県民に愛され続ける日常食!
本物の沖縄そばはとにかくおいしい!!そう体感し、沖縄で暮らし始めてから、私は大の沖縄そば好きになりました。「沖縄そば」こそ、正真正銘、沖縄のソウルフード!県民にとって沖縄そばは、家庭の味でありながら外食の定番。コンビニやお弁当屋さんにも100円そばが並び、スーパーには乾麺、カップ麺はもちろん、種類豊富な生麺やそばだしが販売されています。
県内では「そば」または方言で「すば」と言えば「沖縄そば」を指し、その発祥については諸説ありますが、古くから沖縄各地にあったそば屋が戦時中に焼失し、戦後、米軍占領下で小麦粉が豊富に出回るようになってから、沖縄を代表する県民食として急速に普及した説が濃厚です。県外にもその存在が知られるようになったのは1972年の沖縄の本土復帰以降で、この頃から日本そばと区別するために「沖縄そば」の呼称が使われるようになり今に至ります。
県内外から注目される、豊崎エリア
そんな県民食である沖縄そばだからこそ、いかに地元民に愛されているかということがおいしいそば屋には欠かせない要素です。沖縄県南城市から始まった「そば処 玉家」はそのおいしさが評判となり、本島各地にのれん分けする人気店。県民からの支持も厚い名店です。「そば処 玉家 豊崎店」もそのひとつで、観光客も地元客もひっきりなしに訪れ、連日お客さんでにぎわいます。
沖縄県豊見城市豊崎の住宅地に玉家がオープンしたのは2011年のこと。「当時、周辺は空き地や野原ばかりだったんですよ。一生懸命そば屋を営む間に住宅が増え、小学校やショッピングモールができ、様変わりしました」と、店主の宮城真由美(みやぎまゆみ)さんは言います。豊崎は、2020年6月には大型ショッピングモール「イーアス沖縄豊崎」もオープンし、県内外から注目を集めるエリア。空港や那覇の中心地から車で約20分とアクセスも良く、人口も年々増えています。
無我夢中で駆け抜けた10年
宮城さんご夫妻は、10年前に豊崎に自宅を建て、一階は店舗物件として貸しに出すつもりだったそう。ところが、ご主人のご縁でそば屋をやらないかという話が持ち上がり、真由美さんが沖縄そば屋を切り盛りすることに。ひょんなことから店主になった上に、飲食店での経験はなかったため、試行錯誤しながらお店を営む日々がはじまりました。
「10年は本当にあっという間でした。話を聞いて想像するのと、実際にお店をやるのとでは全く違って、そば屋さんは本当に大変!何も知らなかったからこそ、始められたと思います」と、真由美さんは振り返ります。
愛され続ける、沖縄の味
沖縄そばが誕生した当初は、スープは豚出汁をベースにした醤油味、具材も日本本土の「中華そば」とそう変わらないものでしたが、徐々に県民の味覚に合わせた改良が重ねられ、スープは現在のような薄めの色となり、具材も三枚肉、沖縄かまぼこ、小ねぎに変化したと言われています。近年、そば店増加に伴い、スープをブレンドしたり、具材に工夫を凝らしたり、自家製麺や県産小麦にこだわったり、と様々なスタイルの沖縄そば屋が登場していますが、そば処 玉家のメニューは実にシンプルで伝統的なものばかり。
柔らかい三枚肉(豚バラ肉)が舌の上でとろける「三枚肉そば」、じっくりと煮込んだテビチ(豚足)のプルプルとした食感がクセになる「テビチそば」、そして人気ナンバーワンの「ソーキそば」など、愛され続ける沖縄の味が並びます。全てのメニューに共通するのは、スープ、麺、お肉が三位一体となり「また明日も食べたくなる」素朴なおいしさです。
最後の一滴までおいしい、珠玉のスープ
