網走市ローカル魅力発掘発信ワークショップ

網走市の「ローカル」の魅力を、あなたの手で発掘・発信しよう!

そこに暮らす人の「あたりまえ」が「特別」になる。

イベントレポート:網走市ローカル
魅力発掘発信ワークショップ(第1回目)

2021年7月25日、網走市・網走教育委員会主催、JTB共催で、網走市住民が地域の魅力を発掘し、全国に発信する手法を学ぶ「網走市ローカル魅力発掘発信ワークショップ」の第1回が、合同会社イーストタイムズ運営のもと開催されました。

ワークショップには、網走市や周辺市町村の学生から会社員、自営業の方にいたるまで、リモート会場で20名、オンラインで8名が参加。数多くのローカルニュースを発信してきた講師が、ソーシャルメディア時代のローカルニュースの3つの要素や、その実例を紹介し、後半のワークでは、参加者が自身の「驚き・発見・感動」に基づく網走市の魅力を発表しました。

「あばしり学」とのコラボレーションで魅力発掘と発信の手法を学ぶ

 北海道初開催となる「ローカル魅力発掘発信ワークショップ」は、網走市教育委員会「あばしり学」とコラボレーションし、全2回の開催で地域の魅力発掘と発信の手法を学びます。第1回目となる今回は、これまでYahoo!トピックスやBBCにも取り上げられるローカルニュースを発信してきた講師、合同会社イーストタイムズ代表の中野宏一さんによる講義とワークを行いました。

 前半の講義ではソーシャルメディア時代のローカルニュースの3つの要素として「現場性」「個別性」「ストーリー」が大切であることを解説し、実際にそれらがニュースになった事例も紹介しました。その上で、ローカルの魅力とは、ガイドブックやインターネットの検索で出てくるものではなく、それぞれの個人の「驚き発見感動そのもの」であり、それを伝わるように伝える事が大事だと語りました。

 後半のワークショップでは、参加者が網走や近隣の地域でで感じる「驚き・発見・感動」を、その魅力を一言で言い切る「見出し」をつけて発表しました。「見出し」とは、ニュースで使われる技法で、「見出し」だけを見て魅力を伝えきることで、より情報発信が伝わるようになると中野さんは強調します。

 オホーツク海に面し、豊かな食文化や広大な農風景に恵まれた網走ですが、参加者自身が実際に暮らす中で発見した魅力は、ガイドブックには載っていない魅力に溢れていました。四季折々の網走の魅力あふれる写真の美しさに中野さんも終始感動を隠せない様子で、それを「見出し」にするためのエッセンスを数多く紹介しました。

 講師と参加者は別会場となるリモート講義形式でしたが、多くの方が「驚き・発見・感動」とその「見出し」の発表に高い熱量で取り組んでいる様子が画面越しに伝わってきました。

食も風景も文化も。網走の知られざる“特ダネ”を、
そこに住む人々の手で「再発見」

 この「驚き・発見・感動」の発表で、中野さんから度々発せられた「特ダネですね!」というリアクション。地域に住んでいる人だけが知っている魅力こそ、インターネットで検索しても出てこない「特ダネ」であると中野さんは解説し、会場では深く頷いている様子も見られました。

 ワークの中で、「あたりまえだと思っていた網走の良さを、東京で暮らしたときに強く感じた」と語ってくれた参加者の方もいらっしゃいました。ローカルの魅力は、そこに暮らす人にとっては「あたりまえ」に感じることも多いのかもしれませんが、実はそれこそが他地域の方にとっては「特別」な価値を持っているもの。移住者目線での「驚き・発見・感動」を紹介してくれた発表では、そこに住んでいる方にとっても「魅力の再発見」があったのではないでしょうか。

 その中でも、何名かが「魅力」として発表してくれたのは、能取岬(のとろみさき)やオホーツク海の豊かな自然風景。四季折々で異なる表情を見せるオホーツク海は、多くの方に、それぞれ異なる「驚き・発見・感動」をもたらしているようです。
 さらに、その自然が生んだ食文化も魅力。流氷が運んでくる栄養満点なプランクトンで育つ「エゾバフンウニ」や、海を見ながら飲みたい「網走ビール」といった、舌で感じる網走の魅力も紹介いただきました。

「3年後の網走の姿を作る」課題に取り組む全2回

 イベント終了後も、Facebookグループでは課題の提出や参加者同士のコミュニケーションが活発に行われています。第2回のワークショップに向けて、「あなたの驚き・発見・感動に基づいた網走市の魅力を発掘してきてください」という課題も提示されましたが、今回取り組む課題が「3年後の網走の姿を作る」と意気込みを語ってくれた参加者の方もいらっしゃいました。

