秋田市ローカル魅力発掘発信ワークショップ

秋田市の「ローカル」の魅力を、あなたの手で発掘・発信しよう!

イベントレポート:秋田市ローカル
魅力発掘発信ワークショップ(第1回目)

11月1日(日)、秋田県秋田市で、地元の人しか知らない隠れた魅力を掘り起こし、
届ける「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」のワークショップが開かれました。

全2回のワークショップにおける1回目。プロジェクト第3弾の自治体にして、初めての県庁所在地での開催です。受講生たちが魅力の伝え方を学び、自分で見つけた地元の魅力に「見出し(タイトル)」を付ける実践までが行われた当日の様子をお伝えします。

県庁所在地での初開催、みんなが認知していない魅力の再発見と発信を

株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが、今年度、新たに立ち上げた「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」の第3弾となるワークショップは、11月1日、県庁所在地として初めてとなる秋田市で開かれました。

会場の秋田市役所には、SNSでの情報発信やフリーペーパーの制作などで悩み抱える地元の会社員や公務員、それに大学生などの15人が集まったほか、東京や石川県に住む5人がオンラインで参加しました。

ワークショップでは始めに、主催した市の人口減少・移住定住対策課の菊地真課長が挨拶し、「若い世代の転出者が多い秋田市では、地元の良さに気づき、愛着と誇りを持ってもらうことが、持続可能なまちづくりにつながると考え、魅力の掘り起こしと発信に取り組んでいる。受講生者にはワークショップを通じて、私たちが認知していない魅力を再発見し、いろんな人に発信してほしい」と、開催の趣旨を説明しました。

「情報発信」は世界最先端の分野、あなたの驚き・発見・感動がニュースだ

このあと、イーストタイムズ代表の中野宏一講師が「ローカルの魅力ってなんだろう」「地域の魅力を『発掘』する方法」「地域の魅力を効果的に『発信』する手法」をテーマに講演を行いました。

この中で中野講師は、「情報発信」自体は、SNSを企業や個人が使うようになった過去10年の間に発達した極めて新しい専門分野で、これをローカル(地元)の魅力の発掘・発信に応用するのは世界最先端の取り組みであることを紹介しました。

また、新聞社の校閲記者だった自らの経験をもとに、「ニュース」の枠組みは多くの人が既に関心を持っている事件・事故や政治の話題にとどまらないと話し、“他の誰か”ではなく“自分”が、驚き、発見し、感動したことこそが「ニュース」であり、その人が暮らす地域の「魅力」であると伝えていました。

その上で、魅力を他の誰かに伝わるように伝える手段として、具体的に、①「現場性」があること(ネット検索ではないこと)、②「個別性」があること(「私」の感動があること)、③「ストーリー」があること( ≠ 情報の羅列)を挙げました。

「ニュース」と「魅力」の相関性について、中野講師は、「記者が伝える使命を持っている『ニュース』と、記者以外の私たちが伝えたいと思っている『魅力』は、SNSの発達などによる時代の変化により、似た概念となりつつある。であるならば、それらを伝えるのは『遠くのプロ(記者)より、現場の住民』が良いと思うようになった」と話していました。

「見出し」を付ける実践を経て、次回は本格的なレポート作り

ワークショップの後半では、これらを踏まえて、受講生たちが手持ちの携帯電話の写真に「見出し」を付ける実践を行いました。受講生たちは、写真の場所や好きな理由、なぜ驚き・感動したのかなどを考え、SNSのグループに投稿していきました。

このうち、大学生の園部美晴さんは、仙北市の農家民泊の夫婦を取り上げ、夫婦が世話好きなことから、「温かいおせっかい、第二のふるさと」という見出しを付けました。

また、学校の先生をしていたという笹渕雅子さんは、朝の散歩をしている地元の川沿いや公園で見る風景などを取り上げました。これに対し、中野講師は、「どれもすばらしい地元の魅力。どれか1つに絞って見出しを考えてみては」とアドバイスしていました。

秋田市のワークショップの2回目は11月28日(土)に行われ、受講生は、見つけてきた魅力を題材に、「魅力発信レポート」略して「ハツレポ」を作って発表します。

魅力のネタ探しで気づく「私は秋田が好き」

イベントレポート:秋田市ローカル
魅力発掘発信ワークショップ(第2回目)

11月28日、きりたんぽ鍋や「秋田竿灯まつり」で有名な秋田市で、
地元の人しか知らない隠れた魅力を掘り起こし、
届ける「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」のワークショップが開かれました。

