有田みかんの一大産地に位置する、ふみこ農園
株式会社ふみこ農園の工場が構えられているのは、有田みかんの産地として全国的に有名な和歌山県有田川町。世界遺産・高野山に源流を持つ雄大な「有田川」が町の中心を横断し、紀伊水道へと注いでいます。豊富な水資源と温暖な気候に恵まれた有田川町では、温州みかんを筆頭にさまざまな柑橘類が生産されています。
1996年に創業した??ふみこ農園は「できるだけ地元商品を使って、まじめに、丁寧に」をモットーに、無添加の紀州あんぽ柿を加工したスイーツや、米麹(こめこうじ)を発酵させたノンアルコールの甘酒に南高梅や有田みかんなどをブレンドしたフルーツ甘酒など、和歌山県産の素材を活用した、おいしく身体に優しい商品づくりに励んでいます。
和歌山県の魅力が詰まった「フルーツコンポート」
ふみこ農園が手掛ける返礼品のひとつが「フルーツコンポート」。和歌山県産の果物を用いたギフトがほしい。できれば幅広い年齢層に愛される味わいで、見た目も華やかで、日持ちもする。さらに欲を言えば、身体に優しく環境にも優しい...。そんな理想にきっと応えてくれる逸品です。
コンポートとは、果物そのものの風味や食感を生かしながら砂糖煮したデザートのことです。果物本来の甘みを引き立てつつ、最後まで一滴残らず味わっていただきたいとの思いから、甘さ控えめで舌触りのよい「ジュレ」で閉じ込めて瓶詰めしています。
果物の宝石箱のような華やかさで、ギフトにぴったり
果物の宝石箱のような見た目の美しさから、2015年に開催された「第11回ガラスびんアワード」ではデザイン優秀賞を受賞。2016年・2017年・2019年には「日本ギフト大賞」で和歌山賞に輝いています。
代表取締役の成戸文子(なると ふみこ)さんは「ご自身で楽しむだけでなく、手土産や贈り物としてお求めいただくことも多く、お中元やお歳暮、母の日のプレゼント、結婚・出産の内祝い、ときには職場でホワイトデーの贈り物として、たくさんお求めくださる方もいらっしゃるんですよ」と教えてくれました。
フードロス問題の解決に向けて。製造のこだわり
商品を手に取った瞬間から感動をお届けできるようにと、見栄えのよさにこだわり、瓶詰めは1玉ずつ・1房ずつ手作業で行っています。また、身体に優しいようにとなるべく添加物を抑えていますが、密閉時の衛生管理を徹底していることから賞味期限は約半年間も持つそうです。
さらに「もったいない精神」を大切に、みかんは、甘味が凝縮しているにもかかわらずサイズが理由で流通しづらい、小ぶりのものを使用しています。はっさくも、果実には全く問題がないものの果皮にわずかに傷があることから流通が難しいものを活用し、地元農家が抱えるフードロス問題の解決にも努めています。「農家さんたちの愛情が詰まった和歌山県が誇る生産物を、ぜひ余さず味わってください」と成戸さん。
楽しみ方いろいろ。お召し上がり方のススメ
「フルーツコンポート」は常温で保存し、食べる数時間前に冷やすといいそうです。私もいただきましたが、じゅわっとみずみずしい果肉の甘味が口いっぱいに広がり、ぷるんっとしたジュレも程よい甘さで、なんとも幸せな気持ちに満たされました。
瓶の中身をスプーンですくって小皿に取り出し、そのまま食べるスタイルが王道ですが、アイスクリームやヨーグルトなど食感の異なるものと組み合わせて楽しむツウもいるのだとか。炭酸を注げばフルーツポンチ感覚で、また違った味わいが楽しめるそうです。どうぞお試しあれ。
テーマカラーのピンク色に込めた原点の物語
お客さまや地域に対する愛に溢れた、ふみこ農園のテーマカラーはピンク色。梅の花の形をしたロゴマークだけでなく、商品の配達車やスタッフさんのジャケット、フォークリフトまでピンク色に染まっています。どういった経緯でこの色を選んだのでしょうか。
遡ること50年前。成戸さんは有田川町にある製麺会社に嫁ぎました。ある日、お客さまから「色付きのうどんをつくってほしい」との声があり、試行錯誤の末、和歌山県産の梅を用いたピンク色の「梅うどん」を開発したそうです。この出来事をきっかけに、梅干し製造を主とするふみこ農園として独立。その後、梅にとどまらず、和歌山県産のさまざまな素材を生かした商品開発に力を注いでいきました。この経緯から、原点である梅の色、かつ昔から好きな色でもあるピンク色をテーマカラーにしたといいます。
有田川町から全国へ、和歌山県の魅力を発信
取材の締めくくりとして、成戸さん(前列右から3番目)は「有田川町をはじめ、和歌山県にはおいしい自然の恵みがたくさんあります。今後も和歌山県産のさまざまな素晴らしいものを、ここ有田川町から発信していきます」と、今後の意気込みを語ってくださいました。
最近では、近畿大学薬学部と共同で、廃棄予定だった梅酢を活用した塩分補給タブレット「梅塩ちゅあぶる」を開発。また、本来は漢方薬の原料であるはずの陳皮が廃棄されていることに着目し、粉末状にした調味料「みかんの皮」を開発するなど、その躍進はとどまることを知りません。ぜひ「フルーツコンポート」をきっかけに、ふみこ農園の今後の展開に注目してみてくださいね。
和歌山らしいお土産が買える、ふみこ農園の売店
ふみこ農園の本社には、工場だけでなく、売店も併設されています。「フルーツコンポート」をはじめ、ふみこ農園が手掛けるさまざまな商品や、湯浅醤油や金山寺味噌など厳選した地元のおすすめ商品なども置かれています。有田川町を訪れた際は、お土産を買いに、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
近畿支部(和歌山県有田川町担当) / 前田 有佳利(まえだ ゆかり)
全国200軒以上のゲストハウスを旅する編集者。WEB「ゲストハウス情報マガジンFootPrints」代表。書籍『ゲストハウスガイド100 -Japan Hostel & Guesthouse Guide-』著者。和歌山市在住。理想の商店街をつくる2日間のマーケットイベント「Arcade」や「和歌山移住計画」のメンバー。
再生可能エネルギーを積極的に取り入れている有田川町。エコロジーな町としてもぜひご注目を!