小豆島の輝　山廃吟醸 （720ml×1本）

香川県小豆島にある唯一の酒造

瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島。醤油、佃煮工場が建ち並ぶ“醤の郷”と呼ばれるエリアに島唯一の酒造「小豆島酒造」があります。小豆島酒造から山の方へ少し登っていくと鎮座する松尾神社には、醸造の神様が祀られていると言います。さすがは伝統産業として醤油づくりが引き継がれる島。

あるいは小豆島酒造から坂手港側に少し進めば、醤油工場から醤油の香りが漂ってきます。ここは、そんな醸造文化が豊かに育まれてきた場所なのです。新酒の完成を知らせる杉玉がかかった玄関をくぐると、店主の池田亜紀さんが出迎えてくれました。

良質な水源を探して見つけたのが小豆島

小豆島酒造のルーツは、高松市で1872年に創業し、140年の歴史があった「池田酒造」にあります。4代目が廃業を決意し、酒造りに最適な水源を探していた先に見つけたのが小豆島だったのだとか。屋号を変えて、2005年に小豆島で開業し、35年ぶりに小豆島に地酒が復活しました。

ところが、開業すぐに4代目が他界。急遽助っ人として呼ばれたのが、4代目の娘である亜紀さんでした。高松市で暮らしていた亜紀さんは、医療事務の仕事を続けながら、家業を手伝い始めました。その後、仕事を辞め小豆島に引っ越し。本格的に家業に入り運営に奮闘してきました。

敷地内にカフェ＆ギャラリーを構え、日本酒を試飲できるスタイルは話題を呼びました。当初はライトなラベルデザインやお酒に色がついてることがまだめずらしく酒屋にはなかなか受け入れてもらえなかったものの、口コミで少しずつファンを増やし、特に若い女性からの注目を集めるようになったそうです。2015年には酒蔵の近くに、酒米の米粉や酒粕を使ったコッペパン専門のベーカリーをオープン。次々と酒蔵の固定観念を破る新しい試みに挑戦していきます。2018年には「小豆島酒造」として、新たなスタートを切りました。

女性の視点を活かした酒造りや飲み方を提案していく

今回、小豆島酒造の敷地内にあるカフェ＆ギャラリーでお話を伺いました。空いた酒瓶や升を利用した照明など遊びごころ溢れるしつらえや「ふわふわ」「びびび」など愛らしいネーミングのラベルの酒瓶が並んだ雰囲気のある店内。もともとは佃煮工場だった築70年の古民家をリノベーションしたそうです。

カフェ＆ギャラリーを出て、左奥に小豆島酒造の酒蔵があります。酒蔵へ案内してもらうと、女性の蔵人に出会いました。現在、小豆島酒造はカフェスタッフも含めて、ほとんど女性で営んでいるそうです。酒造りには女性ではできない力仕事もあるので、そういう時はベーカリーの男性スタッフに手伝ってもらうのだとか。11月から4月にかけては酒造りの最高責任者である杜氏が兵庫県の但馬から酒造りに来ます。

先代の酒造りの情熱を引き継ぎどんどん新しいことに挑戦していく

「小豆島酒造は歴史もネームバリューもない。蔵も100石クラスと小さい。だから新しい酒造のあり方を試行錯誤しています。伝統はないからこそ逆に新しいことに、どんどん挑戦できるところもあるんです」

酒造りの体制も柔軟です。トップダウンではなく、蔵人やカフェスタッフの意見を取り入れながら、ワンチームでお酒を造っています。「スタッフみんなで協力しあって酒をつくっています。大変なことも多いけど、やっぱり仕上がった時の達成感はすごくあります」と亜紀さん。