玉家系列共通の自慢のスープは、かつお出汁ベースの透き通ったスープで、全て本店でつくられます。豚骨、かつお節を煮出し、5?6時間かけて丁寧に血抜きされた透明なスープは、コクがあるのに豚骨特有の臭みは一切ありません。素材の味が凝縮され、最後の一滴までおいしくいただける、手間暇かけてつくられた珠玉のスープです。
麺に合うことを一番に考え、試行錯誤を重ねてたどり着いた秘伝の味により、スープと麺の最高のコンビネーションが実現!現在の一般的な沖縄そばのスープは玉家系列同様、豚出汁と鰹出汁のブレンドが主流ですが、同じ素材を使ってもお店の個性が出るので、出汁づくりはその店のそばの味を決める要といえます。
信頼する製麺所の生麺を使用
沖縄そばの麺は太めでややねじれたうどんのような形が一般的ですが、本島北部ではきしめんのような平打ち麺、石垣島や八重山諸島の八重山そばは細めのストレート麺、というように地域によって特徴があります。玉家系列は全店、豊見城市にある亀濱(かめはま)製麺所のストレートの細麺を生麺で使用しています。
亀濱製麺所はそれほど大きくはない製麺所でありながら、数多くの沖縄そば屋から支持される知る人ぞ知る製麺所。「宮古島出身のご主人がつくる麺は、細いけれどハリがあり、しっかりと麺の食感も楽しめます。亀濱製麺所さんの麺が一番おいしいと思う」と、店主の真由美さんも太鼓判を押す自慢の麺です。スープと絡み合う麺は相性抜群!
そばを引き締めるジューシーなソーキ
スープと麺は全店共通ですが、肉の味付けは各店で異なり、店舗ごとに独自の味付けが楽しめます。玉家の人気ナンバーワンメニューであるソーキそばのソーキ(骨付き豚あばら肉)はとてもジューシー。醤油と砂糖のみの味付けで、長時間かけて煮込んだソーキは骨がホロッととれるほど柔らかいのに肉厚。2日がかりで仕込む自慢のソーキは、煮込み加減を見極めるのが難しく、味を毎日統一させるのが大変だそう。
日々の積み重ねで培った感覚を頼りに、シンプルで飽きのこない味を守り続けています。透き通るスープとコシのある麺に、お肉の上品な甘辛さが加わり、旨味の黄金トリオが完成します。
おうちで楽しむ、沖縄の味
今回の返礼品は、生麺本来のおいしさをそのままお楽しみいただくために、基本的には冷蔵便でお届けしますので、到着から2日以内に調理してお召し上がりください。「はじめは何もいれず、シンプルにそのままの味を楽しんでほしいです」という真由美さんの言葉から、沖縄そばへの自信がうかがえます。
沖縄そば本来の素朴な味を楽しむため、まず写真のように紅ショウガものせず、最小限の具材のみをトッピングし味わうのがおすすめです。スープはあっさりとしているのにコクがあり、麺によく絡み、身体に沁みわたるやさしい味わい。柔らかなソーキも口の中でとろけます。
女性が切り盛りする、明るい雰囲気が評判
豊崎店は、店主の宮城さんをはじめ、女性が切り盛りするそば屋。女性ならではのこころ配りや細やかなサービス、明るい笑顔での接客を心がけているそう。また大きな窓ガラスがあり日差しが差し込む明るい店内は、開放感も抜群。
ご自宅で沖縄の味をお楽しみください
味に定評があるのはもちろん、明るい空間と接客も豊崎店の大きな魅力。ご自宅で沖縄の味をお楽しみ頂いたあとは、ぜひいつの日か店舗でも本場の味を味わっていただきたい一押しの沖縄そば屋です。(撮影/タイラヒロ)
沖縄支部(沖縄県豊見城市担当) / 入江 葵(いりえ あおい)
沖縄県宜野湾市在住。沖縄生活4年目。2020年8月、宜野湾市普天間にアイスクリーム店「CAFUN?」をオープン。パンとアイスと沖縄が大好きです。パンを愛するチームBREAD LABの主宰でもあります。著書「CRAFT BAKERIES」。
空港や那覇の中心地からアクセスが良く、沖縄らしい自然の風景も、最新の商業施設も楽しめる豊見城市は注目のエリアです。