愛知県名古屋市『THE TOWER HOTEL NAGOYA』
日南市飫肥の武家屋敷を五感で楽しむ宿
2022.08.05
宮崎県日南市 × Nazuna 飫肥 城下町温泉
日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになれる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、宮崎県日南市にある武家屋敷をリノベーションした宿「Nazuna 飫肥 城下町温泉」です。
築140年の武家屋敷をリノベーションした温泉宿
日南市飫肥(おび)は、飫肥藩伊東家の5万1千石の城下町として栄え、今もなお当時の侍や商人たちの面影を残す住まいが並んでいます。石垣が残る趣のある街並みは、歩くだけでタイムスリップをするような感覚に。昭和52年に九州で初めて、重要伝統的建造物群保存地区に選定され、歴史的にも貴重なエリアです。
今回、宿泊する「Nazuna 飫肥 城下町温泉」は、築140年以上の武家屋敷をリノベーションした「昔と今」の良さが混在した空間です。
「飫肥全体を楽しんでもらいたい」
この日、笑顔で迎えてくれたのは「Nazuna 飫肥 城下町温泉」の上田拓也さん。「旧小鹿倉邸は、飫肥のなかでも大規模なお屋敷でした。保存状態もとてもよかったので、できるだけ昔のものを残しながらリノベーションしています。ここを拠点に飫肥全体を楽しんでもらいたいので、町にも足を運んでいただける工夫をしています」と教えてくれました。
早速、中に入ってみましょう!一足踏み入れると、そこは広々とした空間が。
なんとも贅沢な雰囲気のフロントです。コロナ禍でやむをえず現在は休止していますが、ウェルカムドリンクでは、フランスの品評会で金賞を受賞した井ヶ田製茶北郷茶園さんの日本茶をいただくことができます。ウェルカムスイーツも、もちろん日南のスイーツを厳選。
ほっと一息ついたら、早速、お部屋へ。「Nazuna 飫肥 城下町温泉」には全5室の客室があり、それぞれ日南市にまつわるテーマにあわせて作られています。今回、宿泊するお部屋は「杉」です。
飫肥の産業を支えてきた飫肥杉がテーマ
昔から飫肥の産業を支えてきた「飫肥杉」。樹脂を多く含んでいるため弾力性があり、湿気に強く腐りにくいため造船に使われてきました。そんな飫肥杉の魅力を、随所で感じることができるお部屋です。
部屋のインテリアは緑色で統一され、杉をふんだんに使用しているので、香りも爽やか。私が特にひかれたのは、飫肥杉の一枚板をつかった壁です。
木目が美しく、ここのカウンターでお酒を飲むもよし、スタンディングワークをするもよし。宿泊する人の感性に委ねられる遊びのスペースがある、なんとも楽しいお部屋です。
他にも、飫肥のシンボルカラーである紫を貴重とした「本紫」や特産品である柑橘種をモチーフとした「橙(だいだい)」などのお部屋があります。壁紙や調度品がお部屋によってまったく違うので、全部の部屋を制覇したくなるお宿です。
全部屋にプライベート温泉付き!
各部屋につけられたお風呂は、近くの北郷温泉から毎朝運んでくる天然温泉の湯。硫黄の匂いがせずにお肌がすべすべになるので、「美人の湯」ともいわれています。24時間、いつでも好きなタイミングで温泉に入ることができるのも嬉しいところ。
飫肥の町をまるごと楽しめる工夫がたっぷり
旅の楽しみの一つは、美味しいごはん。小鹿倉邸では、「飫肥には素敵なお店があるので、ここを拠点に地元のお店で、地元のお料理を召し上がっていただきたい」という思いから、夜ごはんの提供はあえてしていません。
フロント横には、たくさんのカードがずらり。
ここには、飫肥を楽しむことができる場所やおすすめの飲食店の情報が、それぞれカードになっています。気になったカードを持って、町を散策することができるようになっているのです。
ここのスペースは、宿泊者以外の方も利用することが可能。飫肥に観光にきたお客さんが気軽に立ち寄り、小鹿倉邸を中心に地域に点在する食や体験をつなぎ、「面での魅力発信」と「地域を周遊」することを自然とデザインされていることに驚きます。カードのおかげで、お土産さがしやディナーも迷うことなし!たっぷり満喫して1日を終えました。
1日のはじまりに贅沢な朝ごはん
目が覚めたら、お待ちかねの朝食です。朝ごはんはゆっくりお部屋で過ごせるようにと、旬のお魚やお野菜、お漬物がはいった木箱と炊きたてごはんを用意。季節によって中身が変わるので、蓋をとるときのワクワク感といったら言葉にしようがありません。
かつて、飫肥のお殿様に献上された「厚焼きたまご」が入っていることも。砂糖やみりん、酒を加えた、まるでプリンのような卵焼きです。少しずつ、いろいろなものを食べられるのも嬉しい!
ボトルにはお出汁が入っていて、お茶漬けにしていただくこともできます。お腹も心も満たされる朝ごはん。日常の忙しさから離れて、朝からゆったりとした時間を過ごしリラックスできました。
リノベーションという形で命を吹き返した歴史ある建物は、ここからまた新しい記憶が刻まれていくのでしょう。印象に残ったのが「おもてなしではなく、おせっかいをしたい」という上田さんの言葉。お客さんのニーズに応えるだけではなく、想像もしていなかったことを提案していくというスタンスが、観光のお客さまと飫肥で暮らす人を豊かに繋いでいくことを感じました。
施設情報はこちら
施設名
Nazuna 飫肥 城下町温泉
住所
宮崎県日南市飫肥8丁目1-62
電話番号
0987-27-3171
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
地域ナビゲーター
九州支部 地域ナビゲーター
長友 まさ美
人生の物語に耳を傾け、その方の可能性や魅力を引き出すことが大好き。旅好き、本好き、美味しいものが大好き。美しさと機能性を兼ね備えたもの、伝統工芸品、職人さんの一点物が大好物です。愛しいものを伝え、人生に彩りを添えられることを願って発信中。暮らしを味わい、楽しみつくす日々を生きています。