全国有数の米どころ・北海道旭川市
北海道「第2の都市」と呼ばれる旭川市は、利便性の高い都市機能と四季折々の豊かな自然とが調和したまち。夏季と冬季、昼夜の寒暖差激しい盆地特有の気候によって、実りのよいお米が育つ「米どころ」としても全国にその名を馳せています。
開拓初期の頃から稲作が発展してきたこのまちでは、「寒冷地で稲作は向かない」と米作りが禁じられていた歴史や「やっかいどう米」と揶揄(やゆ)される時期がありました。それでもなお「この地でおいしいお米を作りたい」という先人たちの涙ぐましい努力により、熱意を持った品種改良を重ねた結果として「現在の米作り」があるのです。
飽きのこない素朴な味わいを、毎日の食卓に
そんな品質の高いお米が評価されている米どころ・旭川市から、コシのある食感とさっぱりとした甘さが特徴の谷口農場・特別栽培米「雪の舞 ななつぼし(5kg)」を3袋セットにしてお届けします。食味ランキング(※)において、最高位とされる「特Aランク」を10年連続で獲得。甘みと粘りのバランスがよく、冷めてもおいしい「ななつぼし」は毎日の食事にぴったりなお米です。おいしさを生み出すための工夫やこだわりについて伺うべく、谷口農場の小関 拓哉(こせき たくや)さんを訪ねました。
※一般財団法人 日本穀物検定協会調べ。複数産地「コシヒカリ」のブレンド米を基準米としてランク付け。特に良好な「特A」、良好な「A」、おおむね同等な「A'」、やや劣る「B」、劣る「B'」の5段階評価。
120年の歴史を誇る「谷口農場」
谷口農場に約20年ほど勤務している小関さんは、専務取締役として現場での作業を行いながら農産物全般のマネージメントを担当するなど、日々奮闘しています。「谷口農場では広く“食”という分野でさまざまな取り組みに携わっていて、特に“農作物を加工すること”に面白みを感じています」と、語ってくれました。
農場では農産物の栽培のみならず、収穫したお米を用いて甘酒、とうもろこしを用いてコーンスープ、トマトを用いてトマトジュースを作るなど、加工品製造にも注力。農産物を無駄にせず、それでいてお客さまが求める幅広いニーズに応える努力を続けています。
「こだわりの生産から まごころの加工まで」。そんなキャッチフレーズを掲げて歩みを進める谷口農場で、約120年もの間、途切れることなく続いているのが米作りです。はじまりは明治33年(1900年)のこと。豊富な水資源に恵まれた米の産地、富山県魚津市から入植した初代によって稲作の道が切り開かれていきました。
質より量が求められていた時代から、減反政策、生産流通の自由化など農業を取り巻く環境のめまぐるしい変化を経験。その過程で土作りの重要性を再認識し、人々の健康にとってよりよい農法を追い求め、独自の生産方法を確立してきたのです。
「特別栽培米 雪の舞」おいしさの秘訣
現在、谷口農場で栽培しているお米は全5種類。「北海道米の最高峰」と称される豊かな甘みの「ゆめぴりか」、ほのかな甘みと強い粘りの「おぼろづき」、全国に広く浸透しているしっかりとした食感の「きらら397」、小粒でいてコシヒカリ以上の粘りがある「あやひめ」、そして今回ご紹介するバランスに優れた味わいが特徴の「ななつぼし」です。
「雪の舞(ゆきのまい)」(「きらら397」を除く)と名付けられたブランド米は、全て「特別栽培米」。一般的に作られているお米に比べて農薬と化学肥料の使用量が半分以下となっており、谷口農場ではその基準よりもさらに低い15%〜35%まで減らして栽培しています。
安全に配慮されたお米のおいしさを最大限引き出すために重要なのは、「土づくり」。農場では、できるだけ環境に負荷をかけない形で栽培すべく、米ぬかをベースにしたオリジナルの「ぼかし堆肥」を採用しています。
牛ふん、もみ殻、海藻、鉱物の粉末などを微生物の働きで発酵させた後、水田へ。温度や空気の入り具合などを調整しながら丁寧に土起こしをすることで「水の通りが良く、かつ水はけもよいふかふかの土」を作る。長く愛されるおいしいお米作りが実現するためには欠かせないこだわりです。
そうした土づくりとともに重要なのは、苗を育てること。寒暖差の激しい寒冷地では、「芽出し」にもひと苦労。万全な保温対策を施し、大切に水やりをし頃合いを見て水田へと移します。成長過程では農薬の代わりに松ヤニ・もみ酢などで害虫を防ぎ、ケイ酸・漢方薬で病気にかかりにくい元気で丈夫な稲へ。さらに、カツオ・マグロから作ったアミノ酸エキスや、ミネラル成分が豊富な天然にがりなどを散布することで、よりお米のおいしさを引き出しています。
想いの込もった「やさしさ」を存分に味わって
「食べる人も、作る人も、私たちが暮らす環境も幸せに」。そんな想いを込めて栽培された「特別栽培米 雪の舞 ななつぼし」は、あっさりとしながらも、噛めば噛むほどほんのりとやさしい甘みが口のなかに広がります。粒がしっかりと感じられ、食べ応えも十分。そのまま食べるのはもちろん、チャーハンやおにぎり、お弁当などどんなお料理やシーンでも幅広く活躍すること間違いなしです。
持続可能な農業体系を確立する。それが原点
「生産物はできるだけ農薬を使用しない栽培に努め、加工品はその素材を最大限に活かします。そうやって持続可能な農業体系を確立することは、有機栽培を始めた頃からの谷口農場の原点です」と、小関さん。体と環境に優しいだけでなく、おいしいお米を作るための試行錯誤の様子が垣間見えて、心温まる想いでした。
北海道支部(北海道旭川市担当) / 山本 栞(やまもと しおり)
北海道旭川市在住。ごはんと自然をこよなく愛し、「自分で自分を満たす」をテーマに心地よいと思える暮らし方や生き方を模索&実践中。ライティングで大切にしていることは、「正直さと率直さを失わず、読み手に伝わるように事業者さまの魅力を表現すること」です。
自然と都市機能が共存する旭川市は、大雪の山々から流れる水で育つお米や野菜、この土地ならではの農業やものづくりが根付くまち。寒暖差激しい環境下で過ごす日々のなかに、絶景がたくさんあります。