コンパクトな組み立て式の焚き火台
キャンプをはじめ、アウトドアがブームの今、一人でも大勢でもいろんな楽しみ方が生まれています。キャンプの醍醐味の一つが「焚き火」。地面に生えている芝や植物にダメージを与えず満喫するためのマストアイテムが「焚き火台」です。環境に負担をかけず焚き火をしたい!そんな方には、日崎工業株式会社(以下、日崎工業)のステンレス製焚き火台「Kumpel(クンペル) ファイヤースタンド」が、欠かせないアイテムになるかもしれません。
「Kumpel ファイヤースタンド」は組み立て式の焚き火台です。解体した際の厚みは3cm以内で、付属のキャンバス地収納ケースにコンパクトにしまうことが大きな魅力。「キャンプで焚き火したいけど、荷物がかさばるのはちょっと…」そんな要望を叶えてくれるアイテムです。
火力も調整可能な焚き火のグリル
焚き火台はもともと薪を入れて炎を楽しむためのアイテム。しかし、ファイヤースタンドの本体には、台の四隅に設置する「グリルパーツ」が付属しているので、付属のプレートや金網を乗せれば“焚き火のグリル”も楽しめます。(※金網はご自身でお好みのものをご用意ください)。グリルパーツを取り付ける位置を変えれば、金網の高さを変えることができるため、火力も4段階に調整することができます。
メタルワークのプロ集団が誇る板金加工技術
川崎の臨海工業地帯に本社と工場をおく日崎工業株式会社は、創業55年の”板金加工ひとすじ”の会社です。板金加工とは、大型のモニュメントやオフィスビルの企業ロゴ、商業施設のフロアマップなど街を支える金属を作る技術。「こんなものも板金加工で作られていたんだ!」と知って驚く、私たちの生活や企業活動を支える技術のひとつです。
そんな日崎工業が手がけた焚き火台は、ステンレスに精美な加工がなされ、細かいパーツもスムーズに取り外しが可能。加工された金属板を一目見ただけでも、計算し尽くされた設計であることが伝わります。どんなきっかけで開発に至ったのでしょうか?
“端材の活用”から生まれたアイデア
「金属加工の過程で出る『端材』を活用したいという思いから、この焚き火台のアイデアが思い浮かんだのです」。そう教えてくれたのは、アウトドア事業部の齋藤一也(さいとう・かずや)さん。Kumpel ファイヤースタンドを、同社内で企画・開発するメンバーの一人です。
金属加工技術に特化して日本のものづくりを支えてきた日崎工業がいま注力するのは、環境に優しいものづくり。屋上部分に設置した太陽光パネルの電力を用いたり、環境にやさしい電力で稼働するトレーラーハウスなどを製造するなど、事業全体で脱炭素への取り組みも推進しています。
焚き火台も、そんな姿勢から生まれた製品。加工する過程で必ず出るステンレス・鉄・アルミなどの薄い板状の金属の端材を生かして製品作りに取り組む、会社として初めてのDtoC(メーカーが直接ユーザーに販売するビジネスモデル)ブランド「Hi-Monde(ハイモンド)」への挑戦がはじまったのです。
ライフスタイルに欠かせない“パートナー”を目指して
日崎工業から生まれたDtoCブランド「Hi-Monde(ハイモンド)」のなかでも、キャンプギアなどアウトドアの用品のラインナップをそろえるのが「Kumpel(クンペル)」シリーズ。その代表作であるのが、この「ファイヤースタンド」です。
「Kumpel(クンペル)」は、ドイツ語で「相棒」や「パートナー」という意味です。「お客様の“なくてはならない存在”になってほしかったので、この名前をつけました」と齋藤さん。自分の家とは違うアウトドアの環境でも、この焚き火台があるとほっとする…そんな気持ちになれる“長く付き合える自分のパートナー”を目指しています。
デザイン・設計・加工まですべて手がける
社内でアイデアを出しあって、デザインに落とし込み、ファイヤースタンドの試作をスタート。ベストな板の厚みや強度を計算しながら、高い耐久性とコンパクトさを兼ね備えた焚き火台を目指しました。
「日崎工業の強みは、デザイン・設計・プログラミング・加工まですべて自社で一貫してできること。これまでの知見を結集させて完成したのが、この焚き火台なんです」と齋藤さん。改良に改良を重ねて、お客さまが最も使いやすい形が誕生したのです。
あえて「組み立て式」にこだわる理由
折り畳み式も多く販売されている焚き火台ですが、組み立て式にこだわったのは、長く使ってほしいから。焚き火台は、金属が熱により変形するリスクが高い製品です。そのため、変形も開発時から設計に織り込み、繰り返し炎の熱にあたっても使い続けることができる構造にしています。
「せっかく買ったものが使えなくなってしまうのは残念なことですよね。半永久的に使えるようなアイテムを目指して妥協をせず仕上げました」と齋藤さん。一度購入したら、何度でも繰り返し使用できるように仕上げられた、職人技による“一生もの”の製品です。
メイドインジャパンを支える企業の新たな一歩
この焚き火台は、日崎工業がデザインから設計、販売まで一貫して行う初めての製品となり、会社の新たな一歩をも切り拓きました。齋藤さんは「固定概念に縛られず、どんどん新しいことに取り組んでいきたいんです。そんな姿勢が誰かの勇気になるように、思いも製品を通じて発信したいです」と語ります。
組み立てて使うたび同社の技術へのプライドを感じられる「ファイヤースタンド」は、アウトドアシーンの新たな”パートナー”にふさわしいもの。大自然に囲まれて過ごす豊かなひとときに、技術が光る焚き火台で、自然にやさしい焚き火を楽しみませんか。
東京支部(神奈川県川崎市担当) / 大久保 真衣(おおくぼ まい)
東京で会社員として働きながら、ライター/インタビュアーとして人のストーリーを中心にインタビューや取材記事を執筆しています。食べること、旅することが大好き。まだ知られていないひと・もの・ことの魅力を発掘し、あたらしい”心ときめく出会い”を贈ります。
川崎市は、日本のものづくりを支える職人技が集まるまち。無数のこだわりが点在し、技術のプライドが息づく場所です。