絶好のベニズワイガニの生息地、糸魚川市
新潟県の最西端に位置し、富山県と長野県に隣接する糸魚川(いといがわ)市。広大な日本海と雄大な北アルプスに囲まれた、自然豊かな地域です。市内中心部には国内でもトップクラスの水質を誇る姫川が流れており、この水で米や野菜、日本酒などがつくられています。
そんな糸魚川市の名産品として人気が高いのが、みずみずしく、甘い身が特徴の「ベニズワイガニ」。糸魚川市能生(のう)の海底は崖になっており、水深が一気に深くなる地形。800?1000mの深海にいることが多いベニズワイガニにとって絶好の生息地なのです。
今回の返礼品はこの立派なベニズワイガニ。その専門店がある、糸魚川市能生の道の駅「マリンドリーム能生」にうかがい、能生のベニズワイガニの特徴からおすすめの食べ方まで幅広くお話を聞いてきました。
ベニズワイガニを地元の産業に。マリンドリーム能生設立の理由
「マリンドリーム能生」は、能生の漁港からすぐ近くにある観光施設で、新鮮な魚介類が並ぶ鮮魚センターやレストラン、お土産コーナーなどが入っています。休みの日になると、日本海の幸を求めて、県内外から多くの観光客が訪れます。
その中でも特に賑わいを見せるのが、能生で獲れたベニズワイガニが並ぶ「かにや横丁」。水揚げされ、下処理を終えたばかりのカニを購入し、その場で味わうことができるのです。
マリンドリーム能生を運営するのは、株式会社能生町観光物産センター。同社の清水靖博(やすひろ)さんは、「1988(昭和63)年に施設を立ち上げたきっかけはベニズワイガニだった」といいます。
「以前は漁師が家の軒先でベニズワイガニを販売していましたが、国道の駐車が渋滞や交通事故などにつながり、地域の問題になりました。ちょうどそのころ、能生を盛り上げる一環として物産販売ができる観光拠点施設を作ろうといった動きもあったため、カニを販売できる区画も設けた『マリンドリーム能生』としてスタートしたんです」。1993(平成5)年には道の駅にも認定。こうして、いまや能生の一大産業となったベニズワイガニの基礎ができあがっていきました。
鮮度抜群!能生産ベニズワイガニの美味しさの秘密
能生で獲れる魚介の種類は、県内トップクラス。世界ジオパークにも認定された特殊な「糸魚川の地形」、富山湾の入り口でさまざまな魚介が生息していること、標高2462mの火打山(ひうちやま)からミネラルたっぷりの水が海へと流れ込むことから、魚介にとって生息しやすい地域だといわれています。
中でもベニズワイガニは鮮度が命で、時間が経つとどんどん鮮度が落ちていくといわれています。そのため、能生近郊で漁獲されたベニズワイガニは、水揚げ後すぐに釜茹で、冷凍保存。水揚げから販売までの時間が短く、卸業者を通していないからこそ、リーズナブルにおいしく提供できるのです。
買ったベニズワイガニをその場で食べる!
8軒のお店が並ぶ「かにや横丁」では、ベニズワイガニを購入し、その場で食べることができます。お店のほとんどが漁師の家族で経営しており、おいしいカニの見分け方や食べ方など、色々とアドバイスをしてくれます。通りを歩いていると、「いらっしゃい!いらっしゃい!」と“お母さん”たちの大きな声が聞こえてきます。気になるお店で予算や何人で食べたいかを伝えると、それに見合った量を見繕ってくれます。
「かにや横丁」でカニを購入したら、食事のできる休憩所「カニかに館」か、「かにや横丁」裏手の広場でカニをいただきます。貸し出してくれる調理用ハサミをつかってまずは胴体と足を切り分けていきます。さっそく身を抜き出してみると、みずみずしいカニの身が...! 水分がたっぷり入っているにも関わらず、甘みはしっかりとしていて、身を抜き取る手が止まらなくなってしまいました。
能生自慢の味をご家庭で。アレンジ方法もご紹介
そんな新鮮で甘いベニズワイガニをご自宅へお届けする今回の返礼品。清水さんは「みずみずしいベニズワイガニの身を味わって」と食べ方を教えてくれました。「まずは自然解凍をしてそのままのベニズワイガニを味わってみてください。冬場であれば、届いた発泡スチロールを開けて解凍、夏場は食べる分だけお皿に移して冷蔵庫へ。すぐに食べない分は冷凍庫で保管するようにすれば、少しは日持ちしますよ。ただし、能生で保管しているときは、マイナス20℃以下。一般家庭の冷凍庫はマイナス10℃前後が多いので、長持ちはしません。届いたらできるだけ早めに食べるようにしてくださいね」
余った場合は、冷凍したカニをそのまま鍋にいれても、味噌汁に入れてもOK。殻からも出汁が出るので、出汁がよく効いた海鮮汁になるそうです。ほかにも細い足は身を取り出してサラダにしても、甲羅にあるカニみそを入れてカニクリームコロッケを作ってもおいしくできあがるのだとか。色々な料理に使えるので、日々の食卓がいつも以上に華やかになりそうですね。
丸々1杯を自分で食べられる幸せ
私自身、今までカニを1杯丸々食べたことはありませんでした。最初こそうまくカニの身を出せずに苦労しましたが、何回かやるうちにコツを掴めるように。つるんっときれいに出せたときの快感は忘れられません。かに味噌は生臭さがほとんどなく、濃厚な味わい。実は今までカニ味噌は苦手だったのですが、おいしく食べ切ることができました。
能生でベニズワイガニを味わって
「いまはまだ自由に旅行はしにくい世の中ですが、落ち着いたらぜひ能生にも来てもらいたいですね」と清水さん。「マリンドリーム能生」には、「かにや横丁」のほかにも、鮭やあんこう、岩牡蠣など、旬によって変わる海産物を販売する鮮魚センターもあります。浜焼きのお店もあるので、つぶ貝やいか焼きなどをその場で焼いてもらってアツアツの状態で食べることも可能です。
日本海が目の前に広がるロケーションで味わう海の幸。そんな体験に思いを馳せながら、まずはご自宅で能生のベニズワイガニを味わってみてはいかがでしょうか。
中部支部(新潟県担当) / 長谷川 円香(はせがわ まどか)
企業広報のお手伝いやものづくり企業の紹介記事、インタビュー記事の執筆をしています。手を加えすぎていない古民家が好きで、夢は小さな庭と畑と茶室のある、古い一軒家で暮らすこと。仕事中は日本茶が手放せない。
海沿いを走って向かった糸魚川市能生。晴れている日に日本海を横目にドライブするのは、心地よい体験でした。