歩いて暮らせるコンパクトなまち・富山市
日本海と立山連峰に囲まれた富山県富山市。富山といえば雪深く自然あふれるのどかな場所、と想像される方も多いのではないでしょうか。2007年より「歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」をスタートした富山市は、駅前から中心地にかけては近代的で便利な街並みが作られています。また北陸新幹線の開業で首都圏からのアクセスも良くなり、多くの観光客が訪れるようになりました。
しかし、開発が進むまちなかを一歩離れると、豊かな自然に恵まれた“富山らしい”雰囲気は戻ってきます。中心市街から郊外へ車を走らせること約30分。富山の7大河川の一つである神通川(じんづうがわ)の川沿いに、2000年にオープンした宿泊施設「リバーリトリート雅樂倶(がらく)」はあります。
自然豊かな神通峡の景観を望む宿
少し天井の低い入り口へ足を踏み入れると、なんだか薄暗い……と感じるかもしれません。実は雅樂倶の入り口は、非現実世界へのトンネルを表現しているそう。一歩二歩と中に進むと、明るく開放感あふれるエントランスと、大きなガラス窓越しから望む、自然豊かな神通峡の景観が目の前に広がります。
2005年に増設された新館は、日本を代表する建築家・内藤寛氏による設計。「数寄屋の繊細さとアジアの土臭さ」をコンセプトに、緻密に組まれたコンクリートの壁や客室へ向かう宿泊者専用の歩廊など、至る部分に斬新さを感じるつくりとなっており「雅樂倶」ならではの、芸術的な空間を楽しむことができます。
館内に点在する現代作家のアート作品
館内にはオーナーのコレクションである現代アートを中心とした約300点の美術作品が、廊下や客室、トイレや外など、あらゆる場所に設置。作品は季節ごとに入れ替えが行われ、見る人の目を飽きさせることはありません。
普段はあまり間近で見ることのできない貴重な作品ばかりですが「お客さまにアートを気軽に楽しんでいただきたい」というオーナーの思いから、雅樂倶には「アートウォーク」と名付けられた、珍しいお散歩コースが設けられています。
それが、館内とその周辺に、現代作家によるオブジェを点在させたお散歩コース。ウォーキングがてらアートと自然の両方を楽しめるという楽しい仕掛けが、ところどころに散りばめられているんです。施設の屋根の上にひょっこり現れる作品、レストランの庭自体が作品だったりと、まるで宝探しのように置かれたアート作品を季節の景観とともに散策してみてください。
和とフレンチで、富山の旬に舌鼓を打つ
旅のお楽しみといえば、やはり食事ですよね。館内には日本料理の「樂味(らくみ)」と2020年2月にリニューアルオープンしたフレンチの「TRESONNIER(トレゾニエ)」という二つのレストランが併設しています。
どちらの店も、腕利きのシェフによる旬の地元食材を使った料理をこだわりの器で提供。また、ワインや地酒などのアルコールもお食事とともに堪能いただくことができます。空間美もさることながら、器や設え、そして見た目にも美しく盛り付けられた食材の宝庫・富山ならでは季節の味わいに舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。
一つとして同じ設えのない客室
客室は本館と新館合わせて23室。川側の部屋と玄関側の部屋では、それぞれ異なる景観をお楽しみいただけます。部屋の設えは一つとして同じものはなく、ベッドは全室、極上の寝心地を追求すべく、ぜいたくに馬毛を使用した寝具を用意。「本当によく眠れた」というお客さまの声もよく聞かれるとのこと。睡眠の質へのこだわりもホスピタリティの一環という姿勢がうれしいですね。
館内はほかにも雑誌や専門書をそろえたライブラリーをはじめ、肌触りの良い泉質を持つ温泉浴場、茶室やスパ施設があります。また旅の醍醐味であるお土産選びは、本館1階のショップでお楽しみください。富山の名産品や館内に設置されているスキンケア商品などセンスの良い品ぞろえが魅力です。
五感が研ぎ澄まされる非日常な時間を満喫
今年で創業20周年を迎える雅樂倶のコンセプトは「ひたる雅樂倶」。美術館の中にいるかのようなアート空間と自然にじっくり浸るひとときは、普段味わうことのできないリゾート感に加え、自分の五感を刺激し研ぎ澄ませてくれるような非日常な時間です。友人や恋人、家族と過ごすのはもちろんですが、一人でも十分にお楽しみいただけることでしょう。一生の思い出に残るといっても過言ではない至福の時間を過ごしていただきたいです。