富山県富山市『リバーリトリート雅樂倶』

大自然に囲まれた美術館のような宿

2021.04.01

富山県富山市 × リバーリトリート雅樂倶

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。 今回訪れたのは、日本を代表する建築家・内藤廣氏による設計で、宿全体が巨大なアート作品のような富山県富山市の「リバーリトリート雅樂倶(がらく)」です。

神通川のほとりに佇むアートな温泉宿

富山市の中心市街から郊外へ車を走らせること約30分。富山の7大河川の一つである神通川(じんづうがわ)の川沿いに、宿泊施設「リバーリトリート雅樂倶(がらく)」はあります。今年で創業から21年を迎える宿のコンセプトは「ひたる雅樂倶」。まるで美術館の中にいるようなアート空間、そして大自然に浸ることのできるひとときは普段体験することのできないリゾート感に加えて、自身の五感を研ぎ澄ませてくれるような非日常な時間を味わうことができます。

「雅樂倶」の入り口は、現実世界から非現実空間へ向かうための入り口でもあるそう。薄暗く低い天井の中を一歩、二歩と進んでいくと、開放感溢れる明るいエントランスが目の前に広がります。思わず「おおっ!」と声を上げてしまうほど圧巻の空間と、そこにある大きな窓ガラス越しに望む自然豊かな神通峡の景観に、一瞬で非日常空間へと引き込まれることでしょう。

日本を代表する建築家・内藤廣氏による設計

2005年に増設された新館は、日本を代表する建築家・内藤廣氏による設計です。内藤氏は鳥羽市の海の博物館、牧野富太郎記念館など数々の賞を受賞する有名建築の設計でも知られ、富山県においては「富山県美術館」の設計にも携わる人物です。

雅樂倶の設計は「数寄屋の繊細さとアジアの土臭さ」をコンセプトに、緻密に組まれたコンクリートの壁や客室へ向かう宿泊者専用の歩廊など、いたるところに斬新さが感じられるつくりとなっています。

宝探し感覚でアートを楽しむ散歩コース

館内とその周辺には、現代作家によるアート作品を点在させたアートウォークが設置されています。作品はガラスや陶器、巨大オブジェなど、多種多様。施設の屋根の上にひょっこりと現れる作品やレストランの庭自体が作品だったりと、まるで宝探しのように置かれています。自然の景観の美しさとともにアートを楽しめるなんて、とても贅沢ですよね。

「え?こんなところにも?」と、意外な場所にも作品が隠れていることもあるので、見つけた際にはガッツポーズをお忘れなく。時間を忘れてアート探しのお散歩に没頭できることでしょう。

一つとして同じしつらえのない客室空間

宿の客室は、スイート、デラックス、スタンダードと合わせて23室をご用意。室内はすべて異なる趣を持っています。写真の客室は、デラックスルームとなる「ニューベーシックの間」。2019年11月リニューアルオープンの一室です。

モダンな洋室タイプの部屋の窓からは、深いグリーンを纏った美しい神通峡を望むことができます。また寝心地のいいベッドは富山のお隣、石川県金沢市にある老舗寝具店「石田屋」の最高級馬毛(ばもう)のマットレスを使用。体全体が包み込まれるような、極上の寝心地を体感できます。「食事もおいしいけれど、夜も本当によく眠れた」というお客さまの声も多数あるとのこと。睡眠の質にこだわるホスピタリティがうれしいですよね。

五感で感じる富山の食の美

富山の幸をふんだんに取り入れた料理は、和・洋それぞれでご用意があります。

2020年2月オープンのフランス料理レストラン「トレゾニエ」は、シェフ自ら生産者を訪ね選び抜いた、食材の生命力を感じられる料理が持ち味。地元作家たちの手によって作られるこだわりの器にのせて提供されます。まるでアート作品のような美しい一皿を、心地良い空間の中で五感を研ぎ澄ませながらゆっくりとお召し上がりください。

大人時間を楽しむ上質空間

アートや食事を楽しむ以外にも、大人の落ち着いた時間を満喫できるしかけが。肌触りの良い泉質を持つ大浴場は、春は新緑、秋は紅葉と表情を変える神通峡を望みます。立山山麓の豊かな水が育む森林が生み出した和精油を使う「薬都逗留スプリングデイスパ」もおすすめ。木々の香りに包まれて、身体だけでなく、心の中の凝りまでほぐれていく癒しの時間が過ごせます。

館内には、こだわりオーディオから流れるBGMが。臨場感ある音は、大人だからこそ楽しめる上質空間に彩りを添えます。宿泊者が無料で利用できるライブラリーで、洗練された音に包まれ、アート雑誌や専門書をめくり、アカデミックなひとときを過ごすのもおすすめです。

特に茶室は海外のお客さまに大人気。立礼席「巍邦軒(ぎほうけん)」は内藤氏が岩肌に見立てた黒い壁が印象的です。茶室の概念を打ち砕く空間に、潔いアートを感じられました。

また本館1階のショップでは、アメニティで用意されているスキンケアをはじめとするセンスのいい旅土産もセレクトされています。富山の思い出を形に残すお土産選びに、ぜひ立ち寄ってみてください。

自然の中の非日常という居心地の良さ

アートの世界にどっぷりと浸れる温泉宿「雅樂倶」の魅力をご紹介しましたが、いかがでしたか。自然の中で感じる非日常という居心地の良さ、そして贅沢に流れる時間を過ごしに、ぜひ足を運んでみてくださいね。

施設情報はこちら

施設名
リバーリトリート雅樂倶

住所
富山県富山市春日56−2

電話番号
076-467-5550

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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地域ナビゲーター

居場 梓

中部支部 地域ナビゲーター
居場 梓

富山県富山市在住。音楽誌、サブカル誌の編集プロダクションに在籍後、30歳で富山へUターン。地元情報誌の編集を経てフリーランスに。「富山の日常を旅する」をコンセプトにしたガイドブック「スピニー」を自費出版するほか、コピーライター、プランナーとしての活動も行う。