沖縄随一のブランド肉「あぐー豚」
沖縄の食卓に欠かせない肉といえば、豚肉。「鳴き声以外は全て食べる」という言葉があるほど、沖縄の食文化に深く根付いています。それゆえ沖縄ではさまざまなブランド豚が育てられていますが、中でも特に人気が高く、高品質とされているのが「あぐー豚」です。
身は柔らかく甘味とコクのあり、他の豚に比べ融点が低い脂身は口に入れるとすぐに溶けるので、後味さっぱり。しゃぶしゃぶは、そんなあぐー豚のおいしさを最大限に生かせる食べ方の一つです。肉そのものはもちろん、肉の旨味が溶けだした出汁を含めて、一つの完成された料理と言えるでしょう。今回の返礼品は、あぐー豚の人気しゃぶしゃぶ専門店「食彩酒房まつもと」による、厳選した南城市産あぐー豚のみを使ったセットです。
多くの著名人に愛される名店「食彩酒房まつもと」
食彩酒房まつもとが店を構えるのは、沖縄有数の繁華街、那覇市内の松山というエリア。多くの飲食店がひしめき、浮き沈みの激しいこの地において、20年もの長い間多くの人々に愛されてきた名店です。
「沖縄で初めてあぐー豚しゃぶしゃぶに特化した店が、まつもとでした」と教えてくれたのは、二代目オーナーの具志堅(ぐしけん)茂さん。約20年前の2002年、まだメジャーではなかったあぐー豚の魅力にいち早く気付いた前オーナーが、今よりもずっと小規模な店をオープンさせました。「当時は狂牛病問題の影響などもあって豚肉需要が高まっていましたし、いわゆる『沖縄ブーム』でしたので、観光客を中心に人気が出ました」。
いつしか牛肉問題が落ち着き沖縄ブームが去っても、まつもとの人気は衰えることはありませんでした。特に沖縄出身の芸人たちや、キャンプのため沖縄を訪れる野球選手、マスコミ関係者の間で評判となり、人が人を呼び、ますます繁盛するように。今では店舗は拡張され、多くのスタッフが働く企業へと成長を遂げました。
舌の肥えた著名人をとりこにし、県内外に多くのファンを持つまつもとのあぐー豚。なぜそれほどに魅力的なのか、その理由を探りました。
高品質のあぐー豚。その飼育は飼料作りから始まる
おいしさの理由はまず、あぐー豚の飼料。「私は飼料会社も経営しており、あぐー豚専用の栄養豊富な飼料を開発しました」と具志堅さん。特に出荷前の2、3カ月は、ハーブや木酢、もろみかすなどを飼料に加えることで、豚独特の臭みを消し、脂身は濁りのない白に、赤身をよりきれいな色に仕上げるそうです。
「飼育は、信頼のおける南城市の『おおいしばるファーム』に一任しており、養豚のプロのもと、豚の健康状態にも気を配りながら大切に育ててもらっています」。さらに具志堅さんは食肉加工の会社も経営しており、品質のよい部分のみを厳選して提供しているのです。
おいしさを最大限に引き立てる特製ダレ
まつもとのあぐー豚しゃぶしゃぶが愛される理由は、その肉のおいしさを引き立てるタレにもあります。実は具志堅さんは、沖縄の老舗味噌醤油会社「赤マルソウ」の会長でもあり、まつもと専用のものを作るほど、タレに力を入れています。詳細なレシピは企業秘密とのことですが、あぐー豚の脂身の甘さを際立たせるさっぱり味で、サラダなどにも使えそうな万能の一品です。
もう一つの調味料はやはり特製の、柚子胡椒ならぬ「シークヮーサーこしょう」。アクセントとしてタレに溶かしてもいいですが、火を通した肉に直接つけ、そのまま食べるのがおすすめ。こしょうの辛さとシークヮーサーの酸味が相まって、いくらでも肉が進みます。
こちら2つの調味料はもちろん返礼品のセットに入っていますので、ぜひ食べ比べてみてくださいね。
脂が全てをおいしくする!自宅での楽しみ方
ご家庭での楽しみ方は、まず白菜やネギ、しいたけ、豆腐などの鍋料理に合うお好みの野菜を、お好みの出汁で煮ます。出汁は、だしの素などを使ってもよし、自家製でもよし。あぐー豚の脂が、どんな出汁でもさらにおいしくしてくれます。
野菜に火が通ったところで、お待ちかね、豚肉の投入です。あまり時間を掛け過ぎず、でもしっかり火を通したら食べ頃です。
万能ねぎなどの薬味を入れたタレに豚肉をくぐらせて、まずひと口。その甘さと、火を通す前の脂の量からは想像できないほどのさっぱり感に驚くはずです。肉そのものの味を楽しむなら、タレに入れずに、シークヮーサーこしょうを少しつけるのがおすすめです。
溶けだした脂の旨味をたっぷり吸ったお野菜も味わい深く、こちらが主役といってもいいほど。具を食べた後に残った極上のスープは雑炊にして、最後まで食べつくしていただきたい逸品です。おいしいしゃぶしゃぶにお腹も心も満たされて、食卓が一層幸せに彩られるに違いありません。
あぐーの魅力は脂にあり!
「店が拡大しても、肉の吟味だけは人に任せず、自分でやっています」と具志堅さん。選び抜かれた高品質のあぐー豚だからこそ、バラ肉という脂身の多い部位であっても上品なコクがあり、脂っこさが一切ないのだと納得しました。
普段は脂身を避けがちな方こそ、ぜひ試してみてはいかがでしょう?重さやしつこさは全く感じられず、むしろ爽やかな甘さとコクが、口いっぱいに広がるはずです。
沖縄支部(沖縄県南城市担当) / 仲濱 淳(なかはま じゅん)
生まれも育ちも埼玉県。東京でテレビ制作会社、出版・イベント会社へ勤務するかたわら、海ナシ県で育ったせいか海への憧れが異常に強く沖縄病に罹患。沖縄の観光系企業への転職を機に13年前に移住し、Webマガジン、情報誌の編集を経て、フリーランスに。うちなーんちゅの夫と娘とともに、海がかろうじて見える那覇に住んでいます。
自然豊かで、のどかな時間が流れる南城市。ヨーゼフのようなものづくりの工房も多く、クラフトの町としても知られています。