島のあちこちでオリーブの木々に出合う 香川県小豆島町
香川県の高松港からフェリーでおよそ1時間。爽やかな波風と共に揺られて到着したのは、全国でもオリーブの名産地として名高い香川県の小豆島(しょうどしま)です。瀬戸内海で二番目に大きく、日本で最初にオリーブ栽培に成功したこの島では、町を歩けばあちこちでオリーブの木々に出合うことができます。
島の南東部に位置する小豆島町は、「小豆島オリーブ公園」や、島で最も古いオリーブの木「オリーブ原木」などの観光スポットも多いほか、醤油、佃煮や手延べ素麺などの産業が盛んな地域としても知られています。
まるでワインの風格漂う高品質オリーブオイル
「緑油(りょくゆ) 小豆島産プレミアムエキストラバージンオリーブオイル【ブレンド】」は、そんなオリーブの島・小豆島が生んだ、限られた時期にしか作られない高品質なオリーブオイル。希少価値の高い完熟前のオリーブを丁寧に手摘みして搾油した商品です。
搾油された西暦が刻されたラベルから漂ってくるのは、熟されたワインのような風格。一つひとつ手書きでナンバリングされて届けられるというプレミアム感も相まってその年々の味わいを楽しむお客さんも多いといいます。
世界で数多の賞を受賞されたオリーブオイル
「緑油」は、令和元年度香川県品評会で香川県知事賞、ロサンゼルスエキストラバージンオリーブオイル品評会2019では最高金賞を受賞。その他数々の世界的な品評会で入賞しており、高品質なオイルとして国際的な評価を得ています。
劣化の度合いを示す酸度が0.8%以下のものをエキストラバージンオリーブオイルとするところを、「緑油」の酸度は“最高峰”の0.1%。ポリフェノールとオレイン酸も豊富に含まれているなど、まさに品質を極めたエキストラバージンオリーブオイルなのです。
江戸時代から続く老舗の醤油メーカー 金両
この緑油を製造するのが、明治13年(1880年)創業の金両。醤油屋として5代続く老舗です。金両の原点は、江戸時代。播州赤穂から小豆島へと塩作りのために移住した職人たちと共に、寺の主治医として島で暮らし始めたのがルーツとされています。廻船業を経て、藤井家11代目・藤井吉蔵(ふじい・きちぞう)が醤油醸造業を始めました。
金両は桶仕込みの醤油作りを行う蔵として最も古く、平成15年(2003年)には、蔵や母屋が国の登録文化財にも認定されました。今では桶仕込みをする醤油蔵は全国に約1%しか残っていないそうです。
本来の力を大切にして育てるオリーブ
そんな金両がオリーブオイルの栽培を始めたのは、平成12年(2000年)頃。幼少期から体が弱く、健康に興味を持っていた金両醤油5代目・藤井寿美子(ふじい すみこ)さんが新事業として着目したのが、オリーブオイルでした。自社農園では農薬を極力使用せず、水もあまりやらないことでオリーブ本来の強さを引き出す栽培法を取り入れたり、オリーブの葉のチップを腐葉土にして撒いたりするなどの循環型農業にも取り組んでいます。全て合わせて1ヘクタール強の広さにもなるオリーブ畑は、現在も島中に規模を拡大し続けています。
島で大切に育てられたオリーブは、完熟する前の青い実の時期に手摘みで丁寧に収穫されます。搾油率を上げるために完熟した実を搾油するオリーブオイルが多い中、この緑油は品質を求め、ポリフェノール含有量が高く、味や香りが別格とされる早摘みの青い果実のみを厳選して使用。果実中の水分量を限りなく減らして搾油するために雨天時や降雨後の収穫を控える、といった細やかな工夫も施しています。量よりも質を求めた数々のこだわりが、世界に求められる理由の一つです。
栽培、収穫から搾油までの全工程を自社で
そうして収穫されたオリーブは、自社内で直ちに搾油・ろ過されオリーブオイルになっていきます。早摘みならではの華やかで爽やかな辛味、そしてほのかに伴う苦味は、実を冷やして搾油するコールドエクストラクション(約24度以下の低温で抽出する製法)という技術で引き出されたもの。グッと引き立つ果実のアロマが特徴的なオリーブオイルです。
搾られたオリーブオイルは、収穫した畑・品種・日にちにそれぞれ分けられ、社内でのテイスティングとブレンドを経て、1年に1度の初摘みのプレミアムエキストラバージンオリーブオイル緑油が出来上がります。
オリーブオイル本来の香りとコクを楽しんで
「油の良し悪しは、体に直接影響するもの。そういった面から、緑油は健康志向の方はもちろん、味の違いが分かる人に選ばれていると感じています」。実はオリーブオイルが苦手だったという藤井さんですが、自社のオイルの質の良さから、今では料理に多用するほどになったのだとか。
「緑油は、加熱をせずにオリーブオイル本来の香りやコクを味わってほしい一品。パン、サラダなどにはもちろん、温かい食べ物にかけると、オイルの香りや味が立って一層楽しめます。特に発酵食品との組み合わせは、健康に良い最高のコンビです」。藤井さんが選ぶ一番のおすすめは、辛味や渋味、苦味のバランスをとって作られた緑油を入れることで独特の臭みがなくなる「納豆」。実際に食べてみると、風味がまろやかになってとても食べやすくなりました。
小豆島発のオリーブオイルで笑顔あふれる“時づくり”
「オリーブオイルはその年の気象条件や環境などによって味が変わるものなので、毎年その違いを楽しんでいただけるような商品でありたいと思っています」と素敵な笑顔で語ってくれた金両の5代目・藤井さん(写真中央)。金両では、会社を挙げてオリーブオイルソムリエの資格を取ったり、官能評価(五感を用いて物の特徴などを判断・分析・評価する技術)の勉強をするなど、オリーブオイルのさらなる品質向上に向けて社員が一丸となっています。
「小豆島産のオリーブオイルがこんなにおいしく健康にもいいということを知ってほしいし、伝えていきたいんです。110年続くオリーブ栽培の地という恵まれた環境で、今まで培ってきた醤油の技術も含めノウハウを十分に生かしていければ、と思っています」。
ものづくりへの追求心が生んだ珠玉の小豆島産オリーブオイル
畑の栽培から搾油までの工程を全て自社で完結し、鮮度や品質を徹底して追求している金両。その長い歴史だけにこだわることなく続けてきたものづくりへのたゆまぬ努力と探究心こそが、「緑油」という珠玉の逸品を生み出しているのだと感じました。小豆島の爽やかな風土で育まれたこの上質なオリーブオイルが、きっと今日も食卓で多くの人を笑顔にさせているはずです。
四国支部(香川県小豆島町担当) / 山田 芽実(やまだ めぐみ)
香川で生まれ育ち、米国・京都・香川・東ティモールを経てまた香川の高松市在住。地元の「すてき」をゆるっとズバッと発見中。絵を描いたり、デザインをしたり、写真を撮ったりしています。
穏やかな瀬戸内海と絶景が望める山々。豊かな自然に包まれた小豆島から爽やかな風に乗せて、この町の魅力を目一杯お届けします!