初心者にもおすすめ、世界に一つのフルオーダーシャツ
今回ご紹介する返礼品は、オーダーメードのシャツを手掛ける金港堂(きんこうどう)の「フルオーダーシャツ」です。豊富なラインナップから好みの生地を選び、自分で身体を採寸したり、普段愛用しているお気に入りのシャツを採寸したりすることで、ホームページから注文が可能。実際に来店する必要はありません。
採寸に基づき、メールのやりとりで丁寧にヒアリングをしてもらえるので、一人ひとりの体型や細やかな要望に応えたシャツが仕上がります。店主の宮谷隆之(みやたにたかゆき)さんが「いちど身体にフィットしたシャツを着ると、着心地の良さに感動し、既製品は着られなくなりますよ」と自信を持つフルオーダーシャツ。オーダーシャツの経験者はもちろん、初めての方にもおすすめです。
海外で経験を重ねた創業者がオープンしたシャツ専門店
北陸新幹線の開業以来、多くの観光客でにぎわう石川県金沢市は、歴史ある街並みに新旧さまざまな文化が融合しており、訪れるたびに新しい発見がある魅力的なまちです。金港堂はそんな金沢市の中心部、昔ながらのおでん店や人情味が自慢の居酒屋など、個性豊かな店々が連なる片町(かたまち)商店街の一角にあります。
1932(昭和7)年に創業し、まもなくこの場所に移転した金港堂。船がトレードマークで、船の置物や絵画などが至るところに飾られています。神戸で洋家具を扱う老舗「永田良介商店」が内装を手掛けたという店内は、テーブルや棚、照明など調度品全てにこだわりが感じられ、重厚感があり、クラシカルな雰囲気です。現在店に立つ、3代目店主・宮谷さんに話を伺いました。
大学を卒業後、トラディショナルファッションを提案するセレクトショップで経験を積んだ、宮谷さん。その後、都内のテーラーで接客をしながらオーダーシャツの採寸や生地の基本を習得し、帰郷し、家業を継ぎました。金港堂で仕事に励みながら、「より良いシャツを全国のお客さまに届けたい」と2007年にホームページを開設し、オーダーシャツの販売を始めました。注文を受けて一人ひとりの型紙をおこし、豊富にそろう生地や襟型、カフス型を組み合わせて世界で一つだけのシャツを作る。その丁寧な仕事ぶりと納得の仕上がりに、今では全国から注文が入るほどになったそうです。
お客さまの要望に耳を傾け、培った技術力で形にする
サイジングが最も重要なオリジナルシャツを、「来店せずにホームページでオーダーするのは難しいのでは」と思われる方は多いかもしれません。そんな疑問に、オーダーシャツ未経験者の私でも分かるよう丁寧に答えていただきました。金港堂では、自分の身体を採寸して注文する以外にも、普段愛用しているお気に入りのシャツを採寸したり、見本となるシャツを送付したりするなど、5つの注文方法を用意しています。
その上で、例えば「メンズのMサイズをどれくらいのフィット感で着ているか」といった、数字には表せない身体の特徴や衿元や袖口の要望などを細かくヒアリング。そのため、一人ひとりの要望に合ったシャツが作れるそうです。「こだわりは、当店のオリジナルに固執しないこと。あくまで、お客さまの好みを重視すること、お客さまのニーズに沿うシャツを手がけることが信条です。どんな要望にも答えたいと思っています」と語ります。オーダーシャツのネット販売は2017年からの実績がある金港堂。蓄積されたノウハウがあるからこそ、ネットオーダーにも関わらず、ぴったりの1枚が出来上がるのです。
品質にこだわる数多の生地から選ぶ贅沢
驚くのは生地の種類です。イタリアの有名メーカーを中心に、外国産の生地をラインナップ。また国産でも、高品質なエジプト綿が素材の生地を使用するなど、徹底的に品質にこだわります。その数は550~600種類ほどにのぼり、例えばストライプの生地だけでも選びきれないほど。返礼品で選べる生地は200種類ほどですが、それでも十分すぎる選択肢。自分の好みにぴったり合った生地がきっと見つかるはず。別途差額を支払えば返礼品でも、ワンランク上の生地を選ぶことができます。
さらに、基本の衿型は24種類、カフス型は11種類から好きなデザインをセレクトでき、衿先の長さは2mm単位、首周りや袖丈は0.5cm単位で調整が可能。なで肩やいかり肩の補正にも対応しています。
宮谷さんは「フィット感を大切にしていますが、それ以上にお客さんの満足度が大切。ゆったり着たいとか、ぴったり着たいとか、そういった要望にも答えたいと思っています」と言い、「一度オーダーシャツを着ると、既製品が着られなくなるという人は多いです。生地のクオリティはもちろん、自分の身体にあっているかどうかで着心地は全く異なります」と自信を持ちます。
お客さまの人生や生き方を、シャツを通じてサポートする
宮谷さんに、シャツに対する想いを聞きました。「シャツといえばビジネス用、そんなイメージを持つ人は多いと思いますが、プリントの生地やマルチカラーのストライプ生地を選べばジュアル向きのシャツにも仕上がります。ボトムはジーンズでもトップスにシャツを選ぶと、それだけでサマになるんです。シャツを着ると背筋がシャンと伸びて見えて、かっこいい。あくまでもシャツはファッションの一部ですが、その方の人生や生き方をサポートしている感覚です。周りの人に、素敵!と言ってもらえるようなシャツを、お客さまと一緒に作っていきたいと思っています」
オーダーシャツを「お客さまと一緒に作っていきたい」と語る宮谷さんの、一人ひとりに寄り添う姿勢が魅力的でした。オーダーシャツの経験者はもちろん、これまで経験したことがない人にこそ、金港堂で世界に一つだけのシャツを作ることをおすすめします。
中部支部(石川県金沢市担当) / 井上 奈那(いのうえ なな)
新潟生まれ、日本海側と太平洋側を行ったり来たりした後、2016年から石川県金沢市在住。新聞社、雑誌社勤務を経て、2020年に独立。令和ベビーとビーグル犬、夫の4人家族でゆかいに暮らしながら「馬人舎(ウマヒトシャ)」という屋号で書いたり編んだりしています。
金沢市には個性豊かな銭湯が多くあり、週末は自転車で銭湯めぐりを楽しんでいます。