世界で愛されるクラフトビール | 茨城県那珂市 の旅行レポート

桜やひまわりなど、花の名所やイベントで名高い茨城県の那珂市。
この町には、幕末の創業以来、オリジナルブランドのお酒を製造・販売し続ける酒造があります。
なかでもクラフトビールは、国際大会で何度も金メダルを受賞している逸品。
その味と香りに酔いしれたくて、花の町に出かけました。

世界で愛されるクラフトビール | 茨城県那珂市 の旅行レポート

桜やひまわりなど、花の名所やイベントで名高い茨城県の那珂市。この町には、幕末の創業以来、オリジナルブランドのお酒を製造・販売し続ける酒造があります。なかでもクラフトビールは、国際大会で何度も金メダルを受賞している逸品。その味と香りに酔いしれたくて、花の町に出かけました。

町を彩るフラワーフェスティバル

町を彩るフラワーフェスティバル

 茨城県北部に位置する花の町、那珂市。そんな那珂市きっての桜の名所が、日本さくら名所100選に選ばれている「静峰ふるさと公園」です。約12haの広大な敷地には4月中旬から5月初旬にかけて、約2000本の八重桜を中心にソメイヨシノやシバザクラなどが咲き乱れ、園内はピンク一色に。開花時期に合わせて開催される「八重桜まつり」には、多くの人が詰めかけます。
 一方、夏に大地を彩るのは、ひまわりです。「那珂総合公園」の周辺のひまわり畑では、約25万本のひまわりが咲き誇り、その光景はまるで黄色い絨毯のよう。例年、8月最終土曜日に開催される「なかひまわりフェスティバル」は、八重桜まつりとともに、那珂市を代表するイベントです。

〈上〉静峰ふるさと公園は、昭和40年(1965)に丘陵地の地形をいかして造られた 〈下〉那珂総合公園周辺のひまわりは、8月の終わりが見頃


世界に羽ばたくふくろうマークのビール

世界に羽ばたくふくろうマークのビール

 静峰ふるさと公園から車で10分ほどの場所にあるのが、文政6年(1823)に創業した「木内酒造」。清酒の「菊盛」が有名な老舗ですが、ほかにも焼酎、梅酒、リキュール、ワインも製造しています。なかでも世界的に人気を集めているのが、クラフトビールの「常陸野ネストビール」。可愛らしいふくろうのトレードマークは、ビール好きなら一度は見たことがあるかもしれません。
 「常陸野ネストビールは、地元の農家さんたちの協力の賜物です」。そう言うのは、木内酒造企画室の萩谷真千子さん。常陸野ネストビールニッポニアに使用されている「金子ゴールデン」は、昭和30年代に絶滅したビール麦。木内酒造ではこの麦を、地元の農家の方々と協力して復活生産させたのです。この土地で栽培された麦や農作物を用いた常陸野ネストビールは、その個性的な味わいから世界50 ヵ国で販売されるクラフトビールに成長しました。

〈上〉江戸時代に庄屋だった木内家が年貢米の余りで酒造りを行ったことから、木内酒造の歴史は始まった 〈左下〉現在の木内酒造では、若い社内杜氏たちが活躍している 〈右下〉敷地内の店舗では、すべての酒が揃うとともに全商品の試飲ができる

 平成8年(1996)に誕生した常陸野ネストビールは、誕生翌年に開かれた世界コンテストで金賞を受賞したのを皮切りに、数々のコンテストでの受賞歴を誇ります。当初は3種類でしたが、現在は常時16種類がラインアップ。「米麹を使用するという、酒蔵の知識を応用したビールもあるんですよ」と、萩谷さん。
 木内酒造では、酒蔵やビール工場の見学のほか、もちろん試飲も楽しめます。いただいたのは、ビールの中で一番人気だという「ホワイトエール」。スパイスの香りと小麦の酸味が絶妙にマッチした味わいのビールは、ビールが苦手だという方にこそ、ぜひ飲んでもらいたい木内酒造の自信作。さすが、いくつものコンテストでチャンピオンに輝いただけあると実感させてくれます。

〈上〉常陸野ネストビールは370~440円(330mℓ)  〈左下〉麦汁の製造を行う仕込み室では8~10時間をかけて糖化、ろ過、煮沸、冷却を行う  〈右下〉熟成室には貯蔵タンクが林立する。最先端の設備から高品質のビールが造り出される


