新鮮を食卓に届ける「町村ブランド」
石狩平野の中央部、札幌市の東隣に位置する約12万人の中核衛星都市、北海道江別市。札幌市のベッドタウンでありながら、農業や酪農も盛んな大地で、「町村農場」は、170ヘクタールの広大な敷地を生かして約360頭ものホルスタインを飼育しています。
「食卓に一番近い農場」というキャッチフレーズを掲げ、育てた牛から搾った新鮮な牛乳を使い、数々の乳製品を製造しています。
優れた牛乳がおいしい乳製品の源
現在、“町村ブランド”を冠する乳製品のアイテムは30種類以上。どの乳製品も100%自社で搾った牛乳が使用されており、「香りがよく濃厚でおいしい」と評判です。中にはフランスの国際大会で金賞を受賞したものもあるんです。
その中から、今回の返礼品に選ばれた8品目は、お客様のニーズに合わせてセレクト。飲むヨーグルトやチーズなど、ダイレクトに味わえるものから、バターなど料理に活用していただける加工品までさまざまです。
100年間受け継がれる創業者の思い
今や、北海道を代表する乳業会社の町村農場。その三代目、町村 均(まちむらひとし)社長に酪農への想いや乳製品へのこだわりなどを伺いました。
はじまりは、大正時代。アメリカで近代農業を学んだ初代の町村敬貴(まちむらひろたか)が大正6年、石狩町(現:石狩市)に農場を建設しました。「健康な牛は健康な草で育つ」の考えのもと、牛の品種改良や、エサ、土地づくりなどに注力。北海道の酪農の礎を築きます。昭和2年には現在の江別市に移転。創業100年を過ぎたいまも創業者の思いを守り、真摯に酪農に向き合っています。
ストレスを軽減する環境を重視「牛づくりのこだわり」
町村農場では年間約200頭の牛が産まれ、大切に育てられています。「ストレスを感じない牛は健康に育つ」との思いから、狭い場所に閉じ込めたり、柵などにつなぎとめたりすることなく、牛が牛舎の中を自由に歩き回れる「フリーストール」を採用。また、牛舎と搾乳スペースを完全に分けるなど、牛にとって安心で快適な環境を重視しています。
良質な食べ物が高品質な牛乳となる「エサへのこだわり」
さらに、「良いエサが健康な牛を育てる」の考えのもと、乾燥した牧草や、サイロで青草を乳酸発酵させたものや、自家栽培しているトウモロコシなどを、牛の状態に合わせて与えています。タンパク量や脂肪量、ミネラルなど、栄養が計算されることで一年を通して変わらない品質が保たれるのです。
また、こだわりは土にも及び、糞尿を有機肥料に活用したり、ミネラルなど栄養分がたっぷり含まれた牧草が育つよう常に手入れが行われています。
返礼品の誕生秘話やおいしさの秘密をリポート!
土から考えて、丹精込めて育てられた牛だけあり、牛乳はとても濃厚です。素材のよさがたっぷり反映されたのが、町村農場の乳製品。今回の返礼品について、誕生秘話やおいしさの秘密を、町村社長に教えてもらいました。
町村農場の歴史と共に歩む「新鮮純良バター」
まずはバターから。創業者がアメリカで学んだ「食卓で乳製品を楽しむ文化」を形にしたのが「新鮮純良バター」です。牛乳から分離した生クリームを一晩ねかせて、風味を引き立たせてから加工。心地よい香りと豊かな風味が広がるバターは、トーストや料理など、幅広く活用できますよ。
お客様の希望を商品化「食塩不使用バター」
「食塩不使用バター」は、あっさりした味わいで口当たりがよく、なんと「何もつけずにバターだけを味わいたい」というお子さんもいるのだそう。100年近く前に開発された商品が、いまもなお変わらず愛され続けていることに驚かされました。
町村社長のアイデア満載の「発酵バター」はクリームに合わせる乳酸菌が決め手。「焼き菓子の材料としても相性がよく、菓子職人にも高く評価されています」と、町村社長も納得の逸品です。
濃厚なのにアッサリ「のむヨーグルト」
こちらは「町村農場 あじわい のむヨーグルト」。生乳に加糖脱脂練乳を加えることで、最初は濃厚な味わいが力強く、最後はアッサリした後味に仕上げています。「この食感は他にはないと思いますよ」と町村社長。酸味が抑えられて飲みやすく、さわやかな風味だけが口に残るので、ヨーグルトが苦手な方にもおすすめです。
試行錯誤の末に完成した4つのチーズ
バター、飲むヨーグルトに続く町村ブランドとして、町村農場ではチーズづくりを始めました。これまで手掛けた乳製品と異なる製法が求められるため、試行錯誤の連続だったそうです。専属スタッフが大手チーズ会社で「チーズ名人」と呼ばれた職人の指導を仰ぎながら、4種類のチーズが完成しました。
フランスの国際大会で金賞受賞「芳醇な香り漂うクリームチーズ」
まずは、町村農場のチーズのクオリティを証明する「クリームチーズ」から。添加物を使わず、クリームと牛乳だけで作られるチーズは、口の中で砕けるような食感の後、すぐになめらかに溶けていきます。2015年には、フランスの国際大会「モンディアル デュ フロマージュ」で金賞に輝きました。ステーキやサラダのトッピングにもピッタリですよ。
みずみずしさが最高!炙ってもおいしい「モッツァレラチーズ」
次にご紹介するのが、「町村農場モツァレラチーズ」。ミルクの香りが強く、噛みしめると牛乳の成分が流れ出すみずみずしい味わいです。トマトと食する「カプレーゼ」の材料としても相性がよく、しょう油をつけてお刺身のように食べても美味。熱を加えるとよく伸びるので、トーストやピザにも最適です。
町村農場の「カマンベールチーズ」は白カビを抑え、皮も薄めにするなど、万人向けにアレンジ。「独特のクセを抑えるのに苦労しました」と、開発の思い出を聞かせてくれました。また、「町村農場 ゴーダチーズ」は、熟成期間を通常よりも少し長めにすることで、うま味成分が結晶化。セミハードタイプのチーズはそのまま食べてもおいしいですが、軽く炙るとトロリとした食感と、よい香りが楽しめます。
商品を通じて江別市の魅力を伝えたい
江別市は農業、酪農、工業、商業など、様々な産業が息づく街。町村社長は、「江別市の町村農場として、商品を通じて自治体の名を広めるとともに、地域の魅力を伝えていきたい」と語ってくれました。
創業者の思いを忠実に守りながら、農場内のミルクガーデンでコンサートを開催したり、出前授業を通じて子どもたちに酪農の魅力や牛乳のおいしさを伝えるなど、地域の人々に貢献する町村農場。そんなこだわりや思いがギッシリ詰まった逸品は、一度口にすれば「乳製品って、こんなにおいしかったんだ」と驚かされますよ。
北海道支部(北海道江別市担当) / 吉田 匡和(よしだ まさかず)
札幌市出身、在住。社会福祉士の資格と経験を持つ異色の「おでかけ系ライター」。2016年にフリーライターに転向し、2017年に個人事業所「ブーレオルカ」を設立しました。「楽しさが伝わる」「すべての人に有益である」「記憶に残る」の3つを信条に執筆しています。
江別市は農地や牧場に囲まれた田園都市でありながら、札幌市のベッドタウンとして発展しました。農業、酪農はもちろん、それらを原料としたグルメやスイーツ、北海道遺産に登録されているレンガなど特産品にあふれていますよ。