どんな街にも魅力がある。自分の感動を発信しよう!
イベントレポート:大東市ローカル
魅力発掘発信ワークショップ(第1回目)
2021年10月9日、大東市主催、株式会社JTB、Rethink PROJECTの協力共催で、
大東市の住民が地域の魅力を発掘し、全国に発信する手法を学ぶ
「大東市ローカル魅力発掘発信ワークショップ」の第1回が、
合同会社イーストタイムズ運営のもと開催されました。
このワークショップでは、これまでYahoo!トピックスやBBCにも取り上げられるローカルニュースを発信してきた合同会社イーストタイムズ代表の中野宏一さんを講師に迎え、全2回に渡り地域の魅力発掘と発信の手法を学びます。
今回は、地域に暮らす人の驚き・発見・感動をニュースの手法を用いて特別な魅力として発掘・発信する方法を講義。講義を受けた参加者の皆様は、後半で大東市の隠れた地域の魅力を次々紹介。より伝わる内容になるように中野さんのフィードバックを受けました。
関西初の開催。都会の中で見つけたローカルの魅力とは?
今回で第8自治体目となるワークショップは、関西初の大阪府大東市で開催されました。講師が思わず「すごい」と唸ってしまうような魅力が毎回出てくるこちらのワークショップ。今回は、大学生から公務員、大学教員の方まで、会場では12名、オンラインでは3名の方が参加しました。
講義の中で、講師の中野さんは、「どんな街にも魅力はある。面白いと思わなかったら何もない街になるので、面白いと思うセンサーを張ることが大事」と、語りました。
今までの開催地の参加者さんが口を揃えて言うのが、第2回の開催までの課題『自分の街の魅力を探す』のために、いつもと違う道を歩いたり、前から気になったお店に入ってみたりと、「いつもより楽しい時間が過ごせた!」というお話も。参加者の皆さんの毎日を満ち足りたものにする取り組みであるこちらのプロジェクト。今までの開催地域と違い、家やビル、車も多い、大東市の都会での開催で見つけたローカルの魅力とは?
地域の人には当たり前のこと。
それを知らない人たちからは気になる魅力
宮城県気仙沼市は、実は駅から海までが遠いため、それを案内している女性がいる。
岩手県奥州市には、日本一の茅葺き屋根を持つお寺があり、向かいの橋から見るお寺も一味違った見方ができる。
北海道網走市には、ウィスキーをオホーツク海の流氷に沈めて、熟成させてお客さんに飲ませてくれるバーがある。
今までの全7回の開催で、そんな素敵な魅力をたくさんの方が発信してくれました。知らなかったことを知ることで感動し、共感し、その地域に興味を持ち、行ってみたいと思う。そんな連鎖がいくつも生まれてきたこのプロジェクトのその先には、希望者はイーストタイムズが運営するローカル魅力発信プラットフォーム「ローカリティ!」のレポーターとなり、今度さらなる発信者や共感者を広げていくことにつながります。
「分かるでしょ」が通じない相手に、分かるように伝えることが大事
地域の魅力は、インターネットや雑誌に乗っている情報ではなく、自分が感じた魅力、自分の「驚き・発見・感動」です。そして、それをどうやって伝わるように伝えるかが重要です。
「自分の伝えたい魅力を伝えようと思ったら、地球の裏側にいる日本語学習者にも伝わるかを考える必要があります。日本語は省略を美徳とすると言語であるため、“分かるでしょ”といった具合に、前提を省略して話してしまいがちです。魅力を誰かに伝える時には、同じ文脈を共有してない相手に伝えるように工夫しましょう」と中野さんは熱を込めて話します。前提となる情報を無意識に省略してしまうと、相手には伝わらなくなるのです。
また、読まれるインターネットのニュースには特徴があると言います。
例えば、雑誌は読者がお金を出して買ってるから、多少読みにくい部分があっても全部読まれることが前提です。一方、インターネットのニュースは途中で分からないことがあると、読者が途中で離脱してしまいます。なので、まずは見出しでそのニュースが持つニュース性を言い切ること、続いてリードでこれから何について話すのかを明確にすること、インターネットで調べてわかる情報は最後にまとめること、それらを意識して文章を作ると、グッと分かりやすくなります。
「音楽で街を活性化していきたい」「飯盛山付近の夜の匂い」
・・・自分の感動や想いのハツレポ
講義を通じて、何が地域の魅力なのか、どのようなことに気を付ければ相手に伝わるのかを学んだ参加者の皆さん。ワークショップでたくさんの魅力を発表してくれました。
参加者の辻田さんは、「住道(すみのどう)駅前ストリートピアノ」のハツレポを書いてくれました。立ち寄った時にフラッと弾けるストリートピアノがあり、たまにプロの方も演奏してくれるそう。ピアノとは無縁そうな人が急に切ないバラードを演奏して、周りの人がビックリすることも。何よりこのピアノを弾ける場所から見える夕日も綺麗で、「夕日が差し込む時間帯にピアノの音色があるとエモい。」と話してくれました。エゴラッピンの出身地でもある大東市、音楽にゆかりのある街で音楽で街を活性化できればと考えているそうです。
「夕陽が差し込みピアノの音色が響く一瞬がエモい、住道駅前ストリートピアノ」で見出しが成り立ちますね。共感を生むコンテンツが見事です!と、講師中野さんはコメント。大東市が街として押し出しているストリートピアノ……だと感動が伝わりませんが、目線を発信者に合わせていきましょうと、アドバイスをしました。
ふるさと納税の商品登録の業務に携わっている杼木さんは、今回参加した理由が、「どういうふうにしたら大東市の魅力を広く皆に知ってもらうことが出来るだろう」と、学びにきてくれました。
半年前に大東市に来られたそうで、「飯盛山付近の夜の匂い」のハツレポを書いてくれました。大東市は都会の中にありながら1時間で登れる飯盛山があり、夜の飯盛山の匂い、川風景、街並みが好きなのだそう。山に登らなくても飯盛山付近は森の匂いがして、それを街中で感じられるとのこと。過去の旅行の記憶や学生時代の修学旅行など、古い楽しい記憶が蘇る匂いを感じると、想像して懐かしい気持ちになると話してくれました。
講師中野さんは、「五感にフォーカスしているところが素晴らしいです。」とコメントし、見出しに「街中でも感じられる……」と入れることで、都会からこの距離感で自然が残っていて、登っていなくても匂いで感じられることが分かる、と話しました。
また、「大東飯店」のハツレポを書いてくれた竹中さん。大東市四条畷(しじょうなわて)駅から少し歩いたところにある先代から50年間続く大東飯店には、愛嬌のあるおじいちゃん2人がいる街中華のお店。『焼きめし、焼きそば、天津飯』、その「すべてが同じ色をしているが、すべてが優しい味付けで、一度食べると忘れられない。」「50年間味が変わってない」と語ってくれました。
会場の参加者さんが頷いて笑顔で共感している姿に、今回のプロジェクトの想いを改めて実感した気がしました。「どの街にも魅力はある」そんな初め話から、このワークショップで繋がった方たちや共感した想いに、今後のいろんな可能性が広がっていくキッカケだと感じています。