1万坪の敷地に10室だけの、自然に囲まれた小さな宿
今回ご紹介する返礼品は、温泉旅館・かよう亭の「ペア宿泊券 露天風呂付客室」です。山中温泉街の中心部から少し離れた、緑豊かな場所に佇むかよう亭。畳敷きの廊下に、親しみのある接客。館内はゆったりと落ち着いた雰囲気で、まるで故郷に帰ったかのような、ホッとする空間が広がっています。
客室は中庭を囲むように配されており、部屋の窓からは渓谷の自然豊かな眺望を楽しめます。部屋でゆったりといすに腰を掛け、または露天風呂に浸かりながら、川のせせらぎや鳥のさえずりを聴いて過ごす時間はまさに至福のとき。心を休めて自然体で寛ぐことができる、「何もしない時間」を存分に楽しめる場所です。
湯治文化が根付き、県内外から人が訪れる山中温泉
北陸新幹線開業以来、多くの観光客でにぎわう石川県。かよう亭は、金沢市中心地から南へ約40km車を走らせた、加賀市山中温泉にあります。街なかには土産物屋が立ち並び、名物「娘娘饅頭(にゃあにゃあまんじゅう)」や伝統工芸・山中漆器、地酒などの買い物が楽しめます。
また、山中の温泉は身体の芯まで染み渡り、身も心も潤すと松尾芭蕉が称賛した温泉の一つ。芭蕉の句から命名された総湯・菊の湯は、公衆浴場として地元の人々に親しまれており、開湯以来1300年、変わらぬ場所で多くの人たちを癒しています。
周辺には自然を楽しめる散策スポットが充実
自然豊かな山々に抱かれた山中温泉。温泉街に沿って流れる大聖寺川(だいしょうじがわ)の渓谷で、上流のこおろぎ橋から黒谷橋(くろたにばし)まで1kmの区間は「鶴仙渓(かくせんけい)」と名付けられています。川沿いに遊歩道が整備されており、散策しながら四季折々の美しい景色が眺められると評判。特に紅葉の季節は多くの観光客でにぎわいます。
また、周囲には松尾芭蕉をまつった「芭蕉堂(ばしょうどう)」や書院造りの武家屋敷「無限庵(むげんあん)」などがあり、S字型をした斬新なデザインが特徴の「あやとりはし」が撮影スポットとしても人気です。
人と人とのつながりを大切にした、温かいおもてなしの宿
そんな山中温泉にある、かよう亭の亭主・上口昌徳(かみぐちまさのり)さんに話を伺いました。1970年代、両親が営んでいた200人収容規模の旅館をフルリニューアルし、当時の流れに逆行する形で、全10室の小さな温泉旅館として生まれ変わらせた上口さん。効率の良さや新しさを追求するのではなく、あえて規模を縮小することで、隅々まで気配りが行き届いた真に心のこもったおもてなしを実現しました。
「地元の自然を守りながら、ここでの滞在を通じてその魅力を伝えていきたい」と話し、寛ぎや、やすらぎの時間を提供。川のせせらぎや鳥のさえずりが聴こえてくる部屋で終日ゆっくりと過ごせば、心の底から癒され、明日からの生きる活力が湧いてきます。一度訪れるとファンになる人が多いという、かよう亭。チェックアウト時に次回の宿泊予約をしていく人も多いとか。
館内で丸一日過ごす人がほとんどだという、寛ぎの空間
中国に古くから伝わる四字熟語「賓至如帰」を合言葉に、「故郷の我が家に帰ったかのようにやすらげる宿」を目指す、かよう亭。館内には職人によるオーダーメードの調度品が配され、統一感や落ち着いた雰囲気を演出。また、地元作家の作品が飾られていたり、近隣に自生している草花が所々にさりげなく生けられていたりと、細かなところにこだわりが光ります。
チェックイン・チェックアウトが正午なのも嬉しいポイント。ゆっくりと過ごしたくなる居心地の良い空間に、外に出かけることもなく、丸一日館内で過ごす人が大半というのもうなづけます。
シンプルながら記憶に残る、素材を生かした朝食
朝夕食には、地元の食材にこだわり、添加物を使わず素材のうま味を引き出した品々が並びます。かにや川魚など石川の旬をいただく夕食も人気ですが、リニューアル以来、一貫して同じメニューを提供しているという朝食こそ、かよう亭の名物です。
テーブルに並ぶのは地元農家が合鴨農法で栽培した米や、特産品の加賀丸芋、こだわりの卵など、石川の食材をふんだんに使った料理の数々。炭火焼のハタハタや、テーブルで炙っていただく岩海苔、出来立ての湯豆腐など、味付けは極めてシンプルでありながら、調理に手間を惜しまず、最もおいしく味わえるタイミングで提供。全てを通して、丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。また「日常のリズムでお過ごしいただきたい」との思いから、食事の時間は柔軟に対応。食事の時間は10分刻みで選ぶことができ、ご希望の時間に朝食を取ることも可能です。一人ひとりの細かな要望に応えるサービスに、おもてなしの姿勢が伺えます。
自然と調和した露天風呂付き客室で心身共に癒される
数寄屋造りの露天風呂付き客室は全4室。どの部屋もゆったりとしており、静かで趣のある雰囲気です。大きな窓からは敷地内に流れる小川や樹木など豊かな自然の眺望が広がり、冬には雪で白く染まった木々、春は山藤の鮮やかな紫、夏は樹々の緑、秋には紅葉と、四季折々の景色が楽しめます。露天風呂には山中の温泉を引いており、眼前に広がる自然を眺めながら熱い湯に浸かれば、心身共にリラックスできることでしょう。
「私たちの仕事は24時間、お客様の命をお預かりする仕事です。心が豊かになる空間や生きる糧となる食事を提供することはもちろんですが、それ以上に、人と人との出会いを大事にしたいと考えています」と話す上口さん。毎日表に立ち、宿泊客のお出迎えやお見送りを率先して行うだけでなく、夕食時には各部屋に足を運び、感謝の言葉を直接伝えることを信念としています。人とのつながりを大切にする姿勢は従業員一人ひとりに受け継がれており、心が込もった温かいおもてなしは、かよう亭の大きな魅力の一つとなっています。
中部支部(石川県加賀市担当) / 井上 奈那(いのうえ なな)
新潟生まれ、太平洋側と日本海側を行ったり来たりした後、2016年から石川県金沢市在住。昔ながらの街並みと近代的なスポットが融合する金沢を自転車で散策するのがお気に入り。夫と令和ベビー、ビーグル犬と愉快に暮らしています。
加賀市にある山中、山代、粟津、片山津の4つの温泉はどこもおすすめ。泉質の違いが楽しめます。