街で人気のパン工房から生まれた噂の逸品
「全国から注目を集め、売れ続けているパンがあるらしい」。そんな情報を聞きつけてやってきたのは、岩手県奥州市にあるパン工房「くろしぇっと」です。ここは自家製の天然酵母ルヴァンを使用していて、もっちりと風味豊かに仕上げたパンが特徴。店内には食パンやバケット、メロンパン、スコーンなど、さまざまな商品が並んでいて、常連客と思しき親子連れや年配のご婦人が、ニコニコと楽しそうにパンを選んでいました。その様子からも、この店が地元の人たちに愛される人気店だということが伝わってきます。
カレーパン好きが選ぶグランプリで金賞に
そんな「くろしぇっと」の大ヒット商品といえば、なんといっても「恋するカレーパン キーマの誘惑」です。これはカレーパンの頂点を決める「カレーパングランプリ2021・キーマカレー部門」で、金賞に輝いたという一品。受賞後はテレビや新聞、SNSなどで取り上げられ、店には開店前から長蛇の列ができるほど大注目されました。多いときには1日に200個以上を販売したこともあったそうで、店主の鈴木希(すずき・のぞむ)さんは、「ありがたいことに店頭に出したそばから売れていく状態で、朝から晩までひたすら作っていました」と振り返ります。その人気は今も衰えることなく、取材当日もきれいに完売。まさに、食べた人をとりこにする「恋するカレーパン」が、今回の返礼品です。
スパイスをたっぷり使った本格カレーを使用
実はこのカレーパンを語る上で欠かせない店が、奥州市内にもう一軒あります。それは「くろしぇっと」から車で15分ほどの場所にあるジャマイカ料理店「ROYALジャマイ館」です。こちらで人気の「ジャマイ館カレー」は、中央に盛られたライスの両側に、好きなカレーを2種類チョイスできる欲張りメニュー。甘口の「ハヤシ」から大辛の「ベンガルタイガー」までの6種類の味から選ぶことができ、「本格的なカレーが食べたくなったらジャマイ館へ行く」という地元の人も少なくありません。「恋するカレーパン キーマの誘惑」に使われているのは、この店で特に人気の「カシミールインド」という辛口寄りのカレーです。
お互いの持ち味を最大限に生かしたカレーパン
キューブ型のパンに詰まっているのは、ひき肉たっぷりのカレーフィリング。一口食べればスパイスの芳醇な香りが広がり、後からくるピリッとした辛さの中にもしっかりとした旨味が感じられます。さらに、もっちりと食べごたえのあるパンはカレーとの相性抜群。食べた瞬間、「カレーに合わせるなら、こういうパンだよね」と納得するほどの絶妙なバランスを醸し出しています。
今回の返礼品は冷凍した状態で届くので、電子レンジでしっかり解凍してからオーブントースターで軽く焼いて食べるのがオススメ。お好みでチーズやマヨネーズをトッピングすれば、マイルドな味わいを楽しむことができます。
パンとカレーのプロがタッグを組んで挑む
「カレーパンを作ることは、未知の領域へのチャレンジでした」と語るのは、「くろしぇっと」の鈴木さん(写真左)と、「ROYALジャマイ館」の石川悦哉(いしかわ・えつや/写真右)さんです。店を営む傍ら、地域を盛り上げるための活動に取り組むなかで出会った二人。さまざまな話をするうちに、お互いが地域への熱い思いを持っていることを知り意気投合します。あるとき、活動の記念になり、まちの名物にもなるものがほしいと考えた石川さんは、鈴木さんに相談を持ちかけます。折しも鈴木さんは「うちの店ならではのカレーパンを作りたい」と考えていたそうで、そこから二人の挑戦が始まりました。
構想に半年、試作に3カ月をかけて作り上げたカレーパンは、生地に水を一切使わず、牛乳と自家製ヨーグルトで仕上げました。「ピリ辛のカレーを使用しているので、パン生地は甘すぎず、カレーの味を邪魔しないものにしました。味で主張しない代わりに、天然酵母ルヴァンだからこそ出せるモチモチ食感を重視したんです」と鈴木さん。一方、石川さんも「今までライスに合うカレーを作っていたので、パンに合うものは今回が初めて。ルーの固さを調整するために、スパイスの調合を研究しました」といいます。
飽くなき探究心を持つ者同士の挑戦は続く
二人はさらに、「恋するカレーパン キーマの誘惑」の後も新作を作り続けていて、翌年には岩手のお土産として人気のサバ缶を使った「恋する サヴァ?カレーパン」を販売。なんとこちらの商品も「カレーパングランプリ2022・東日本焼きカレーパン部門」で金賞を受賞し、2年連続の快挙を達成しました。お互いに協力して新しい商品を生み出すのは、決して簡単なことではないはず。上手くいく秘訣について尋ねると、「相手への信頼とリスペクト。そして、地域のためにできることがしたいという共通の思いがあるからです」と、口を揃えて教えてくれました。
応援してくれる人たちのためにできること
取材中、会話の中に何度も登場したのは「地域のため」という言葉。石川さんは「たくさんの人に注目してもらえるのも、地域のお客さまあってのこと」と語り、鈴木さんも「いつも考えているのは、地元のお客さまに愛される商品づくりです」と言って笑顔を浮かべます。お二人の脳裏には、足繁く通ってくれる常連客の姿が浮かんでいたのかもしれません。喜んでほしい人たちを思いながら作る、とっておきのカレーパン。それが今では、地元の人たちだけでなく、全国のカレーパン好きを魅了しています。お二人の熱い思いが詰まったホットなカレーパンを、ぜひご賞味ください。