沖縄の原風景広がる南城市
沖縄本島南部・太平洋をぐるりと囲むように位置する南城市。大きく伸びたサトウキビや昔ながらの赤瓦屋根、高い建物が少なく海や空が一望できる美しい景観など、沖縄らしい原風景が残る町です。
自然いっぱいに出迎えてくれる宿
南城市の大自然をかき分け、さらに奥に進んだ場所にある地域・百名。静けさに包まれた百名の海沿いに、独立型ラグジュアリーリゾート「百名伽藍(ひゃくながらん)」は佇みます。琉球石灰岩や赤瓦屋根など沖縄の素材で造られた建築美は、まるで文化遺産のよう。
暗がりの入り口から入り、洞窟のような通路を進むと、突如ひらけた空間が目の前に広がります。
開放感のあるロビーの大窓からは、一面に広がる美しい海と、あたたかく差し込む陽の光が目に入り、宿泊客をやさしく出迎えてくれます。天気のいい日には海の向こうに久高島(くだかじま)が見えることもあるそう。
中へ進むごとに広がりを見せる百名伽藍の中央吹き抜け部分には、大きながじゅまるの木が威風堂々とそびえ立っています。
まるで木から呼吸が聴こえてきそうなほどの圧倒的な生命力。なんと、その力強さゆえに一度テラスを突き破ったことがあるのだそう。その時ホテルが出した決断は、木を切ることではなく「テラスを壊すこと」。その計らいに、自然への敬意を感じずにはいられませんでした。
雄大な自然と静けさに、心洗われる宿
「百名伽藍は、自然とともに生きることを目指すホテルです」。そう教えてくれたのは、百名伽藍・副支配人の西向信枝(にしむかい のぶえ)さん。ホテル内で聞こえる生き物の鳴き声や目にする植物の正体などにも詳しい、いわば百名のプロフェッショナルです。
「百名伽藍のテーマは『光と影と風を感じる』です。館内は風の通り道を計算して窓を開放し、ロビーやレストラン、客室どこからでも海が見えるように設計されています。食事や入浴を楽しみながら、心地よい風を感じ、時間とともに移り変わる海を眺め、小鳥のさえずりに耳を澄ませながら、のんびりと過ごしていただきたいです」
裏テーマは「禅」。精神を研ぎ澄ませる空間も
百名伽藍の裏テーマには「禅」の心があります。「禅」の”すべてをそぎ落として無になる”ための空間として、40畳のフリースペース「禅の間」を設けています。ここでは座禅を組んでもよし、ヨガや瞑想をしてもよし、ごろごろしてもよしと、自由。足すのではなく引く場所として、不安やストレスから徐々に自分を開放していきます。
ちなみに百名伽藍の名称は、地名である「百名」と、僧侶が修行する場所という意味の「伽藍」が由来なのだとか。
ダークセラピー空間で、自然の力をとり戻す
14室のエグゼクティブスイートと3室の伽藍スイートからなる百名伽藍。今回のお礼の品であるエグゼクティブスイートは、68~85平方メートルの広さに、全室オーシャンフロントのくつろぎの空間が広がります。
日の登りとともに起き、日が沈むと眠る「ダークセラピー」を取り入れた客室内は、間接照明のみ。自然界の明暗に逆らわずに過ごすことで、身体のリズムが整うのを感じます。
ベッドの配置は、起き上がった瞬間に早朝の海が見える位置にこだわりました。朝は窓から飛び込む海の青い光で目覚め、窓を開けると吹き抜ける風と潮風の香り、ゆらゆらと揺れる波とその音に、心も身体も癒されます。
五感がよころぶ伽藍巡り
館内1階の回廊は、さまざまなアート鑑賞が楽しめるギャラリー空間。ここにある作品は百名伽藍を運営する会社のデザイン部が製作しており、琉球の歴史上に残る人物があらゆる感性のもと描かれています。それぞれの表情やタッチの違いを楽しみながら、琉球王朝時代の偉人たちに思いを馳せるひとときをご堪能ください。
中庭に出ると、そこにも数々のアートが散りばめられています。中でも思わず立ち止まってしまうのは、雄大な緑に包まれるように佇む琉球石灰岩でできた石仏。木々の茂みと沖縄の湿気を帯び、ずっしりと鎮座する姿からは、神秘的な魅力が放たれています。
離島に飛び込んだような最上階で、極上のバスタイムを
百名伽藍に宿泊したら絶対に味わってほしいのは、完全予約・完全貸切制の露天風呂での極上タイム。露天風呂がある最上階は、まるで離島の集落のように庵(小さな住居)が6つ立ち並び、それぞれに畳の間と露天風呂が配置されています。
お湯まで空色に染まったひたすらに青い空間での、自然と一体となるようなバスタイムは至福のひととき。夕暮れ時には一面がオレンジに染まり、朝はキラキラと光に満ちた空間になる時間の移り変わりも楽しみのひとつです。その日その瞬間を楽しむように、体の芯から温まるやすらぎをご堪能ください。
和と琉球が織りなす美食の数々
宿泊の際はすべての五感を癒してほしいからと、プランはいずれも1泊2食付き。宮古島出身のシェフが腕を振るう「レストラン・ダイニング甘露」では、和食と琉球料理が融合された創作料理「和琉会席」が提供されます。
石垣牛やあぐー豚・島野菜など、シェフが厳選した食材をふんだんに使用した和と琉球のコラボレーションをご賞味あれ。日替わりの朝食は、沖縄のフルーツや搾りたてのフレッシュジュース、中味汁(モツを使った沖縄のお吸い物)やホテルオリジナルのぼろぼろジューシー(沖縄風の雑炊)など、沖縄のエネルギーがたっぷり!朝から身体がよろこびます。朝ごはん後はビーチ散策もおすすめですよ。
百名のパワーを受け取りながら、自分自身に語りかけるひととき
百名伽藍から降りた場所にある百名ビーチは、琉球の創設神である女神「アマミキヨ」が久高島から渡ってきた場所で、地元では聖地として大切にされている浜辺です。その浜辺と浜辺周辺に生える木々の形に添うようにして建設された百名伽藍は、一棟一棟がジグザグに造られています。
恵まれた土地と、その恵みに感謝し、寄り添うように建つ百名伽藍は、人が研ぎ澄まされるための条件がすべて整っているようにも思えます。ホテルが磨き上げた空間で、自然に溶け込んでいくようなホテルステイをぜひ体感してください。
ふるさとLOVERS 『百名伽藍』体験レポートはこちら
沖縄支部(沖縄県南城市担当) / 三好 優実(みよし ゆみ)
沖縄県那覇市在住。香川県で生まれ育ったのち、大阪や東京で仕事中心の生活を満喫していましたが、沖縄旅行で「人」の魅力にはまり、仕事をあっさり手放して移住。1年くらいで別の土地に行こうと思いきや、早6年が経過しました。ライター歴は5年。
私にとって南城市は、沖縄で一番車を走らせるのが楽しい場所。なぜだか元気になれるので、ひそかに光合成スポットと呼んでいます。