家具のまち・大川にある「手作り家具工房 日本の匠」
有明海へと続く九州最大の一級河川・筑後川の東側、福岡県南西部にある大川市。かつて、多くの船が集まる海上交通の要衝として栄え、造船や修理を担う「船大工」が多く暮らしていました。そんな船大工の技術から発展し、誕生したのが、今もまちを代表する特産品「大川家具」です。大川のまちを歩けば、大小さまざまな家具屋や工場が並ぶのが見てとれ、「家具のまち」であることをしみじみと感じます。
そんな大川市で、食器棚を中心に製造・販売を手掛けるのが「手作り家具工房 日本の匠」です。2007年、若干27歳のときに、この会社を立ち上げたのが社長の森田英友さん。若手ならではの発想で、大川家具の品質はそのままに、価格を抑えて手に入りやすい商品を生み出しました。
匠品質が自慢の食器棚「ナポリ」
それこそが、食器棚「ナポリ」です。自慢は、大川家具ならではの品質の良さ。必要最低限の機能のみに絞った食器棚は、シンプルで使いやすさは抜群!鏡面の美しさや引き出しの滑らかな動きなど、細かなところに職人の技を感じることができます。高さは183cmほどで、150cmと小柄な私でも、手を伸ばせば上の棚に手が届きます。幅はおよそ116cmで、家族3、4人分のファミリー向け。職人が手作業で組み立てた完成品が届き、設置までしてくれるのがうれしいですね。さらに、お手入れも簡単。本体には、擦り傷や汚れに強いウレタンコート紙を、天板部分にはポリエステル化粧合板を採用しているので、さっとひと拭きできれいになります。
今回の返礼品「ナポリ フルカスタム」は、基本となるシンプルな食器棚に、プラスアルファで「あったらうれしい」機能をプラスした高機能版です。歴史ある大川家具のプライドにかけて、高い品質を保ちながらも、価格を抑えることができた食器棚「ナポリ」。そこには、家具のまち・大川だからこそできる秘策がありました。
ネットショップでも売れる大川家具を作りたい
「祖父も父も家具職人。僕自身も、22歳から家具業界に従事してきました。会社を立ち上げたのは2007年ですが、当時、大川家具は高級なイメージ。今とは違って、まちが力を入れてブランディングしているわけでもなく、盛り上がりに欠けていたと思います」。創業時について、そう話してくれた森田さん(写真中央)。大川市は日本一の家具のまちだと誇りに思う一方、勢いは乏しかったといいます。
一方、当時注目されはじめたネットショップでは、安い組み立て家具が人気を集めていました。「ネットショップでは、安いのが善。大川家具は品質が良くても、ネットで人気の組み立て家具に比べたらコストが高いのが難点でした。でも僕はまちのおかげでここまで育ったという思いもあって、なんとか大川家具を流通させたかったんです」。品質はそのままに、大型の食器棚をネット通販で売るためにどうすればいいか。そこで森田さんが思いついたのが、「引き算」の商品です。
品質はそのまま、コストを抑えた「引き算」の家具
「大川家具の多くは、とにかく足し算で作られていました。例えば、引き出しがゆっくりと閉まるフルオープンレールだったり、地震など強い揺れで扉があいてしまわないようにするストッパーだったり。あれもこれも足していましたが、お客さまによっては必要ないと感じる機能もあります。そこで食器棚として必要最低限の機能だけを残し、コストを抑えることにしたんです。もちろん、食器棚そのものは大川の職人たちが作っているので、品質は妥協なしです」とにっこり。
実際に工場を見せてもらうと、ベースとなる食器棚を前に、職人の皆さんが作業中。とはいえ、木材を切ったり、塗装をしている職人さんを見ることはありません。ほぼ形が出来上がった家具を前に、扉や小さな部品を取り付ける作業ばかり。人数も両手で数えるほどですが、実はここにも家具のまち・大川ならではの秘密が隠れていました。
大川だからこそできる、家具作りの”分業制”
実は、日本の匠で行っているのは試作と仕上げ、発送だけ。商品化が決まった家具作りは、大川市内の家具会社や職人さんたちに外注しているのです。「大川家具をなりわいにする事業者は、福岡・大川家具工業組合に加盟しているだけでも120社以上あるんです。多くの職人を抱えて人気がある品を大量に作るメーカーもあれば、小規模だけどここだけのノウハウを持った家族経営の工場もある。さらにガラスや塗装を専門としている人もいるんです。そのため、大川では私たちのように、それぞれの得意分野を生かし、力を合わせて家具を作る分業制を取り入れている会社が多くあります」
仕上げ作業を行う日本の匠では、食器棚「ナポリ」のカスタムを行っています。「必要最低限では物足りない」という人に向けて、こだわりの機能を一つひとつ取り付けていく作業です。工場に並ぶナポリには、それぞれに個別のオーダー表が張られ、職人たちがお客さまに合った食器棚を作るべく一台一台、手作業で仕上げを行っています。
さらに日本の匠が力を入れているのが、商品開発や試作。例えば、「ナポリ」以外に人気なのが、オーダーメイドの食器棚。たった一台の食器棚をオーダーメイドしようと思うと、高額になりがちですが、分業制のおかげでコストを抑えることに成功しています。さらに新たな取り組みとして、男性もキッチンに立つ時代と、男性が集めがちなキッチンガジェットを格好良くディスプレイしたり、収納できる「主夫」向けの食器棚の開発中。時代のニーズに合わせて、品質はそのままに、顧客一人ひとりの声に寄り添うアイデア家具を生み出しています。
こだわり派におすすめ!機能性抜群のフルカスタム版
食器棚「ナポリ」に、「あればうれしい」機能をすべて備えた「フルカスタム」も、まさにオール大川といえる食器棚。フルカスタム版は、こだわり派におすすめの機能性抜群な一台です。オープンスペースの天井にはモイス加工を施しているため、蒸気に強く家具の劣化を防ぎます。またスライドテーブル部分には何かと便利な2口コンセントが。便利家電が増えつつある昨今、重宝しそうです。開き戸や引き出しは、ゆっくりと閉まるソフトクローズ仕様で大切な器や調理器具を傷つけたくない人や、小さなお子さまが手を挟むのが心配という人にもおすすめ。開き戸部分は耐震ラッチが付いているので、万が一のときも安心です。
家具のまち・大川だからこそ実現できた食器棚。家具づくりの技を引き継ぐ職人たちによる、オール大川の食器棚「ナポリ(写真のカラーはブルックリン)」でキッチンライフを充実させてみてはいかがでしょう。