本場・高知の“本物”をお届け。「わら焼きかつおのたたき」
海、川とともに暮らしをつくってきた、四国・高知。魚を自ら釣って食べる人も多く、海の魚も川の魚も新鮮なものが行き交う土地柄です。そのため、魚は、新鮮で安くて、おいしいのが当たり前。そんな高知の、代表的な魚料理が「かつおのたたき」です。
本場・高知のカツオの身は、鮮やかな赤色が特徴。「赤くなければカツオじゃない」というのが高知人の常識です。まるで宝石のルビーのような赤は、脂が控えめであること、そして何より鮮度の証。“本場の本物”は、この新鮮な生のカツオをさばき、ワラだけであぶり焼きます。臭みはほとんどなく、ゆたかな香りをまとわせ、さわやかにのどを通っていく絶品なのです。
鮮魚王国・高知で150年愛されるまちの魚屋「上町 池澤本店」
そんな“本場の本物”をつくる魚屋の一つが、明治の創業以来、高知市の中心地で営む「上町池澤本店」。鮮魚王国・高知で150年以上、地元に愛されてきた魚屋は現在、高知をはじめ、各地の旬の魚をその目利きで仕入れ、県外にも魚を販売しています。
今回ご紹介する高知市のお礼の品は、高知人が認める上町池澤本店の「わら焼きかつおのたたき」。鮮度抜群の生のカツオを、仕入れたその日のうちに調理して、その日のうちに発送するとても希少な返礼品です。タタキのこだわり、お店の歩みや思いなど、取材しました。
各地からの選りすぐり。だから、高知のカツオはおいしい
お話を伺ったのは、上町池澤本店5代目の池澤秀郎(いけざわ しゅうろう)さん。まずは、原料のことから話してくれました。「なんといっても高知の地の利は、全国各地から鮮度のいいカツオが集まること。その中から私たちは“おいしいもの”を選ぶことができます。気候や海や漁の状況などから、いつでも高知産のカツオが最高とは限りません。旬のカツオから“一番”を選ぶことができる、というのがまず重要です」
なるほど!カツオの消費量・日本一の県だけに、各地の旬から、“最もおいしいカツオ”を選べるというわけですね。しかも、船上で冷凍されたカツオをタタキにする場合も多い中、上町池澤本店では生を加工することにこだわっているそう。「カツオには個体差があって、中には独特の酸味や匂いを持ったものもあるんです。冷凍では判別できないものの、生をさばくことでその線引きができるので、生しか扱わないのですよ」
ちゃんと、わら焼き。香りも焼きもまったく違う!
焼きの工程のこだわりは、ワラだけで焼くこと。「わら焼き」をうたうタタキの中でも、基本はガスの炎で焼き、“香り付け”にワラを散らせることも多いのです。
「火のコントロールが大変だし、ワラがたくさん必要なので敬遠されるんですが、うちはずっとこのやり方を守っています。やっぱり、焼き加減、香りが全然違うんですよ。さらに言えば、カツオは個性が強くて、そもそも扱うのが難しい魚。同じ魚群の中から同じ船で釣り、同じ扱い方をしたとしても、ひとつひとつ違います。だからうちでは、職人が脂のノリや大きさ、色などを見極めて、焼き加減を変えているんです」。上町池澤本店のタタキは、努力と経験のなせる技の、結晶なのです。
薬味も調味料も全部お届け。手軽でうれしい!
その日仕入れたカツオを加工して真空パックし、その日のうちに発送する今回の返礼品。腹と身の柵2つに、ニンニク・ネギ・シソの薬味、タレ・塩の調味料までついているので、何も準備することなく、切るだけで食べられちゃいます。
そして、ぜひ試してほしいのが、塩とニンニクとで味わう、“高知ならでは”の食べ方。塩がカツオの旨みを引き立て、ニンニクが加わる旨みの相乗効果といったら!!上町 池澤本店のタタキは、本当にカツオ特有の臭みがなく、さっぱり。そのさわやかさで上品な味わいは、これまで味わったカツオのタタキとは似て非なるもの。その感動的な味わいで、お客さんの多くがリピーターになるというのも、うなずけます。
それにしても、生のタタキをお届けするのは大変では? 「冷凍技術は進化しても、カツオは解凍がどうしても難しく、生臭くなってしまいます。生のおいしさに勝るものはありません。受注管理が大変なので、タイミングが合わずにお断りしてしまうことも多いので、『冷凍の商品を作ってほしい』という要望もよくいただくんですよ。でも、冷凍だったら、うちのじゃなくていいじゃないですか。新鮮でおいしいものを届けたいのです」と、その理由を話してくれました。
5代目が生き残りをかけて、改革する
魚屋の家に生まれた池澤さんは、高校卒業後は大阪へ。IT関連の会社に勤めていましたが、「サラリーマンより、自分の手で商売をしてみたい」と、30歳で高知に戻り、家業に加わります。さばき、仕入れなどの経験を重ね、約10年。2012年に店を継ぎ、福利厚生や商品展開、販売方法などを一気に変えていきます。その指針になるのが、「『将来の夢は魚屋さん』と子どもたちに言われるようなかっこいい魚屋でありつづける」という経営理念です。そのために何ができるか、何が必要か、16人の従業員と力を合わせて常に挑み続けています。
土佐の豪気、老舗の心意気ごと、味わって
ふるさと納税への参画も、5代目の挑戦の一つ。時代の風、ニーズに合わせて新しいことに挑む一方で、上町池澤本店の「わら焼きカツオのたたき」は、手間がかかっても、同じ製法、同じ味を守り続けています。そのやり方が一番、おいしいとわかっているから。
土佐の豪気、上町 池澤本店の心意気が詰まった本場の本物の逸品を、ぜひ味わってみてくださいね。
四国支部(高知県高知市担当) / ハタノ エリ(はたの えり)
宮崎県の海のそばで生まれ育ち、高校卒業後は大学、仕事、夫の転勤を理由に全国各地10カ所以上で暮らしました。2017年、愛媛県松山市に移住。現在は、ライター、エディター、コピーライターとして、取材対象の言外からあふれるものを拾いながら、ひと・もの・ことを、ことばで表現しています。
今回の上町池澤本店さんのような老舗、レトロな路面電車など、時代が変わっても“変わらないもの”がたくさんある高知市。それは、暮らす人たちが自分たちのまちを大切にしているからこそ。人懐っこく、おいしいものにあふれた高知市の風土をぜひ一度、体感してもらえたらうれしいです。