国産レモンの4分の1を生産する、生口島に位置する瀬戸田町
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ、全長約60kmに及ぶ通称「しまなみ海道」。島々をつないで伸びるこの道は瀬戸内海の大パノラマを一望でき、自転車で渡れるため「サイクリストの聖地」ともいわれています。この道のちょうど中央あたりにあるのが、人口約9000人が暮らす生口島(いくちじま)です。
島の約半分は急傾斜で日当たりが良く、瀬戸内地方屈指の柑橘類の生産地として知られます。特に島内にある瀬戸田町(せとだちょう)では、国産レモンの約4分の1を生産しているほどで、冬季になるとあちこちで黄色く色づいたレモンの木を目にすることができます。
休憩スポットで人気!多彩なジェラートが並ぶ「ドルチェ 本店」
車で島へわたり、生口島北ICから5分ほど走った海沿いに建つオレンジ色の建物が「ドルチェ 本店」。広島市内のデパートなどにも支店がある、人気のジェラートショップです。店頭には瀬戸田産柑橘や地元のフルーツを使ったジェラートが、多い時で20種類以上並び、フロートやアイスどら焼きといったアイデアスイーツも揃います。
中でも人気なのが、今回の返礼品のジェラート。メインである地素材フルーツのフレーバーは、まるで果物をそのまま食べているようと評判です。シャーベットタイプの柑橘系はシャクシャクとした食感で、溢れる果汁と爽やかなシトラス香が口いっぱいに広がります。道路向かいに海がひろがるテラス席は潮風が心地よく、開放的な気分に浸れます。
都会で得た製菓の技術を島のために生かして
「株式会社ドルチェ」が創業したのは1998年のこと。創業者は、島の老舗和菓子店に生まれて都会で製菓の技術を学び、スイーツで地元を盛り上げたいと店を立ち上げたそうです。開業した翌年の1999年にはしまなみ海道に架かる8つの橋がすべて完成、2006年には全線が開通して島の観光産業は一気に盛り上がりを見せました。
話を聞かせてくれたのは副社長の岡悟(おか さとる)さん。「当初に作った看板ジェラートが、瀬戸田レモンを使った商品です。そのころは島がかなり賑わっていて、あらたな名産になればと奮闘しました。ある程度認知されるようになってからは、近郊の色々な果物でも試作を重ね、今では季節ものも含めると30種類以上ものフレーバーが誕生しました」と教えてくれました。
果実の美味しさを抽出し、コシを作り出す高性能マシーン
ドルチェのジェラートがほかと違うのはコシのある口当たり。ジェラートの本場・イタリアで製造されるカルピジャー二社製のジェラートマシーンを使っており、原液を急速に冷やし固めて練り時間を短くしているため、ほど良い弾力と滑らかさのバランスが生まれます。また、柑橘類を搾るのはアメリカ製の専用ジューサー。果実を圧搾する段階で果皮がバサッとむけて果実のみを搾るので、えぐみや渋みが入ることなく美味しさのみを抽出できます。
しまなみ海道近郊で生まれる地素材をふんだんに
使用する柑橘は、瀬戸田のものだけで6種類。レモンほか、デコみかん(不知火)、夏みかん、はるか、はれひめ、ネーブルがラインナップ。ほか、近隣の素材として因島(いんのしま)のはっさく、尾道の桃やイチジク、岩城島のライムなど、気になる商品が目白押しです。ユニークなフレーバーは、しまなみ海道沿線の島・大三島に製造工場を持つ「伯方の塩」を用意。北海道産ミルクをベースにほんのちょっぴり塩味を効かせブルーキュラソーで淡く色付けした、目にも楽しい一品です。
“変わらないもの”として生口島の魅力のひとつになるように
「しまなみ海道全通から15年が経ち、一時期は観光客も落ち着きを見せました。けれどまた、サイクリストの聖地と呼ばれ、少しずつ賑わいが戻ってきています。観光客の皆さんは耕三寺や平山郁夫美術館といった島の観光スポットに加え、ここにある海や自然など、変わらないものを楽しみに訪れてくれています。そんな“変わらないもの”のひとつとして、うちの味が皆さんの心に残ってくれたら嬉しいですね」と、岡さん。
島に興味を持ってくれるお客様へ、心を込めて製造
実際、県外の人からは「以前に観光で訪れてドルチェさんのジェラートを食べました。またあの味が食べたいから注文します」と、お取り寄せのオーダーをもらうそうです。
「逆もまたしかりで、ふるさと納税やネット通販でジェラートを注文してくれたお客様が生口島に興味を持ち、旅行がてら店に寄ってくださったりもするんですよ」。ジェラートを通じて島を知ってほしいという願いは、まさに創業の志そのもの。今日もまた、そんな大切なお客様に楽しんで食べてもらえればと、心を込めてジェラート作りに励んでいます。
定番からご当地ものまで揃うジェラートを心ゆくまで
今回の返礼品は、たっぷり食べられる18個セット。定番のバニラやチョコ、抹茶、キャラメルなどに加え、高級柑橘不知火の果汁がふんだんな瀬戸田のデコみかんと伯方の塩が2個ずつ、適度な酸味の瀬戸田レモン、後口爽やかな夏みかん、甘くさっぱりとしたはるか、果肉感も魅力な尾道の桃やイチジクが入り食べ応え満点です。
「ご当地の果物って、そこでしか味わえないことが結構あります。生産数が少なくて県外に流通しなかったり、すぐに傷んでしまうものはそもそも出荷が難しかったり。なかなか口にすることのできない地元の果物の美味しさをジェラートで味わってほしいです」と、岡さん。フルーツは旬の時期に収穫し、すぐに果汁やピューレにして味と香りをギュッと閉じ込めたものばかり。生口島を中心に、しまなみ海道沿線で育まれた土地の恵みを、心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。
中国支部(広島県尾道市担当) / 浅井 ゆかり(あさい ゆかり)
タウン誌をメインに、ジャンル問わず取材執筆(時々撮影)を手がけるフリーライターです。広島に嫁いで十数年になりますが、広島生まれ広島育ちの夫よりこのまちに詳しい自信あり! 取材に応じてくれる人、記事を手にしてくれる人へ、ちょっとした幸せや新鮮な驚きを届けられるようなプラスの言葉を紡いでいきたいです。
年に数回必ず訪れる尾道は、今と昔が混在するとっても素敵な場所。最近ではレモネードスタンドやクラフトビールの醸造所もでき、ますます活気が感じられます。尾道に行くなら本土だけでなく、しまなみ海道にも足をのばしてほしいです。