地域を越えて伝わる魅力発掘発信のカギは「自分の感動」
イベントレポート:阿蘇市ローカル
魅力発掘発信ワークショップ(第1回目)
自分が住んでいる地域には魅力がたくさんあるはずなのに、
なぜか地域の外の人に知られていない。そもそも地域の魅力ってなんだろう?
そんな課題や疑問を解決する「阿蘇市ローカル魅力発掘発信ワークショップ」
全2回コースの第1回が、2021年10月17日、阿蘇市主催、JTBの共催で開かれました。
講師は、これまでYahoo!ニュースのトップやBBC(英国放送協会)にも取り上げられるローカルニュースを発信してきた合同会社イーストタイムズ代表の中野宏一さん。中野さんは多くのローカルニュースに関わってきた経験から、地域の魅力発掘発信のカギはそこに住む人の驚き・発見・感動だと参加者の皆さんに語りかけました。「ガイドブックに載っているかは全く関係ない、あなたの『好き』を教えて下さい」
中野さんの投げかけに応じて行われた参加者のみなさんの発表は、自分の感動に貫かれているからこそ他にない切り口で阿蘇の魅力を伝えるものばかり。多くのローカルニュースに関わってきた中野さんを驚かせる特ダネがいくつも発掘されました。
様々な活動をする市民が、地域への想いを持って参加
宮城県気仙沼市、北海道網走市等、これまでに8つの自治体でのべ413人が受講し好評を得てきた『ローカル魅力発掘発信プロジェクト』のワークショップ。9自治体目となる今回は、熊本県阿蘇市が舞台です。
「高めよう地域の情報発信力」と題したワークショップの講師を務めたのは、合同会社イーストタイムズ代表の中野宏一さん。参加者は、地域の魅力とは何か、それをどうしたら効果的に発信できるかのレクチャーを受け、後半は、地域の魅力をニュースの「見出し」形式で発表するワークを行いました。1回目のワークショップに参加したのは、阿蘇市や周辺市町村、熊本県外から計21人(3人はオンライン受講)。普段はそれぞれ違う分野で活動する住民のみなさんが、阿蘇地域への想いを持って集まりました。
ローカルの魅力は住む人の心の中にこそある
ワークショップの冒頭で、中野さんは、「そもそも、ローカルの魅力って何でしょうか?」と問いかけました。
「阿蘇は有名な観光地で、インターネットでも様々な情報が紹介されていますが、果たして、住んでいる人の本当に好きな阿蘇の魅力は紹介されているのでしょうか。学校帰りに毎日食べた和菓子屋さんのお饅頭、神社にある大きな大きな木など、住んでいる人の心の中にある地元の姿はまだガイドブックにもネットにも載っていないかもしれません。実はそれこそが、思いへの共感を介して情報が広がるSNS時代の『ローカルの魅力』です」と中野さんは強調しました。
現代では、インターネットで検索しても出てこないものは「何もない」と判断されてしまいがちです。これに対して中野さんは、「ローカルには魅力が何もないわけではなく、発信されていないだけ。阿蘇のカルデラを越えて、九州・全国へ発信しよう」と呼びかけました。
自分の感動を「見出し」で伝える
自分が感じた感動を客観的に伝える実践として、講義の後半は受講生のみなさんが知る阿蘇の魅力をニュースの「見出し」形式で発表するワークを行いました。
小学校教師の佐藤琢朗さんは、「阿蘇の草原で満天の星空を眺める草泊まりキャンプ」という見出しで感動の体験を紹介。地元の小学生等しか体験できないという、教員だからこそ知っている魅力に会場から大きな拍手が上がりました。
中野さんからは、見出しの「草泊まりキャンプ」が人の心に訴えかける強い言葉なのでカギカッコに入れて強調すること、「地元の限られた人だけが体験できる」という旨を文中に入れる提案があり、より自身の感動を際立たせるアドバイスを受けました。
また、会社員の荒川妙恵さんは、「ASO田園空間博物館の牧野ツアー」という見出しで、牛や馬を放牧していて普段は立ち入ることが出来ない草原を電動のマウンテンバイクで楽しんだ体験を紹介しました。中野さんは、見出しには書かれなかった部分にこそ荒川さんの感動があり、「感動を前、情報は後」にすることをアドバイス。会場からも「なるほど」という声が上がりました。
2回目のワークショップに向け、魅力を発掘し取材へ
第2回のワークショップまでに、参加者のみなさんはそれぞれ街に出て「自分だから知っている」阿蘇の魅力を発掘。第2回目で内容をブラッシュアップし、その一部はJTBふるさと納税サイト「ふるぽ」でも掲載予定です。
今回も、多くのローカルニュースに関わってきた中野さんも驚く阿蘇の魅力がいくつも発掘されました。これから、そこに住む人だから知っているとっておきの阿蘇の魅力が「ふるぽ」で発信されるのをご期待ください。