松栄堂の創業は今から300年ほど前。丹波篠山の里長であった畑六左衞門守吉が商いの道を興した「笹屋」に始まります。京都御所の主水職を勤めた3代目守経のころ「松栄堂」として本格的に香づくりに携わりました。以来、12代目に至る今日まで、香づくり一筋に歩んでいます。
私たちがお作りするのは、宗教用の薫香をはじめ、茶の湯の席で用いる香木や練香、お座敷用のお線香や手軽なインセンス、匂い袋など「香百般」。最後の封の段階まで、心を込めた手作りの伝統の技が生かされております。貴重で繊細な天然香料ゆえに要求される細やかな心くばり、最良の香は熟練した手と技、本物を求める心と研ぎ澄まされた感覚の全てが調和したときに初めて創造されるのです。伝統の技と心を重んじつつ、しかも最新鋭の技術革新にも意欲を燃やす。それでこそ「老舗」の信頼が保たれると考えております。香文化の担い手として、時の年輪を暖簾に刻みながら、これからも香りの歴史を重ねてまいります。