時代とともに移り変わる金沢の街
古くは前田利家が作り上げた加賀百万石のまちとして、現代では北陸随一の観光地として多くの人々に愛されている石川県金沢市。歴史ある町家が連なり、着物での散策が人気の「ひがし茶屋街」や、水や緑が豊かに季節を織りなす庭園「兼六園」は、古都金沢を象徴する観光スポットです。
一方で、世界から注目されるガラス張りの現代美術館「金沢21世紀美術館」や、目を見張るような大型近代建築に包まれる金沢駅周辺も、いまの金沢では欠かせない要素となっています。
さらに、2015年の北陸新幹線開業は、金沢に大きな変化をもたらしました。金沢は、情緒漂う静かな歴史スポットに加え、新しい施設や便利な都市環境が整備され、より魅力的な都市へと進化を遂げつつあるのです。
金沢の中心部で喧騒を忘れる、最高のおもてなし空間
歴史と変革が入り混じるまち・金沢市の中心部に、今回ご紹介する「金城樓」はあります。1890年(明治23年)に創業し、2020年で130周年を迎えた、金沢を代表する老舗料亭。その金城樓で堪能できる返礼品は、金沢の伝統と金城樓の伝統を融合させた会席料理です。
金城樓は、金沢の主要観光スポットである「金沢21世紀美術館」「ひがし茶屋街」「金沢駅周辺」など、すべて徒歩圏内である金沢市橋場町の大通り沿いに、その門を構えています。門をくぐり、玄関の格式高い金屏風に迎えられると、迷路のように入り組んだ建物の奥へといざなわれます。
館内に足を一歩踏み入れると、その静けさに驚きました。5代目社長・土屋さんも「幸運にも譲り受けた、前田対馬守家の屋敷の広大な土地のおかげです。金沢の街中で、これだけ純和風の建物は、ほかにないんじゃないでしょうか。市内中心部にもかかわらず、街中の喧騒を忘れさせるその非日常の空間が一番の売りです」と語ります。
1000坪の広大な敷地には、しっとりとした厳格な雰囲気が漂っていました。畳敷きの廊下には、九谷焼や加賀友禅などの金沢の工芸品が並び、金沢の歴史と文化を感じさせます。一方で、快適さや利便性に配慮されつつも高級感あふれる家具や設備。金沢の国際化に対応すべく、地下にはコンベンションホールも備えられているとか。130年間変わらぬ伝統と、現代の街に寄り添った心遣いが感じられる、最高のおもてなし空間でした。
繊細な四季をとらえた絶品料理は、金沢と金城樓の伝統の融合
「かぶら寿司」「鴨治部」「鯛の唐蒸し(からむし)」などの伝統的な加賀料理だけが、金城樓の料理のすべてではありません。日本人の食文化の移り変わりに合わせてつねに変化を続け、和食技術の中で考え抜いてきた調理法や、現代までに編み出されてきた新しい調理法などが融合した、独自の会席料理なのです。
こだわりは、食材の旬に応じた料理の季節感。日本には、春夏秋冬で表される四季だけでなく、早春・晩春・初夏・盛夏などの時節があります。金城樓の会席料理では、日本料理ならではの繊細な味とともに、美しい季節感が表現されるのです。メニュー替えは年間15回ほど行われ、どの季節でもその時季にぴったりの、最高の食材を余すところなく味わえます。
現在、金城樓130年の味を受け継いでいるのは、ここで30年の経験を積む、生え抜きの料理長。受け継がれてきた伝統料理を、1部屋1組のおもてなしとともにいただきます。130年前から見守ってきた槙(まき)の木を臨めるしつらえも優雅。歴史ある日本建築の空間と、四季のうつろいを感じながら料理を堪能できるプランです。
金沢の伝統を、未来へつなぐ使命
5代目社長の土屋さんは、金城樓の使命を「古き良き和の文化をしっかり次の世代に伝え、世界に発信していくこと。それが我々の責務であり、誇りでもある」と語ります。
欧米化が進み、だんだんと失われつつある純和風の生活様式や和の文化。金城樓は、日本有数の観光都市になりつつある金沢の街中で、130年の歴史を肌で感じられる貴重な空間です。
季節の味覚を最高の形で味わえる会席料理はもちろん、何よりも大きな魅力は金城樓の空気感です。観光地の中心部での、驚くほど静かでしっとりとした館内の雰囲気。隅々まで配慮が行き届いた、高級料亭ならではのおもてなし。いにしえの文化に思いを馳せつつ、ミシュランも認めた5つ星料亭の伝統料理を味わう時間こそが、まさに究極のぜいたくだといえるでしょう。