食と流通の拠点となるまち・北海道旭川市
北海道のほぼ中央に位置する旭川市は、四季の変化に富み、盆地を囲むようにして連なる大雪の山々や石狩川を中心とした大小130を超える川など、自然が身近に感じられるまち。山々からの伏流水を受けて育つお米や野菜は、地域内外問わず愛され続けています。
豊かな自然が広がる一方で、札幌に次ぐ「第2の都市」としての機能も。古くから交通や流通における重要地点として切り拓かれ、発展してきたことも旭川の魅力の一つです。
大切な家族とのひとときに、温もりを
食と流通機能を魅力とするまち・旭川市から、ガラ抽出スープを使用し、多種のスパイスと調和させることで旨味を凝縮させた島田畜産の「スープカレー」を6食セットでお届けします。
チキンレッグを贅沢にまるごと一本使用し、北海道産のじゃがいもや玉ねぎ、にんじんが入ったスープカレーは、さらっとしながらもコクがあり、ほどよいスパイシーさが楽しめる味わい。好みの野菜をトッピングすることでスープに野菜の旨味が溶け出し、より深みが感じられます。そんな身体も心も温まるスープカレーの魅力を探るべく、「島田畜産」を訪ねました。
食肉加工のパートナー「島田畜産」
株式会社島田畜産は、1941年に初代代表が「島田精肉店」として創業。さまざまな時代の移り変わりや取り巻く環境変化を経験しながら営業を続け、約80年を迎える歴史ある企業です。
飲食店などの要望に合わせた食肉の成形や加工、レシピを忠実に再現した加工やレシピ開発などを行い、これまで培われてきた加工技術とアイディアで生み出されている製品も多種多様。近郊の42市町村への配達も行うなど、まさに「飲食店における食肉加工のパートナー」として奔走しています。
そんな島田畜産で、勤め始めて20年以上になる榎本 和政(えのもと かずまさ)さんにお話を聞きました。食肉加工とは関連のない分野の仕事に従事していた榎本さん。ご縁があって入社してからは、各地への配達業務を経て現在の製造・加工に関わる部門で日々奮闘しています。
「お客さまにきちんとした製品を提供するのはもちろんですが、実際にお客さまとやり取りをする担当営業が多くいるため、その担当にも迷惑がかからないよう、納期など含め細かくコミュニケーションをとることを心掛けています」と、仕事をする上で大切していることを語ってくれました。
手探りで追い求めた、味わい
数多くの加工品と向き合うなかで、スープカレーの製造を始めたのは今から約15年ほど前。とある事業者から注文を受け業務用として製造したことがきっかけでした。
「私は素人で入社したので、会社で作るもの全てが初めてという状態でしたし、当時はインターネットも今ほど普及していませんでした。それでも自分なりにいろいろと調べたり、手に入ったスープカレーの味を研究したりしていましたね」と、榎本さんは当時を振り返ります。
旨味が溶け込んだ、ガラ抽出スープ
スープカレーの大きな魅力の一つは、オリジナルのガラ抽出スープ。まずは、具としても使用されるチキンレッグを、時々アクを取りながら柔らかくなるまでじっくり煮込みます。
鶏の旨味が溶け込んだ出汁を取りながら、みじん切りにしたにんにくと玉ねぎを煮る工程へ。「この工程の前段階で牛脂を細切れにしたものを炒めています。不純物を取り除くとラードのような液体の牛の油になるので、その油と玉ねぎを一緒に煮込むことでコクと甘みが増すんですよ」と、おいしさを引き出す工夫について語ってくれた榎本さん。
牛脂は、牛肉を加工した際に余ってしまうものを再利用。今ある資源をできる限り無駄にせず活用しようとする取り組みを知り、心温まる思いでした。
そして、スープカレーの真髄ともいえるのはやはり「スパイス」。どのような種類のスパイスをどのくらいの割合で配合するのかによって、味わいや香り、色味にも個性が出るものです。島田畜産では、ガラムマサラ、クミン、カルダモンなど代表的なものを含め十数種類のスパイスを採用。全体的にバランスよく配合しながらも、香りや色味を左右するバジルの風味がより感じられる味わいに仕上げています。
炒め煮た玉ねぎ、スパイスに醤油やケチャップ、スパイスの効いたチャツネを混ぜ合わせ、全てを出汁へ投入。全体に味が行き渡るようになじませれば、室内にふわっと鼻腔をくすぐるよい香りが広がり、食欲をそそります。
最後は寸胴鍋へと移し、味を安定させるために一晩寝かせてからパック詰めへ。全工程通して無駄な動きがなく、手際よく作業が進みます。
幅広い世代が楽しめるマイルドな辛さを味わって
周りの意見を汲み取りながらも、最終的には自分の舌を信じて味わいを決めてきた榎本さん。「最初に決めた味からは、何度か変わっていますね。お客様の声を受けて工程を見直したり、改良も重ねています」と語る姿から、常によいものを作ろうとする向上心がうかがえました。
そんな榎本さんが中心となって製造したスープカレーは、マイルドな辛さで幅広い世代の方が楽しめる味わいに仕上がっています。家族団らんのひとときをより楽しく、よりおいしく。出来上がるまでの多くの試行錯誤の背景も感じながら、ぜひ一度味わってみてください。
北海道支部(北海道旭川市担当) / 山本 栞(やまもと しおり)
北海道旭川市在住。ごはんと自然をこよなく愛し、「自分で自分を満たす」をテーマに心地よいと思える暮らし方や生き方を模索&実践中。ライティングで大切にしていることは、「正直さと率直さを失わず、読み手に伝わるように事業者さまの魅力を表現すること」です。
自然と都市機能が共存する旭川市は、大雪の山々から流れる水で育つお米や野菜、この土地ならではの農業やものづくりが根付くまち。寒暖差激しい環境下で過ごす日々のなかに、絶景がたくさんあります。