手作りのおいしさを旭川から全国に届ける「プリン専門店」
北海道北部の中核都市・旭川は雄大な大雪山系の山々に囲まれた自然豊かな街です。そんな旭川にある「スノークリスタル北海道」は、北海道産の材料にこだわった手作りのプリンを全国に届けています。丁寧に作られた極上プリンは、口のなかでとろける濃厚な味わいと香りも楽しめると、全国のデパートなどで開催される物産展でも大人気。その美味しさの秘密をスノークリスタル北海道の坂井紀幸さんと工場長の犬伏(いぬぶし)光一さんに話を伺いました。
スノークリスタル北海道は、2007年に「プリン専門店」としてオープンしました。スノークリスタル北海道が作るプリンは、生乳や卵、甜菜糖などの材料はすべて北海道産を使用。動物たちの躍動感あふれる姿を見せる展示で入園者数日本一を達成した「旭山動物園」のキャッチコピー”奇跡の動物園”にあやかり「奇跡のプリン」と命名しました。
旭山動物園でも販売され、たちまち人気商品に。オープンの翌年に開催された「プリンの殿堂2008」では、全国2000個の中から第2位に選ばれるなど、発売して間もない頃から高い評価を受けています。
全国の物産展でも人気の「奇跡のプリン」
坂井さんは社長の同級生で、前職は煎餅屋に勤めていた経験の持ち主。「煎餅もプリンも、材料を練って焼くという点では変わりません」と笑います。
スイーツ店では商品の一つとしてプリンを販売するのが一般的ですが、「専門店としてプリンを突き詰めようと思いました」と、坂井さんは言います。今回返礼品として紹介する「カスタード」のほかに、「キャラメル」「バニラ」あっさり味の「レトロ」のほか、店舗限定商品もあるなど、さまざまなテイストが用意されています。
甘い香りに誘われて製造工程を見学
工場には甘い香りが立ち込めています。工場長の犬伏さんに製造工程を説明してもらいました。
最初に北海道産の生乳と卵、甜菜糖(てんさいとう)を練り合わせます。生乳はチーズの製造過程で出来るホエーを使用。「プリンの殿堂2008では、ホエーの豊かな香りと濃厚な味わいが評価されたのだと思います」と、犬伏さんは自信をのぞかせます。
スイーツの甘味料には、生地がしっとりとする上白糖や、さくさく、ふんわりとなるグラニュー糖などが使われますが、スノークリスタル北海道のプリンは甜菜糖を使うことで、まろやかでやさしい甘みを生み出しています。
練り合わせられた生地は、卵の殻などが入らないように、網で濾しながらカップに注がれています。すべて手作業で行っているため、一日最大2500個作るのが限界。11月から注文が多くなるため、犬伏さんが注文数を確認しながら、その日の生産数を決めているそう。「商品を切らさず余さずが私の役割」と犬伏さんはいいます。
生地をバーナーで軽くあぶって気泡を飛ばしたあと、仮蓋を取り付けて92度で45分間焼き上げます。オーブンから出した後、冷水で冷やして完成です。驚くほどシンプルですが、素材の良さを活かすにはベストな工程だそうです。
素材の良さが活かされた絶品プリンを召し上がれ
返礼品と同じ「カスタードプリン」をいただきました。プリンの表面が層になっているのは乳脂肪分が高い証。甜菜糖のまろやかな甘みと、ホエーの濃厚さが調和していて、さっぱりとした中にも力強さを感じます。カラメルは全体のバランスを考えて作られており、おいしさに余韻を残しています。全国の物産展で人気なのも納得の味でした。
旭川から旅だったプリンが全国の人たちを笑顔にする
「旭川で実直にプリンを作り続けていることを全国に伝えたいという思いから、ふるさと納税に手を上げました。手作りプリンのおいしさを、たくさんの人に味わってほしい」と、坂井さんは願っています。作業場では箱詰めされたプリンが出荷を待っていました。ここから旅立つプリンは全国各地に届き、食べた人を笑顔にするのでしょう。思わず「行ってらっしゃい」と、声をかけたい気分になりました。
北海道支部(北海道旭川市担当) / 吉田 匡和(よしだ まさかず)
札幌市出身、在住。社会福祉士の資格と経験を持つ異色の「おでかけ系ライター」。2016年にフリーライターに転向し、2017年に個人事業所「ブーレオルカ」を設立しました。「楽しさが伝わる」、「すべての人に有益である」、「記憶に残る」の3つを信条に執筆しています。
旭川は自然の宝庫。大雪山系の山々には北海道の固有種「ナキウサギ」をはじめ、さまざまな野生動物が生息しています。山の源流から流れ出した清らかな水は、大地に潤いをもたらし、おいしい農作物を育てています。冬の凍えるような寒さに対して人の心も名物のラーメンも温かい。何度も訪れたくなる素敵な街でした。