11月1日に開かれた1回目のワークショップに続く、最終回となる2回目。受講生の方々には、前回のワークショップで学んだ地域の魅力の発掘方法を使って、秋田市の魅力を探していただきました。さて、一体どのような魅力を掘り起こしてきてくれたのでしょうか。

魅力を伝えるのは「遠くのプロより現場の住民」

11月1日の1回目のワークショップで「ローカルの魅力とは何か」をテーマに、魅力の見つけ方や取材の仕方を学び、手持ちの写真を題材に魅力を言葉として書き出すことに挑戦した受講生たち。最終回となる今回のワークショップには、1回目を受講した人で、地元で情報発信などに取り組む会社員やユーチューバー、それに地域おこし協力隊などの15人のほか、2人がオンラインで参加しました。

 ワークショップでは始めに、講師でイーストタイムズ代表の中野宏一さん(36)が挨拶し、「地域には、そこに暮らす住民でなければ気づけない魅力があふれています。魅力を伝わるように伝える方法さえ身につければ、遠くのプロの記者より現場の住民の方がもっと魅力を伝えられます」と話し、ワークショップ後半の受講生からの発表に期待を込めました。

「収集が生きる道」「期待しないで行ったら意外とすごい」
自分だけのハツレポが次々と

このあと、受講生たちは前回のおさらいをし、実際に、自分で見つけてきた地元の魅力に「見出し(タイトル)」を付け、写真を添えた「魅力発掘発信レポート」略して「ハツレポ」を作成し、それぞれに発表していきました。

(写真上から)森川淳元さん、畠山基子さん。ワークショップではそれぞれのハツレポを発表し合った。

このうち、市内在住の会社員の森川淳元さんが発表したのは、油谷滿夫さんという80代の男性が半世紀以上にわたって収集した約60万点の生活用品に関するハツレポです。男性は、このうちの約20万点を市に寄贈しました。現在、寄贈した生活用品は旧金足東小学校で展示・収蔵されているといい、森川さんは、このエピソードに「身近なくらしの博物館『油谷これくしょん』」という見出しをつけました。マイクを渡された森川さんは、「収集活動にすさまじい情熱を燃やす男性に感動しました」と話してくれました。

これに対し、中野さんは、森川さんのハツレポに書かれていた「ゴミでも1000年経てば宝物」「人が捨てた物を拾って生きるなんて自分にしかできない。収集が自分の生きる道だ」といった、かぎかっこ(=「」)のついた言葉に着目。かぎかっこで、取材先の人生を見事に浮かび上がらせている」と絶賛し、「ゴミでも1000年経てば宝物」という表現を見出しにも入れるようアドバイスしていました。

また、秋田市で生まれ育った会社員の畠山基子さんがハツレポにしたのは、市の南東に位置する東成瀬村で採れた野菜を販売する直売所「すみれファーム」の魅力です。2018年に畠山さんが住む市内の自宅近くにオープンした「すみれファーム」ですが、最近まで、お店の存在に気付かなかったそうです。初めてお店を訪れた際に、畠山さんが「なぜ秋田市で東成瀬村の野菜を販売するのか?」と店主に聞いたところ、店主は「東成瀬村で育てたおいしい野菜を故郷の秋田市の人にも広く伝えたい」と答えてくれたといいます。お店と地域にかける想い聞いた時の感動を、ハツレポとして表現しました。

畠山さんのハツレポを読んだ中野さんは、「近所の魅力を驚き・発見・感動として表現する着眼点がすばらしいです」と講評。その上で、「 感動したポイントを、もっと厚く丁寧に表現するとともに、分かりやすい構成を考えるといいですね」とアドバイスしました。

会の終了後、畠山さんから「意外と難しかったです。しっかり聞いたつもりでも、書いてみるとまだまだ(情報が)足りませんでした。もっと魅力を深堀りできるなと思いました」と、発信の難しさと奥深さについてコメントがありました。

 また、4月に秋田市にUターンで戻ってきたという笹渕雅子さんが「ネタを探してるうちに、『私、結構、秋田のこと好きだなぁ』と思いました」と、改めて地元愛に気付けたと語る場面もあり、参加者一人ひとりの「私は秋田市のこれが好きだ!」という気持ちが、思いっきり爆発したワークショップとなりました。

ワークショップ参加者レポート

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