神戸発の唐揚げは須磨の海にぴったりの唐揚げ
海を眺めながら頬張るアツアツの鶏の唐揚げは、どうしてこんなにもおいしいのでしょうか。神戸市民が憩う須磨海岸に腰をおろして、海岸から徒歩3分の「揚匠(あげしょう)しげ盛」で揚げてもらったばかりのジューシーな唐揚げを食べれば、まさに至福の時間が過ごせます。
これは、鶏肉のなかでも希少な肩の肉を柚子胡椒(ゆずこしょう)マヨネーズに漬け込んで揚げた、揚匠しげ盛自慢の肩肉の唐揚げです。軽やかな揚げ上がりの鶏肉に柚子のなんとも爽やかな香りが絶妙なコンビネーションで、思わずもっと食べたくなる一品。全国各地の催事に赴けば、お腹をすかせたリピーターが待っているというのもうなずけます。
手軽なレンチンセットで家事負担を減らしたい
この味が自宅にそのまま届くのが今回の返礼品、しげ盛の「お手軽レンチンセット」です。肩肉の唐揚げのほか、定番のしょうゆ味のもも唐揚げとむね唐揚げ、さらにもも肉を使った鶏めしおにぎりがセットになっています。袋から取り出して、表示通りに電子レンジで「チン」するだけで揚げたての匠の味を再現できるのです。
揚匠しげ盛の代表・緒方貴十志(たかとし)さんがレンチンセットを作ったのは、「家では、できるだけ揚げ物はしたくない」という率直なお客さんの声を聞いたから。唐揚げにおにぎりを付ければ、おかずとごはんがそろい、洗い物も少なくてより便利なセットになると考えました。
定番の味をレベルアップさせる熟成しょうゆダレ
揚匠しげ盛の唐揚げには、生後3ヶ月未満の若鶏を使用しています。100%国産で、鹿児島県、宮崎県、兵庫県を中心とする提携農場から厳選した鶏肉を仕入れ、手切りしています。
もも肉とむね肉を漬け込む秘伝ダレのベースは、地元神戸で創業135年の老舗「池本醤油(菊むらさき)」の濃口しょうゆです。しょうゆ味の唐揚げは定番商品だからこそ、丁寧な仕込みがものを言います。にんにく、しょうが、たっぷりのりんごとスパイスなどを加えて1カ月間熟成させることで、まろやかなタレに仕上がるのだそう。鶏肉をもみ込んだら真空状態で1晩寝かせて、秘伝の味を中までしっかり染み込ませます。
「肩肉」につまった唐揚げ専門店のこだわり
今から10年前に揚匠しげ盛を創業した緒方さんは、以前は畑違いの建築業に携わっていましたが、経営が悪化。そんな折、テレビで大分・中津の唐揚げ店が紹介されるのを目にして、唐揚げ一筋の専門店を成功させる道があることに思い至ります。「ヨメさんに話したら、背中を押してくれたから」、信号待ちをしていた車の中から偶然見つけた空き物件を契約し、揚匠しげ盛をスタートさせたのです。
創業当初から、専門店ならではの商品を作ることが大切だと考えた緒方さんのこだわりのひとつが、唐揚げに使う鶏肉の部位です。肉屋さんと相談を重ね、1羽から2片、合計約40グラムしか取れない肩肉の使用を決めました。肩肉はむね肉と手羽元の間の部位で別名「むねトロ」とも呼ばれます。身・皮・脂のバランスがよく、もも肉のようなジューシーなうま味とむね肉に近いしっとりした食感が特徴で、緒方さんはこれなら専門店が誇る名物唐揚げにできると確信しました。
子供も喜んで手をのばす柚子胡椒マヨネーズ味
もうひとつのこだわりが、できあがった唐揚げに調味料をからめるのではなく、鶏肉自体に味を漬け込んでから揚げること。特に肩肉の唐揚げには、小さい頃から好んで揚げ物などにつけていた柚子胡椒を使って、誰にも真似できない味を生み出そうと研究しました。九州産の柚子胡椒ペーストの風味を生かしながらも、辛味を抑えるためにマヨネーズを合わせたこの味は、日本唐揚協会主催の「からあげグランプリ」の味バラエティ部門でも高く評価され、揚匠しげ盛は最高金賞を幾度も受賞しています。
実は、かんきつ系の調味料やマヨネーズは揚げ油に入れると浮き上がりやすいため、一般に、唐揚げの下味に使うのは難しいと考えられていました。しかし「そんなこと、創業当初は知らなかった」という緒方さん。業界の常識にとらわれない発想で、思い描いた味を実現させました。次第に、コンビニエンスストアや大手食品メーカーとのコラボレーション商品企画が舞い込むようになり、揚匠しげ盛の知名度は一気に上がりました。
お店の揚げたての味をそのまま自宅で
揚げ物の匠・緒方さんが今まさに揚げた唐揚げのおいしそうなこと! 肉汁が口の中であふれ出すところまで想像できるビジュアルです。注文を受けてから北海道・南十勝産の片栗粉を丁寧にまぶして揚げることで、衣のカリッとした食感が長持ちするのだそう。
注ぎ足し注ぎ足し使ってきた大豆白絞油(しらしめゆ)には鶏肉のうま味がしみ出ており、この油の中で泳がせることが揚匠しげ盛の唐揚げを一段とおいしくするのです。お店で販売する唐揚げとレンチンセットの唐揚げの材料、作り方、揚げ方はすべて同じです。レンチンセットの場合には、素材の味が壊れないように作りたてを揚げたそばから急速冷凍していきます。
取り寄せや催事で評判の鶏めしおにぎり
一方、お店では販売していないという鶏めしおにぎりには、もも肉やごぼう、にんじん、薄揚げが炊き込まれています。だし、しょうゆ、みりん、酒、砂糖を使って多くの人が食べ馴染んだ味を目指したといい、セットで食べれば唐揚げの引き立て役になり、小腹がすいたときにはそれだけでじゅうぶんに満足できます。
“神戸唐揚げ” を全国で楽しんで
緒方さんにとって、神戸は「独創的な発想で成り立っている街」。もともと唐揚げで有名な街ではありませんが、山陽須磨駅前にある揚匠しげ盛には、今日も匠の味を求める人の姿があります。他にない独創的なおいしさを追求すれば、それが“神戸唐揚げ”として受け入れられると考え、緒方さんは揚匠しげ盛のロゴにも「神戸唐揚げ」と入れています。きっとまだ体験したことのない神戸の味覚を、まずはおうちで堪能してみませんか。
近畿支部(兵庫県神戸市担当) / 堀 まどか(ほり まどか)
兵庫県生まれ、在住。街と海と山の近さがお気に入り。通訳案内士(英語ガイド)として、また地域と観光を切り口にしたフォトライターとして西日本のおもしろさを伝えています。さまざまな地域の魅力を再発見する喜びをお宅の玄関先まで届けたい。そんな気持ちでナビゲーターを務めます。
私にとって神戸は海と山が近く、自然豊かなとなり町。海外文化を柔軟に取り入れて発展してきた食や音楽、街並みの魅力も尽きません。