山と海、醤油とオリーブでもてなす
400年以上、醤油づくりが受け継がれる香川県の小豆島。醤油の香り漂う、醤油蔵が集まる通りをくぐり抜けると、古民家をリノベーションした宿「島宿真里」があります。今回ご紹介するお礼の品は、本館「島宿真里」と別邸「海音真里」共通の宿泊券です。
島宿真里の玄関から仰ぎ見ると、そびえる大嶽(おおだけ)が印象的。ここでは民家の間に佇み、島の日常の中でゆっくりとした時間が過ごせます。一方、本館と趣を変え、海辺の集落に建つのが2019年にオープンした別邸「海音真里」。窓辺に一面に広がる海を眺めながら、室内でゆっくりと寛いだり、浜辺を散歩したりと、シンプルでありながら贅沢な時間が待っています。夕食時には小豆島産のオリーブづくしの会席が楽しめますよ。
母が営んでいた民宿をリノベーション
まずはマネージャーの中野菜見さんに「島宿真里」を案内してもらいました。館内には宿主である眞渡康之(まわたりやすゆき)さんの家で使われていた建具や、醤油蔵で使われていた古材などが所々に活用されています。ここは、もともとは康之さんの母、里枝(さとえ)さんが、営む民宿でした。その後、康之さんが後を継ぎリノベーションし、古いものを大切にしながら、新しいものを融合させた「島宿真里」として生まれ変わりました。
島宿真里は、8部屋ほどの小さな宿。各部屋の内装が異なり、名前はそれぞれ「ひし」「お」「で」「も」「て」「な」「す」「さと」と、宿のコンセプトそのものとなっています。
写真上は「お」の間で、離れにあるメゾネットタイプの特別室の一階部分。掘りごたつ付きの和室居間となっています。
2階は寝室です。テラスからは古民家が並ぶ景色越しに、遠くの海を眺望できます。ベッドの脇には書斎が。窓に差し込む朝の光で読書なんていうのも贅沢な時間ですよね。
階下には坪庭に面した洋間があります。柔らかな光が差し込み、和室とはまた違った趣に浸れます。
島の醤油が主役の醤油会席
夕飯は築90年以上の古民家を改装した母屋でいただきます。個室に加え、料理人の手仕事がのぞけるカウンター席も。島宿 真里では醤油を主役にした「醤油会席」という名の会席料理が楽しめます。島の新鮮な野菜や旬の瀬戸内の魚の刺身を、4種の醤油でいただくのです。
生あげ醤油や、二段仕込みの醤油などのほか、スタッフが目の前でもろみをドリップし、滴り落ちてきた醤油で刺身をいただく、といったなんとも粋なパフォーマンスも。生産者や職人と関係を深めていくことを大切にしてきた真里は、あるものを仕入れるのではなく、ときには、職人と話し合いながら、今までにないつくり方を提案することもあります。例えば、生あげ醤油は通常の工程では必要な加熱処理をせずに仕上げてもらったのだとか。そんな島の食材の話を聞きながら、料理をじっくり堪能できます。
全室オーシャンビューの別邸
次に案内してもらったのが、島宿真里から車で約5分、観光地から離れた海辺の小さな集落に佇む別邸「海音真里」。全部で6室とこちらも本館同様、小さめの宿でプライベートな滞在ができます。山側にある本館とはまた趣が異なり、全室オーシャンビューと開放的な空間が広がっています。
海を眺める、だけの贅沢な時間
こちらは2室ある離れのひとつ “「と」の音”。部屋に入ると、まず、窓辺に広がる一面の海に心が奪われます。テラスへ出てみると「ちゃぷっ、ちゃぷっ」と海面で跳ねる繊細な波音まで聞こえてきました。海を眺め、波音に耳をすませながら、いつまでもゆっくりと過ごしたくなります。
室内は木の温もりが感じられるモダンな造り。そこに香川県にゆかりある彫刻家のイサム・ノグチの照明や、近くの海岸で集めた石など、粋なしつらえが施されています。
オリーブづくしのオリーブ会席
ダイニングももちろんオーシャンビュー。刻一刻と移り変わっていく夕暮れ時の空と海、そして星空の下、静かな夜の海を眺めながらの、贅沢なディナータイムが過ごせますよ。
夕食では小豆島産オリーブづくしのオリーブ会席が味わえます。生産者や品種の異なるオリーブオイルを料理に合わせて“ペアリング”。食前酒から、素麺、お造り、お吸い物、デザートまで堪能でき「そんなオリーブオイルの味わい方があったのか」と驚くお客さんも多いのだとか。もしお気に入りのオリーブオイルが見つかれば、別邸内で購入することができますよ。
奥深いオリーブの世界に触れる
「会席を通して、旬の島の食材、調理方法に合わせたさまざまなオリーブオイルの楽しみ方が伝わるとうれしいです」と話す中野さんは、オリーブオイルソムリエの資格を持つオリーブオイルのエキスパートでもあります。オリーブに精通したスタッフがもてなす夕食時間は、きっと驚きと発見に満ち溢れたものになるに違いありません。
「島宿真里」と「海音真里」で一泊ずつ過ごせば、山と海、醤油とオリーブ、と多様な魅力が詰まったディープな小豆島を体感できること間違いなし。予定をあまり入れずに、気の向くままにのんびりと心ゆくまで過ごすことをおすすめします。
四国支部(香川県小豆島町担当) / 坊野 美絵(ぼうの みえ)
大阪生まれ。旅で訪れたことをきっかけに、2013年に香川県小豆島に移住。現在は文と写真で魅力を伝えることを大切にライターとして活動しています。香川県を中心に観光・医療・事業承継・農業などテーマはさまざまにインタビュー記事を執筆。私生活では暮らしに根ざした手仕事を、少しずつ実践していくことを楽しんでいます。
小豆島町は地産の醤油や塩、オリーブオイルなどの調味料が揃い、料理好きにはうれしい土地。生産者ごとに変わる風味をぜひ試してみてもらいたいです。島の旬の食材に島の調味料を合わせればシンプルな調理で絶品に。