酒とともに味わう極上の常陸秋そば

酒とともに味わう極上の常陸秋そば

 木内酒造では、クラフトビールのほかに、もう一つのお楽しみがあります。それが、そば。茨城県の北部といえば、全国のそば職人からも高い評価を得るブランド品種「常陸秋そば」で有名です。木内酒造の敷地内に立つ「蔵+蕎麦 な嘉屋」では、酒造の酒とともに、この常陸秋そばが味わえます。
 酒蔵の営むそば処だけに、そば打ちに使用されている水は、酒造りに用いる仕込み水。そば粉十に対してつなぎ一で作る外一のそばは、コシが際立って、歯ごたえも喉ごしも抜群。

〈左上〉かき揚げそばのミニコース(1880円)。自家農園で栽培した野菜をふんだんに使用したかき揚げのほか、前菜三種、ミニスイーツ、仕込水のコーヒーが付く  〈左下〉大正時代の米蔵を改造した重厚感のある店内。テーブルには酒槽の一枚板を使用  〈右〉酒蔵の清らかな水が、そばの味と香りを引き立てる

 常陸野ネストビール同様、な嘉屋のそばも、地元の協力があって成り立っています。というのも、この店で使用されている常陸秋そばは、ビール麦の金子ゴールデンの裏作として、やはり地元の方たちが栽培しているから。そばは、ビール麦を収穫したあとのやせた土地でもしっかり育つため、裏作に適しているのだそうです。
 木内酒造を訪れた際、「どうして酒蔵がそば処を?」と思う人は多いようですが、ビール工場を見学しながら説明を聞いて、なるほどと納得。萩谷さんが言います。「ビール造りの流れのなかでそばが生まれたということを知ったうえで、ビールを飲みながらそばを味わうと、おいしいさもひとしおだと思いませんか?」

 木内酒造では現在、金子ゴールデンの一部を用いてウィスキーの製造にも取り組んでいます。最初のウィスキーができるのは、数年後とか。どんなウィスキーが誕生するのか楽しみです。
(2019年1月)

〈上〉ビール麦の収穫が終わった畑では、そばが白い実をつける  〈左下〉常陸秋そばは粒ぞろいが良く、香りが高く、甘みが強いのが特徴 〈右下〉ウィスキー製造は木内酒造の新たなチャレンジ。2019年にはウィスキーの新工場も可動予定

実は那珂市の特産品! 青パパイヤを食べて健康になろう

実は那珂市の特産品! 青パパイヤを食べて健康になろう

南国フルーツでおなじみのパパイヤですが、実は主産地では、完熟前の青パパイヤを野菜として食べるのが一般的。そんな青パパイヤが手に入るのが、那珂市の「やぎぬま農園」です。無農薬の有機農法で栽培したパパイヤは、たっぷりの酵素をはじめ多くの栄養素を含む健康食品。那珂市の特産品ブランドに認定され、パパイヤのドレッシングや漬物など多彩な加工品も揃います。

店内にずらりと並ぶ青パパイヤの収穫時期は10~12月。パパイヤの新たな魅力を知ることができる料理教室も開催

SPOT LIST

静峰ふるさと公園(しずみねふるさとこうえん)

【電】029-298-1111(那珂市商工観光課)【住】那珂市静1720-1【交】JR静駅から徒歩30分【料】無料【時】9~17時(八重桜まつり期間中は変更あり)【休】月曜(祝日の場合は翌日)【P】300台

那珂総合公園(なかそうごうこうえん)

【電】029-297-0077【住】那珂市戸崎428-2【交】JR常陸鴻巣駅から車で10分【料】無料(運動施設使用は有料)【時】9~21時【休】月曜(祝日の場合は翌日)【P】300台

木内酒造(きうちしゅぞう)

【電】029-212-5111【住】那珂市鴻巣1257【交】JR常陸鴻巣駅から徒歩10分【時】9~19時(日曜・祝日は〜18時30分)【休】無休【P】30台

蔵+蕎麦 な嘉屋(くら+そば なかや)

【電】029-270-7955【住】那珂市鴻巣1257【交】JR常陸鴻巣駅から徒歩10分【時】11時30分~14時30分(土・日曜・祝日は11時30分~14時30分、17時30分~19時30分LO)【休】木曜【P】30台

やぎぬま農園(やぎぬまのうえん)

【電】029-219-8127【住】那珂市菅谷3690【交】JR下菅谷駅から徒歩15分【時】10~17時【休】日曜(9~11月は無休)【P】10台

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