高知の浦戸湾で獲れる幻のカニ「エガニ」
山と川と海に囲まれた自然豊かな高知県。その自然の恵を受けて、野菜や畜産物、魚介類などが豊富に育つ土地でもあります。そんな高知の美味しい食材の中でも、「究極の美味」とまで言われているのが、今回紹介するエガニ。全国の食通の舌を唸らせるエガニは、ふるさと納税返礼品の中でも人気商品のひとつで、一度食べるとやみつき必至の美味しさにリピーター続出の商品なんです。
エガニが獲れる浦戸湾は高知市中心街から車で約25分のところにあり、漁港のすぐ目の前の道路沿いにはレストランや商業施設もある街の中。港の方へ歩いて行くと、何隻もの漁船が停泊していて、防波堤には釣り人の姿もちらほら。夫婦二人三脚で漁をしている家が多く、今回の返礼品をお届けする廣丸ご夫婦も、ここ浦戸湾を拠点にエガニ漁をしています。
では一体、「エガニ」とはどんなカニなのでしょうか?ワタリガニ科のノコギリガザミの一種で、大きいものになると1kgを超えるものも。高知では「エガニ」と呼ばれていて、量販店などでの一般流通はほとんどなく、高知県民は地域で開催している市などで購入したり、料亭などで食べることができます。ミネラルをたっぷり含んだ濃厚な味が特徴で、初夏から秋にかけて獲れるオスの「夏エガニ」、冬には卵をたくさん抱えた「子持ちエガニ」が楽しめます。
高知で有名な土佐の廣丸さんとは
漁師歴40年の永野廣さんと、20年前に嫁いできて以来一緒に漁を始めた昌枝さんが2人で営む「土佐の廣丸」。エガニだけではなく、ここでしか獲れない天然ブラックタイガー漁や、高知県民なら誰もが知る酒のアテ・酒盗の販売などを手掛けています。300年以上続く高知の日曜朝の風物詩「土佐の日曜市」にも20年以上出店していて(現在はCOVID-19の影響のため出店はお休み中)、テレビ局や全国誌の取材をたびたび受けたり、エガニを求めて多くの著名人も訪ねてくるほど、高知では名物ご夫婦です。
カニ漁師に嫁いで20年、今ではすっかりベテランの仲間入り
お話とお酒が好きで、プライベートでは釣りが趣味という昌枝さん。最近は、奥さんが船に乗ってカニカゴの引き上げに行くそうです。通常は大潮の際に引き上げに行くのですが、この日はまだ小潮周り。特別に船を出してもらい、ひとカゴだけ引き揚げの様子を取材させてもらいました。「嫁いで来たときは、船の操縦もカゴの仕掛け方も、網を外すのもしたことなくて、全部一から教えてもろうたがよ」「ここらへんはボラがようけ跳ねるきね、気をつけよ!前に跳ねてきたボラが顔面に当たって2週間仕事にならんかったき、それからは船をゆっくり走らせゆう」と船上でのおしゃべりもノンストップ。
ポイントに到着。いざ、網の引き揚げに!
土佐の廣丸では、ひとカゴ20mの網を6つほど湾に沈めています。1回の漁獲量は日によってバラバラで、何メートルも引き揚げて1匹もかかってないときもあれば、10匹獲れるときもあるんだとか。ドキドキしながら網を引き上げて行くと、なんとまだ3mしか上げていないところで1kg超えの大物がヒット。「こんなこと滅多にないで」と奥さんも大興奮!慣れた手つきで網を外して、専用の紐で縛り上げました。「もう、こんな大きいがが獲れたき、今日の私の仕事は終わりよ。早よう帰ってビール飲も」と船をUターン。
早々に引き上げが終わったので、いよいよエガニを実食!
岸に着くと、廣さんが「もう帰ってきたかえ?」と鍋を沸かして待っていてくれました。先ほどのカニを茹でるのかと思いきや、もうすでに鍋の中には蟹の姿が。聞くと、生きたまま茹でると途中で足が外れてきれいな形にならないので、食べるときは一度冷凍庫で凍らせてカニを仮死状態にするのがオススメなんだとか。基本的には、対面販売でもオンライン販売でも生きたままのエガニを販売しているので、購入の際は一度冷凍庫へ入れてみてくださいね。たっぷりのお湯に、塩とカニを投入すること約40分。真っ赤に茹で上がったエガニの香りが辺りに漂ってきました!
エガニの殻はとても硬く分厚いので、金づちなどで叩いて割っていきます。爪一個で充分お腹が張るくらいギュッと詰まった身は圧巻。口に入れるとふわっと鼻に抜けるカニの香りと、しっかりとした身の食感を感じることができました。「これはお酒が欲しくなりますね!」と昌枝さんに目をやると、「そうやろう?車で来んかったらよかったねぇ」とビールの缶を握りしめて笑っていました。終始笑顔の絶えない昌枝さんと、それを暖かくも守る廣さんに廣丸さんの人気の秘密を垣間見た気がします。
エガニのおいしさの秘密は自然豊かな高知の風土にあり!
こんなにおいしいエガニですが、ただ海があるだけでは、おいしいカニには育ちません。浦戸湾には、鏡川,久万川,江ノ口川,長浜川,国分川,舟入川,下田川の七つの河川が流入していて、そのどれもが葉っぱや木屑といった山からの養分をたっぷり含んでいます。そこに含まれている鉄分などをプランクトンが食べ、それをカニや魚が捕食する自然のサイクルが出来上がっているのです。「禿山に魚は育たん。っていう言葉知っちゅうかえ?山、川、海も全部の条件がそろってないとこんなええもんは獲れんがよ」と廣さん。おいしさの背景を知り、さらに高知が恵まれた環境にあることを再認識した1日でした。食べればきっと好きになる、会えばきっと2人のとりこになる、そんな魅力たっぷりの土佐の廣丸夫婦が提供する幻のカニ、一度食べてみる価値大ありです!