湯布院きのこ村は、大分県由布市湯布院町で椎茸(しいたけ)の栽培を始めて約50年を数えます。
おいしい椎茸を栽培するため、栽培環境(気候・湿度・日中の気温変化)が最も適した湯布院の山中で 菌床栽培ではなく、くぬぎの原木栽培で椎茸を栽培しています。旨みと甘みを存分にたくわえた自慢の椎茸です。
地元・湯布院の老舗旅館さまではお食事の食材やお土産、寄贈品として、また百貨店さまではご自宅用として、ご利用いただいています。くぬぎの原木栽培ならではの、椎茸の旨み・甘み・香りをご堪能ください。
栽培方法
わたしたちはあくまで原木栽培にこだわっていますが、
菌床栽培のメリットである「安定的な出荷」を原木栽培に取り入れるため、施設の温度を春や秋、つまり椎茸の旬の気温で保っています。
山・水
原木栽培に使用しているくぬぎ原木は、祖父の時代に80ヘクタールの原野に植林し、それ以来50年以上、手を入れ守り続けている山から切り出しています。
湯布院の地下水を使用し、農薬を使わずに栽培しています。
有機認定を受けています。
農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された「有機JAS認証」取得しております。
『安心安全なきのこ』として召し上がっていただけるだけでなく、原木椎茸は椎茸の
旨み・甘み・香り
をご堪能いただける椎茸です。
ぜひご自宅で召し上がってみてください。
湯布院の原木椎茸と、椎茸を使った3種のソースセット
今回ご紹介する返礼品は、大分県由布市湯布院町で育った原木椎茸と、その椎茸を使った3種類のソースのセットです。
「キノコペースト」は、生・乾(ほし)・冷凍の3つの状態の椎茸をミックス。それぞれの食感が楽しめ、うま味も凝縮されているのでパスタやスープに使うと濃厚な味わいに。「ミートキノコソース」は料理人の野村友里さんがプロデュース。キノコペーストにトマトソースと鹿児島県「ふくどめ小牧場」の幸福豚のひき肉を使用。具材が大きくて食べ応えがあり、コクも堪能できます。「椎茸ベーゼ」はジェノベーゼから発想を得たソース。たっぷりのキノコソースが溶け合った和の風味と、椎茸とくるみの食感が特徴的です。
椎茸のソースが毎日のメニューに広がりをもたらす
とある午後、3つのソースで友人にランチを振る舞いました。オリーブオイルを塗ってカリっと焼いたバゲットに、キノコペーストと椎茸ベーゼを贅沢にたっぷりと。ミートキノコソースはシンプルにパスタに。大ぶりにカットされた椎茸とひき肉の存在感は、もはやおかずになりうるほどの歯ごたえです。椎茸ベーゼはパンチのある濃いめの味なので、カナッペや野菜のディップなどでお酒のつまみにするのもおすすめ。「椎茸ってこんなに食べ方のバリエーションがあるって知らなかったね」と、身近すぎて気付けなかった魅力にハッとしたのでした。
次はどんなふうに食べてみようかと、料理欲が高まる極上のソースが今回の返礼品。早速、その産地と作り手を取材しました。
湯布院の雄大な自然に育まれる椎茸
やってきたのは、大分県の中央に位置する由布市湯布院町。「ゆふいん」と言えば、温泉の湧出量・源泉数ともに全国2位を誇る九州きっての温泉地です。季節を問わず多くの旅行客でにぎわうスポットとして人気を博しています。
由布市のシンボルでもある秀峰由布岳をはじめ、1000m級の山々に囲まれた由布院盆地に広がるのは、のどかな山里と田園風景。そんな豊かな場所に、ソースの作り手であり、原木椎茸の生産者である「湯布院きのこ村」はあります。
大分県は原木椎茸のふるさと
取材したのは、湯布院きのこ村の3代目、佐藤聖二さん。祖父の代から50年、原木椎茸栽培を生業にしています。「原木椎茸に必要不可欠な、クヌギの山から案内しますね」と、椎茸栽培をしている場所から、隣町の塚原高原へと軽トラを走らせました。
そもそも、大分県は全国でも有数の椎茸の産地。江戸時代に大分県で原木栽培が始まったと言われています。店頭に並ぶ椎茸の大半は菌床ですが、大分県には肉厚でうま味の強い椎茸が育つほだ木に最適なクヌギ林が広大にあるため、希少な原木椎茸の栽培が盛んなのです。