 こうした地域の熱量を未来へ繋げていくべく、参加者のみなさんのフォローアップをオンライン上でも継続して行っています。Facebookグループではそれぞれの投稿に講師がコメントを加え、より良い発信のポイントをレクチャー。参加者は2回目ワークショップまでに網走の魅力を深堀りし、ワークショップ当日は「魅力発掘発信レポート」略して「ハツレポ」を作成します。その後、ローカルの魅力をふるさと納税を活用して発信する方法を、講師と一緒に考えていきます。

「この魅力は世界的特ダネだ!」講師も驚愕の網走の魅力が続々と発表される。

イベントレポート:網走市ローカル
魅力発掘発信ワークショップ(第2回目)

2021年7月に開催された「網走市ローカル魅力発掘発信ワークショップ」の
第1回に引き続き、第2回が9月18日に開催されました。

 新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長により、日程変更に加え、オンライン開催となりましたが、網走市や周辺市町村の学生から会社員、公務員、自営業の方にいたるまで、14名が参加し、それぞれ、個人的な「驚き・発見・感動」を切り口にして発掘された地域の魅力を、「魅力発掘発信レポート」略して「ハツレポ」という形にして発表していきました。

 ワークショップの講師を務めたのは、前回と同様、これまでYahoo!ニュースのトップやBBCにも取り上げられるローカルニュースを発信してきたローカルニュースのプロであるイーストタイムズ代表の中野宏一さん。前回のワークショップも含め、網走を訪れるのが4回目になるそうで、すっかり網走に詳しくなり、網走の地に愛着が深まっているようでした。

 本レポートの執筆を担当したイーストタイムズの栗田も、飛行機に乗せて持ち込んだ折り畳み自転車で、オホーツクサイクリングロードを辿って網走からサロマ湖まで約40kmの距離をサイクリングし、網走の魅力を動画として発掘、発信しました。

 受講生たちは、第1回のワークショップで魅力の見つけ方や取材の仕方を学び、手持ちの写真から魅力を言葉として書き出すことに挑戦しました。最終回となる今回は、自分で見つけてきた地元の魅力に「見出し(タイトル)」を付け、写真を添えた「ハツレポ」を作成し、それぞれに発表しました。

「3秒」で魅力が伝わる見出しを作る

 ヤフーニュース記者などを経験したローカルの情報発信の専門家である中野さんは、記者クラブに大量に届くプレスリリースについての貴重なお話をしてくれました。中野さんによると、記者は、プレスリリースの見出しの部分だけを見て、「ニュースか、ニュースではないか」を判断しているそうです。その判断時間は、わずか3秒。これは、エレベーターに乗り合わせた時のような15秒や30秒といった短い時間でプレゼンテーションをする「エレベーターピッチ」よりもずっと短い時間です。中野さんは、これを「3秒ピッチ」と名付け、見出しの付け方を講義し始めました。

 今回、中野さんも唸らせた完璧な「3秒で伝わる見出し」が、受講生の中から生まれました。それは、猪澤 航さんのハツレポの「流氷明けの浪漫、海底熟成のお酒を愉しめる隠れ家BAR」という見出しです。この見出しから「流氷前に海底に沈めて、流氷後に取り出して愉しむお酒」という内容が容易にイメージできますよね。中野さんは、これは世界的に伝わるネタであり、巨大な観光資源が発掘されてしまったという直感が働いたようです。猪澤さんは、このハツレポの中で、「一緒に海底に沈めたワインや日本酒もそれは同じと思われますが、それは開けてみるまで分からない宝箱のよう」と、子供の頃に感じていたような「ドキドキ感」を感動として語っていました。

 また、平成生まれの鉄道ファンである大学生の福井滋士さんは、「もうすぐ開業110周年。網走駅そこに残された旧国鉄の遺構」という見出しのハツレポを発表。「湧網線の廃線跡がオホーツクサイクリングロードに転用されている」という、地元の人の中でもほとんど知られていない情報を交えながら、昭和レトロブームの中で作られた昭和ではなく、「残っている昭和」が網走駅に存在するという魅力を発信してくれました。中野さんも、「見出しもすごく良いし、ほとんど直すところがない」と太鼓判を押しました。

ワークショップで育まれた「ふるさとの魅力」が世界へ

 今回のワークショップを通して、網走には、ローカルニュースのプロである中野さんを唸らせ、世界へ轟く可能性を秘めたローカルの魅力が眠っていることが改めて分かりました。講評で、網走市商工労働課の篠原課主査は、会場となった「東京農業大学オホーツクイノベーションベース」が網走の魅力の発信源になったこと、網走市教育委員会の瀬口係長は、本ワークショップを通して今後もふるさとの魅力が世界へ発信されることへの期待をそれぞれ語りました。

 受講生の山田丈司さんは「地元に貢献したいという想いが、今回のワークショップを通して実現でき、大変良かった」と感想を話してくれました。山田さんのような地元愛溢れる人材がいること、世界に発信できる魅力が沢山眠っていることこそが、網走の最大の魅力であり、本ワークショップを起点に世界へ拡がりを見せるような、可能性に満ちたワークショップになりました。

ワークショップ参加者レポート

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