沖縄らしいビールを追求した「オリオン ザ・ドラフト」
県内外に多くのファンをもつ沖縄の定番であり、三ツ星が特徴の「オリオンビール」。沖縄の気候に合ったさわやかな飲み心地とすっきりとした後味が特徴の「オリオン ザ・ドラフト」をはじめ、プレミアムクラフト「75BEER」、チューハイ「WATTA」、更には新カテゴリー“ハードセルツァー”「DOSEE」まで、それぞれ人気を博しており、特に「オリオン ザ・ドラフト」は1959年に誕生して以来、沖縄に合うテイストを目指して改良を重ねられてきた、こだわりのビールです。
オリオンビール株式会社(以下、オリオン)は、1957年に沖縄で創業したビールメーカー。長年の研究や県民調査を通し「沖縄らしいビールとは何か?」を問い続け、“沖縄クラフトならではの澄みと旨み”を感じる味わいにたどり着きました。その答えをもとに試行錯誤した結果、2020年6月に大幅リニューアルを果たしました。
澄みと旨みを感じさせる、オリオン史上初の「沖縄クラフト」
2020年6月、「オリオン ドラフト」から「オリオン・ザ・ドラフト」へ名称を変更し、オリオン史上初「沖縄クラフト」と呼べるビールに生まれ変わりました。リニューアルポイントは大きく2つあります。
1つ目は原料として初めて伊江島産大麦を使用すること、2つ目は熟成期間を従来の1.2倍にすることです。それにより雑味を抑えながらも飲みごたえのある味わいへと進化させました。
伊江島県産大麦を使用するという挑戦
オリオンビールにとって、伊江島産大麦を使用することはチャレンジングな取り組みでした。というのも、これまでビールの原料は海外・県外産が主流だったからです。
伊江島は、沖縄県本島北部にある本部港から船で約30分の場所にある離島。この島では100年以上前から小麦の栽培が盛んであり、小麦を使った特産品は多く販売されていますが、大麦の栽培はされていませんでした。今回オリオンが大麦を仕入れた農家は、何年もかけて大麦の栽培を研究し、やっと成功を果たしたのだそう。実はこの農家とオリオンの出会いは、約6年前にさがのぼります。
伊江島農家とオリオンビールの出会い
「もし6年前に農家さんの思いに触れることがなかったら、あるいはリニューアルのタイミングがズレていたら、ザ・ドラフトは誕生していなかったかもしれません」。そう話すのは、ビール商品開発部の大城 敬一郎(おおしろけいいちろう)さん。
6年前、同社の「琉球ホワイト」という商品の原料として、伊江島産の小麦を使用。その際に出会った農家から「いつか伊江島産の原料だけでビールを作りたい」という夢を聞きました。そしてそのために大麦栽培の研究を進めているということも。これが、大麦農家とオリオンの出会いです。
運命のように、伊江島産大麦が完成
それから月日が経ち、2019年に農家から「大麦の栽培に成功しました」と連絡が。それもちょうど、「ザ・ドラフト」の商品開発をすすめていた最中のことでした。
かねてより待ち望んでいた伊江島での大麦栽培の成功を聞き、すぐさまリニューアルに取り入れました。伊江島産大麦を加えることで、さらにコクが増したビールが完成。こうして誕生したのが「オリオン・ザ・ドラフト」なのです。
2021年、さらにパワーアップ
リニューアルが功を奏し、県民をはじめ、かなりの高評価を得ました。しかしオリオンはそれで満足せず、新しくいただいた消費者の声を基に、2021年3月に再び「ザ・ドラフト」をリニューアルしました。
今回のポイントは3つあり、1つ目は伊江島産大麦の量を2倍にしたこと、2つ目は沖縄県内一の軟水である「やんばるの水」を使用したこと、3つ目はあえて昔ながらの製法を採用したことです。
あえて昔ながらの製法でビールをつくる
「手間はかかるけれど、発酵由来の自然な炭酸をビールに多く残すことができる製法がある」。それは現場で長年製造を行う醸造家からの提案でした。
昔ながらの製法に戻すことは、手間がかかる上に、醸造家の目利きによりタンクを閉めるタイミングを見計らわなくてはならない難しさがありました。それでも、よりおいしいビールができるならと醸造家と開発チームが協力し、丁寧に検証。そうした努力を重ねた結果、さらにきめ細やかな泡が実現し、澄んだ麦の旨みが感じられる味わいに進化しました。
沖縄でビール造りをするということ
なぜこれだけビール造りに心血を注げるのか。そこには「沖縄でビール造りをしている代表企業」としての覚悟がありました。「僕たちは常に、自信をもって提供できるビールを作っていかなければいけないと思っています。“沖縄らしいビール”として、できるかぎり県産の素材を使用し、より美味しく、沖縄に誇れるビール会社を目指しています。また、ビールの製造工程で出る副産物を有効活用し、環境に配慮したビール開発にも力を注いでいます」。
オリオンでは、ビール製造における麦汁ろ過の工程で出るビール粕をたい肥としています。そのたい肥を伊江島での大麦栽培に活用することで、循環型のビール製造を可能にしました。そういった活動が評価され、地球にやさしい商品・サービスを表彰する「ソーシャルプロダクツ・アワード」にて、「オリオン ザ・ドラフト」が2021年度「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞しました。
自宅で、お店でおいしいビールを
最後に、「パーフェクトサーブ」(オリオン・ザ・ドラフトが一番おいしく飲める方法)なるものを教えていただきました。方法は簡単。冷蔵庫でキンキンに冷やしたザ・ドラフトを、30分冷凍したグラスに注ぐだけ。そうすることでザ・ドラフトの「のどごし」が最も良くなる理想の温度3℃に近づくのだとか。温度が上がるにつれて徐々に増す澄んだ旨みを感じながら、なめらかな「のどごし」を楽しみましょう。
わたしも家で実践してみましたが、家飲みのレベルを超えた飲酒タイムを過ごすことができました。県産素材の使用や環境への配慮など沖縄発のビールとして誠意を尽くし、長年のファンにも新しい楽しみ方をどんどん提供してくれるオリオンビールだからこそ、年々ファンが増え続けているのではないでしょうか。ぜひビール好きの方も、沖縄好きの方も、生まれ変わったザ・ドラフトを味わってみてくださいね。
沖縄支部(沖縄県豊見城市担当) / 三好 優実(みよし ゆみ)
沖縄県那覇市在住。香川県で生まれ育ったのち、大阪や東京で仕事中心の生活を満喫していましたが、沖縄旅行で「人」の魅力にはまり、仕事をあっさり手放して移住。1年くらいで別の土地に行こうと思いきや、早6年が経過しました。ライター歴は5年。
豊見城市は大型のショッピングモールやビーチパーティーにぴったりな海があり、県民や移住者が休日によく足を運ぶ地域です。