このワークショップでは、これまでYahoo!トピックスやBBCにも取り上げられるローカルニュースを発信してきた合同会社イーストタイムズ代表の中野宏一さんを講師に迎え、全2回に渡り地域の魅力発掘と発信の手法を学びます。

今回は、地域に暮らす人の驚き・発見・感動をニュースの手法を用いて特別な魅力として発掘・発信する方法を講義。講義を受けた参加者の皆様は、後半で大東市の隠れた地域の魅力を次々紹介。より伝わる内容になるように中野さんのフィードバックを受けました。

今までの開催地の参加者さんが口を揃えて言うのが、第2回の開催までの課題『自分の街の魅力を探す』のために、いつもと違う道を歩いたり、前から気になったお店に入ってみたりと、「いつもより楽しい時間が過ごせた！」というお話も。参加者の皆さんの毎日を満ち足りたものにする取り組みであるこちらのプロジェクト。今までの開催地域と違い、家やビル、車も多い、大東市の都会での開催で見つけたローカルの魅力とは？

宮城県気仙沼市は、実は駅から海までが遠いため、それを案内している女性がいる。
岩手県奥州市には、日本一の茅葺き屋根を持つお寺があり、向かいの橋から見るお寺も一味違った見方ができる。
北海道網走市には、ウィスキーをオホーツク海の流氷に沈めて、熟成させてお客さんに飲ませてくれるバーがある。

今までの全7回の開催で、そんな素敵な魅力をたくさんの方が発信してくれました。知らなかったことを知ることで感動し、共感し、その地域に興味を持ち、行ってみたいと思う。そんな連鎖がいくつも生まれてきたこのプロジェクトのその先には、希望者はイーストタイムズが運営するローカル魅力発信プラットフォーム「ローカリティ！」のレポーターとなり、今度さらなる発信者や共感者を広げていくことにつながります。

地域の魅力は、インターネットや雑誌に乗っている情報ではなく、自分が感じた魅力、自分の「驚き・発見・感動」です。そして、それをどうやって伝わるように伝えるかが重要です。

「自分の伝えたい魅力を伝えようと思ったら、地球の裏側にいる日本語学習者にも伝わるかを考える必要があります。日本語は省略を美徳とすると言語であるため、“分かるでしょ”といった具合に、前提を省略して話してしまいがちです。魅力を誰かに伝える時には、同じ文脈を共有してない相手に伝えるように工夫しましょう」と中野さんは熱を込めて話します。前提となる情報を無意識に省略してしまうと、相手には伝わらなくなるのです。

また、読まれるインターネットのニュースには特徴があると言います。

例えば、雑誌は読者がお金を出して買ってるから、多少読みにくい部分があっても全部読まれることが前提です。一方、インターネットのニュースは途中で分からないことがあると、読者が途中で離脱してしまいます。なので、まずは見出しでそのニュースが持つニュース性を言い切ること、続いてリードでこれから何について話すのかを明確にすること、インターネットで調べてわかる情報は最後にまとめること、それらを意識して文章を作ると、グッと分かりやすくなります。

講義を通じて、何が地域の魅力なのか、どのようなことに気を付ければ相手に伝わるのかを学んだ参加者の皆さん。ワークショップでたくさんの魅力を発表してくれました。

ふるさと納税の商品登録の業務に携わっている杼木さんは、今回参加した理由が、「どういうふうにしたら大東市の魅力を広く皆に知ってもらうことが出来るだろう」と、学びにきてくれました。

講師中野さんは、「五感にフォーカスしているところが素晴らしいです。」とコメントし、見出しに「街中でも感じられる……」と入れることで、都会からこの距離感で自然が残っていて、登っていなくても匂いで感じられることが分かる、と話しました。

会場の参加者さんが頷いて笑顔で共感している姿に、今回のプロジェクトの想いを改めて実感した気がしました。「どの街にも魅力はある」そんな初め話から、このワークショップで繋がった方たちや共感した想いに、今後のいろんな可能性が広がっていくキッカケだと感じています。

『どんな街にも魅力はある』と、改めて気付かせてくれるローカル魅力発掘発信ワークショップ。大東市の第2回目の開催は、会場では5名、オンラインで5名の方が参加しました。前回の開催から1ヶ月。自らの驚き・発見・感動こそが地域の魅力であり、その魅力は伝わるように伝えればちゃんと伝わるということを学んだ参加者の皆さん。取材の期間を経て、今回は、どんな魅力を発信してくれるのでしょうか。

参加者の方々が取材してきてもらった魅力をブラッシュアップする前に、前回の講義の振り返りが行われました。

「“あなたの地元の魅力って何ですか？”と聞かれると、インターネットで検索して観光地を調べたり、ここには有名なところはないと答えてしまったり、そんな話をよく聞きますが、地元の魅力は、あなたが魅力だと思うことでいいんです」と力説する中野さん。

「例えば、スリバチ（谷や窪地の凸凹の地形）マニアの中では、4方向を丘に囲まれた窪地を一級スリバチと呼び、かつて大名屋敷でお城があったなど必ず人為的な物があるが、一部の間でしかそんな話は出てこないそう。そんな隠れた魅力や自分の感動を発信していけば、共感してくれる人も増えるのでないでしょうか。有名な観光地よりも個人的なものでいい、むしろ、個人的な魅力がいいんです。僕の好きな魅力はネットには載ってません。」と中野さんは続けました。

中野さんは、続く復習のパートの中で、感動の伝え方についてもレクチャーしました。

伝えたいという想いがそこにあれば伝わり、逆に伝えたいという想いがなければ何千文字書いても伝わりません。ですが、自分がワクワクして伝える面白い話は、多くの人が聞いてくれます。さらには、“何が美しいと思ったか”、“何が素晴らしかったか”など、自分の感動を整理して、それをわかるように伝えることが大事ですね」とアドバイス。

復習を終えると、参加者の皆さんから、大東市ならではのハツレポが続々と発表されました。　　　　　　　　　　　

「完璧というくらい、素晴らしい！　多くの人に届けたい。どんなニュースサイトでも、この話をここまで魅せることは出来ないと思う。これだけこの人たちがここに想いを持っていたことが、すごく伝わるレポートだと思います」と中野さんはコメント。

「もし可能なら、カギカッコを取ったママさんの名前やお写真をいただけたら、より良いレポートになると思います。さらにはmorinekiの街ができたのはいつ、伐採されたのはいつ、プロジェクトが始まったのはいつ、などを『いつ』を入れることで、さらに分かりやすくなると思います」と、アドバイスをしました。

そんな裏側のハツレポを書いていただきました。保存会は、4〜50代の方が中心に30人ほどで活動していてると話してくれました。

中野さんからは、「見出しはこれでOK！実際のだんじりの時の様子も教えていただきたい。保存会の人たちって何やってるんだろう？と皆んなが思うので、そこももっと書いてもいいかもしれません」と、アドバイスがありました。

オンラインの参加者のハツレポも含めて、全ての発表が終わり、講評として、大東市役所産業・文化部次長兼産業経済室室長兼課長の中村さんにお話しを伺いました。

「生まれも育ちも大東市の私には、本日の皆さんのハツレポ聞いて、身近に生活していたものがものすごく魅力のあるものだと改めて思っています。話の一つ一つを、改めて思い出しました。世代が変わっていくことで、古いものも新しいものも魅力として発信していかなければならないと思っています」