪神社の祭典で余興として花火を打ち上げるようになり、次第に人気となって全国から花火師を呼ぶように。1910(明治43)年に「奥羽六県煙火共進会」が開催され、これが全国花火競技大会の始まりとなりました。
明治ごろまでの花火は、オレンジ一色だったのだそう。明治前期に描かれた『大曲村年中行事絵巻』にも、丸子橋に打ち上げられる花火がオレンジ色で描かれています。海外からマッチの原料になる薬剤が輸入されるようになってから、金属を溶かすくらい高温を出せるようになり、より明るくカラフルに花火のバリエーションが広がりました。
展示ホールでは実寸大の花火玉を持ち上げることもでき、ずっしりと重量感があるのがわかります。花火玉の中には「星」と呼ばれる火薬の粒が隙間なく詰められており、星を作り、正確に並べる作業は、花火師が手作業で行います。花火の制作工程は、プロジェクションマッピングで見ることができるので、ぜひ。
はなび創作工房では、花火玉の模型の中に星を並べ、自分でデザインした花火を打ち上げてみましょう。ボタンを押すとスクリーンにマイ花火が打ち上げられ、大人も子どもも思わず夢中になってしまいます。
また、はなびシアターでは4面の大スクリーンに映し出される花火の映像や、花火師のドキュメンタリーを鑑賞することができます。目の前で花火が打ち上げられているような大迫力の音と映像に、花火大会への期待感が高まります。
施設情報はこちら
施設名
花火伝統文化継承資料館 はなび・アム
住所
秋田県大仙市大曲大町7-19
電話番号
0187-73-7931
営業時間
9:00〜16:00
休館日
月曜日(祝休日の場合は、翌平日)、年末年始
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
17:15 花火師の技が心に響く。空を彩る大輪の花
いよいよ「全国花火競技大会」のスタートです! 花火といえば夜のイメージですが、この大会は夕方の「昼花火」から始まります。赤、黄、緑、青などの色のついた煙が打ち上げられ、その色合いや回転、落下のバリエーションを楽しむ昼花火は、趣に富んだ見応えのある花火として親しまれてきました。現在、昼花火が開催されるのは全国でも大仙市だけ。貴重なショーを、心ゆくまで楽しみます。
クライマックスとなる夜花火では、全国から集まった28社の花火師が技の限りを尽くして競い合います。競技は、同心円状に真円を描く花火を打ち上げる「芯入割物(しんいりわりもの)」、自由な形や色合いで表現する「自由玉」、花火師の創造性や独自性を発揮し、ネーミングや音楽、色彩や形で表現する「創造花火」の3つで構成されます。音と光が奏でるファンタジーな世界を、全身で味わいましょう。
続いて大会提供花火の時間になると、音楽に合わせて打ち上げられる数々の花火に歓声が上がります。約900mの幅で打ち上がる大会提供花火は、会場で見るからこそ感じられる音と衝撃が感動の波となって打ち寄せ、終わったあともしばらくは余韻がさめません。
イベント情報はこちら
イベント名
全国花火競技大会「大曲の花火」
開催時期
毎年8月最終土曜日
開催時間
昼花火の部 17:15〜/夜花火の部 18:50〜
住所
秋田県大仙市大曲雄物川河畔
主催者
「大曲の花火」実行委員会
電話番号
0187-88-8073
ホームページ
https://www.oomagari-hanabi.com/index.html
※イベントに関する情報に関しましては、変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
毎月どこかで花火が打ち上がる「花火のまち・大曲」では、人々の暮らしとともに花火があります。そんな大曲で、地元の人たちに愛されているグルメを堪能し、会場で観るからこそ感じられるリズムに身を委ね、光の競演を楽しむーー。魂を揺さぶられるような花火の世界へ、旅をしてみませんか。
地域ナビゲーター
東北支部 フリーライター
島田 真紀子
秋田県大館市在住。(有)無明舎出版勤務を経て、フリーライターとしてWEBや雑誌の記事を書いています。秋田県を中心に、観光や食、子育て、話題のスポットなどについて発信。全国の皆さまに秋田の魅力を知っていただき、「秋田面白そう!行ってみたいな!」と思っていただけたら嬉しいです。