標高600mの山でクヌギのほだ木を自給
車で30分ほどで、クヌギの山に到着しました。昭和46年に佐藤さんの祖父が塚原高原の原野を購入し、クヌギを植林。佐藤さんが受け継いだ今も、この山で椎茸栽培用のクヌギを自給しています。標高600mの山の面積は実に23ha。見渡す限りのクヌギ林が、椎茸栽培のためのものだということに驚かされました。山に入ってクヌギを育て、切り倒す作業は本当に骨の折れる仕事であることは想像がつきます。「おいしい原木椎茸を育てるために大切な仕事の一つなんですよね」と、佐藤さん。椎茸栽培への並々ならぬ努力とこだわりに圧倒されたのでした。
ビニールハウスに広がる森の香り
次に訪れたのは、椎茸が育つビニールハウス。中に入ると、ふんわりと森の香りが立ち込め、椎茸の菌を打ち込んだ400本以上のほだ木が棚にずらりと並んでいました。椎茸の分厚さは遠くから見ても一目瞭然。
秋から冬の終わりまでが一般的な椎茸の生産時期ですが、湯布院きのこ村では通年で月に30kgの出荷を目指しています。それがかなえられるのは、1日の温度差を10℃ほど変化させていること。そして味や香り、肉質を最高のものにするために、自前のクヌギのほだ木を使うことに加えて、湯布院盆地特有の気温の寒暖差や、朝霧によって空気中の水分量が増すこと、湯布院の冷たい地下水の活用により菌に刺激を与えて元気に発芽させていることなど、湯布院の自然を味方にした徹底的な環境管理のたまものです。
湯布院きのこ村では、どの季節も安定して良質の原木椎茸を出荷できることが高く評価され、有機JASに認証されています。「原木椎茸を通年つくっている農家で有機JASに認証されているのは全国でもうちだけだと思いますよ」と佐藤さん。椎茸の性質を熟知し、年々変わる自然環境を常に肌で感じ、さまざまなことを微調整しながら湯布院の風土に適した手の掛け方で大切に育てているのです。それができるのは、佐藤さんの長年の経験があってこそ。
共感と喜びを循環させる椎茸づくりを目指して
佐藤さんの椎茸づくりへの真摯な姿勢は、おいしさに直結しています。「湯布院御三家」と呼ばれる老舗旅館の料理になくてはならない食材となっており、ほかにも、百貨店やネットショッピングに引き合いがあるなど、食通のお客さまから注目を集めています。「湯布院の仲間や、食や文化、芸術などに造詣の深い方たちと話をする機会が多く、その中で商品づくりのヒントをもらっています。ものづくりへの思いを共感できる人とのつながりを大切にして、ひたむきに椎茸栽培に取り組めたら。それがお客さまに喜んでもらえたり、湯布院への恩返しや社会貢献の一部になれたら嬉しいです」。
椎茸を手軽に食べてもらうために
最後に、返礼品に含まれる3つのソースを作った理由を聞きました。「焼く、煮る、だしをとる以外にも、もっと手軽に、さまざまな食べ方で椎茸を味わってもらいたい」との思いから、ソースを考案することにつながったのだそう。調味料はニンニクやオリーブオイルをベースに、国産の天然醸造醤油などの体に優しい素材を吟味。椎茸の味が引き立ち、かつ料理とのバランスの取れた味わいになるように開発。パスタやラザニア、スープなど、味の好みで3つのソースを使い分ければ、メインにも隠し味にもなる、いろんな楽しみ方があります。佐藤さんの思いと湯布院の風土が詰まった椎茸とソースを、ぜひ五感で味わってみてくださいね。
九州支部(大分県由布市担当) / 牧 亜希子(まき あきこ)
大分県大分市出身、在住。九州各地の魅力をデザインや言葉、写真を介して伝えることを生業に長年携わってきました。プランナー・ライターとして自分がいいなと思った直感を信じて「ならでは」「だからこそ」を表現し、それぞれの土地の魅力を編集し続けていきます。
秋から冬にかけての早朝、由布院盆地に広がる朝霧は幻想的。期間限定で運が良かったら絶景に出会えますよ!