メディアでも話題になる、高知生まれの絶品「ゆずたま」
全国各地で次々と生まれる、ブランド卵。高知県南国市にも、人気の“ご当地ブランド卵”があるんです。その名は「ゆずたま」。高知特産・ゆずの皮をブレンドした安心・安全の飼料で育った鶏から産まれる絶品たまごは、ふんわりとゆずの香りをまとい、生卵が苦手な人でも「卵独特のくさみがまったくない」とその味に感動するほど。最近、全国放送のテレビ番組でも話題になった「ゆずたま」が、今回ご紹介する高知県南国市のお礼の品です。
ヤマサキ農場は、自社ブランド卵のパイオニア
高知県南国市は、高知市の東に隣接するまち。製造業や農業がさかんな地域に、「ゆずたま」を生産・販売する「ヤマサキ農場株式会社」があります。現社長の祖父が1953(昭和28)年に築いた養鶏場がそのはじまり。手狭になった10年後、南国市内の現在の場所へと移りました。ブランド卵がほとんど存在しなかった平成以前に、自社ブランド「桃太郎たまご」を販売。そのおいしさが評判を呼び、瞬く間に高知県内でその名とシェアを広めていきました。それまで“卸一本”だったヤマサキ農場が、独自ブランドを立ち上げるきっかけになったのが、社長の弟・山崎由紀夫さんの入社です。
もともと、南国市のスーパーマーケットに勤め、仕入れ担当をしていた由紀夫さん。「祖父も父も、“健康な鶏がいい卵を産む”をモットーに、安心・安全な飼料にゴマや海藻などを自家配合したものを与えていました。間違いなく“おいしいもの”をつくっていたんです。それが卸販売することで、他の卵に埋もれてしまうのがあまりにもったいないと感じていました。何より、自社のおいしい卵をどう商品化し、販売先を開拓すればいいのか、これまでの経験からわかっていました」
由紀夫さんは入社の年と同じ1984(昭和59)年、「こんな小さな会社で自社ブランドなんて無謀だ」という周囲の声を押し切って「桃太郎たまご」を立ち上げ、成功を収めました。
ただし、「桃太郎たまご」に次ぐ“ヒット作”「ゆずたま」が誕生するのはもっともっと先の話。その間、「生卵はくさいから食べられない」という友人の言葉がずっと、由紀夫さんの脳裏にありました。「桃太郎たまごの段階ですでに、特有の卵くささを取り除くことはクリアしていたのですが、白身が放つ硫黄のにおいはまだ消せていなかったのです」。どんな人にもおいしく食べてほしいーー。そのためには“におわない”卵を開発したい。特殊な菌を取り入れたり、飼料を変えたりと試行錯誤する日々。さらに、「桃太郎たまご」を大阪・東京と県外に展開していく中で、「県外の人にも響く“高知ならでは”の卵をつくってほしい」という要望を受けます。
高知特産のユズとのコラボで“におわない卵”、誕生
そこで着目したのが、「ゆず」です。「あるテレビ番組で、柑橘の皮を配合したえさを魚に与えているのをみて、実際に食べてみました。そしたら本当に魚特有のにおいがしない。卵でも通じるのではないか、と思ったんです」
幸い、高知県は日本一のゆずの産地。そこで、車で1時間半離れた馬路村(うまじむら)を訪ね、ゆずの皮を入手します。ブレンドした飼料を与えた卵を、生卵が食べられない、かの友人に食べてもらったところ、「卵くささがなく、ゆずのいい香りもする。これだったら食べられる!」との好反応が返ってきました。検査機関の科学分析で「ゆずの香りがする」という“お墨付き”を得て、「卵くささはない」とうたうことができる官能試験もクリア。そして2013(平成25)年、二つ目のブランド「ゆずたま」をリリースしました。
オムライス専門店や一流ホテルも認める、そのおいしさ
ゆずたまのおいしさは、高知県内で販売していたこれまでとは想像できなかった展開を生みます。「数年前に、オムライス専門店の専務さんが『こんなおいしい卵は食べたことがない』と気に入ってくれて、ゆずたまを使った全国フェアを開いてくれたんです。今では、東京のアッパー層のホテルでもゆずたまを使ってくれています。高知県だけではなく、広くおいしさを認めてもらえるのは本当にうれしいですね」と由紀夫さんは話します。
調味料はぜひ塩を。イメージを覆す究極の卵かけご飯
そんな絶品卵が今回のお礼の品。鮮度や色、殻の強度といった厳しい品質検査をクリアした卵30個が毎月、12カ月間届きます。
卵が届いたら、まず試してほしいのが卵かけご飯です。「おすすめの調味料は塩です。生卵が苦手な人もぜひ味わってみてほしい」と由紀夫さんが話すように、ゆずたまの白身が放つゆずの香りと、黄身のうまみが引き立つのが塩です。卵かけご飯って、食べ進めるうちに、卵特有のにおいが鼻腔から離れなくなりますよね。ゆずたまの場合、茶碗いっぱいのご飯をスルスルとかきこんでも、口に残るのはさわやかな香りと卵のうまみだけ。いつもの卵かけご飯とまったく違います。
目玉焼きだって、卵のコクとうまみを堪能しつつも後味さわやか。ネギと卵だけでつくるシンプルなチャーハンも、ワンランクアップの味わいになるから本当にふしぎです。
兄弟二人三脚が育む絶品卵を、日々の食卓に
「農場をここまで続けてこられたのは、南国市のおかげでもあります。まちへの恩返しを込めて、おいしい卵をみなさまにお届けしたいですね」。由紀夫さんは、ふるさと納税への思いをこう語ります。
現在、ヤマサキ農場を継ぐ由紀夫さんの兄・吉恭さんが、おいしい卵をつくるための研究を重ね、由紀夫さんが多くの人に届けるための知恵を振り絞ります。温暖で自然ゆたかな南国市で、兄弟の二人三脚が育む「ゆずたま」をぜひ、味わってみてくださいね。
四国支部(高知県南国市担当) / ハタノ エリ(はたの えり)
宮崎県の海のそばで生まれ育ち、高校卒業後は大学、仕事、夫の転勤を理由に全国各地10カ所以上で暮らしました。2017年、愛媛県松山市に移住。現在は、ライター、エディター、コピーライターとして、取材対象の言外からあふれるものを拾いながら、ひと・もの・ことを、ことばで表現しています。
野菜や果物など、おいしく多様な幸に恵まれる南国市。その幸を生かした数々の絶品グルメに出会えるまちです。小さくても思いが詰まったお店がたくさんあるので、高知市から少し足を伸ばしてみてくださいね!