南は紺碧の太平洋に向かい、北は緑濃い山々を背負う高知県芸西村。
のどかな田園地帯が広がるこの村が、最近、絶景好きな人々に人気上昇中だといいます。
多くの人が目指す先は、海に向かう崖の上にあるレストラン。
そこには見たこともない、圧倒的な眺望が待っていました。
南は紺碧の太平洋に向かい、北は緑濃い山々を背負う高知県芸西村。
のどかな田園地帯が広がるこの村が、最近、絶景好きな人々に人気上昇中だといいます。
多くの人が目指す先は、海に向かう崖の上にあるレストラン。
そこには見たこともない、圧倒的な眺望が待っていました。
芸西村が誇る一番の名所は、高知県指定の名勝で、「白砂青松100選」にも選ばれている「琴ヶ浜」。東西約4kmにわたって広がる砂浜で、打ち返す波音が琴の調べを思わせることから、この風雅な名が付けられたといわれています。展望台に登ると、東は室戸岬から、西は坂本龍馬像の立つ桂浜まで一望。波が奏でる音色と鳥のさえずりをBGMに、雄大な風景をたっぷり味わうことができます。
琴ヶ浜には龍馬の妻、お龍と妹の君江の銅像も立っています。お龍は龍馬の暗殺後、明治元年(1868)から1年間、君江の嫁ぎ先であるこの地で暮らしていたとのこと。桂浜に向かって手を振るお龍の銅像には、どこか切なげな風情がありました。
〈上〉玉砂利の浜がワイドに広がる琴ヶ浜。イベント用の野外ステージもある 〈左下〉お龍君江姉妹像。お龍はこの地にいる間、龍馬のことを語らない日は1日もなかったという 〈右下〉夕景や月見の名所としても知られる
琴ヶ浜を満喫した後、すぐ近くにある「琴ヶ浜かっぱ市」を訪ねました。芸西村の特産品なら何でも揃う直販市で、村ならではのみやげを買い求めるのに最適です。店の前には、芸西村のキャラクターであるかっぱと、盛んに栽培されているナスを擬人化したオブジェが立っています。旅の思い出に、一緒に記念撮影をするのも楽しいでしょう。
芸西村や近くの市町村の常連さんはもちろん、県東部を訪れた観光客も多く立ち寄るかっぱ市。小ぢんまりとした直販所ながら、訪れる客は相当多いというので、商品がたくさん揃っている午前中の早い時間に訪ねるのがよさそうです。
〈上〉国道沿いに立つ琴ヶ浜かっぱ市。すぐ裏には松林が広がる 〈左下〉新鮮な農産物や魚はもちろん、惣菜や弁当、パン、クラフト類など幅広く販売 〈右下〉ピーマン1袋100円など、値段の安さにびっくり
店内の棚には、ハウス栽培による野菜や花をはじめ、近隣漁港に朝イチで水揚げされた鮮魚、さとうきびから作る昔ながらの黒糖、味のある手作り工芸品など、実にバラエティー豊かな商品が並んでいました。なかでも目を引かれたのは「ブルースター(ピュアブルー)」。
「ピュアブルー」は、水色の5枚の花びらが星のように見えることから名付けられた「ブルースター」という花を改良した、芸西村のオリジナル品種。店のスタッフにお聞きすると、国際園芸見本市で切り花部門の最優秀を受賞したことがある、まさに芸西村が世界に誇れる花なのだそうです。日持ちも良く、扱いやすいというので、早速購入。水色の可憐な花を愛でながら、いよいよ旅の大きな目的地である絶景レストランに向かいました。
〈上〉ブライダルなどで人気の高いピュアブルー。出荷の旬は9月~6月中旬 〈左下〉さとうきびから作る自家製の黒みつ550円。かっぱをモチーフにした瓶がかわいい 〈右下〉手づくり木工品のライトスタンド4000円。下記の「竹灯り」にも似た意匠が目を引く
目指すレストラン「SEAHOUSE」に到着すると、まさか?と目を疑いました。海を望む崖の上にガラス張りの建物が立っており、その先の部分が空中にぐっと突き出しているのです。いったい、店内からはどんな風景が眺められるのでしょうか。大いに期待しつつ、同時に少しドキドキしながら、店に入っていきました。
レストランは2階建てで、1階がインテリアを白で統一した座敷席、2階はシンプルでスタイリッシュなテーブル席になっています。ワイドな窓の外に広がる景色は、想像をはるかに超える絶景! 太平洋の大海原が文字通りの眼下に広がり、先ほどまでいた琴ヶ浜も遠望することができました。
〈左上〉浜から見たSEAHOUSE。崖の上から突き出ているのがわかる 〈左下〉ゆったり座ってくつろげる1階は、子ども連れなどに人気 〈右〉2階テーブル席からの素晴らしい眺望。奥にうっすらと室戸岬が見える
「海を見ながら仕事をするのは気持ちいいですね」と語るのはオープン当初からのスタッフ、西尾美保さん。「2階の一番奥の席がお客様に最も人気があります。晴れた日だけでなく、雨の日の海もまたきれいですよ。実は台風が近づいた時には、ものすごい風景が見られるんです。風でちょっと揺れますけど(笑)」と明かしてくれました。
訪ねた時間は、ちょうどお昼時。多彩なメニューのなかから、高知名物のしらす丼をオーダーしました。このしらすは、目の前に広がるこの海で獲れたのか……そう思うと、味わいもひとしおでした。
類まれな風景はもちろん、個性ある特産品やグルメを堪能できる芸西村の旅。ぜひ足を延ばして、まるごと楽しんでみませんか?
(2018年7月)
〈上〉「最近はスマホで料理と景色を一緒に撮影するお客様が多いですね」と話す西尾さん 〈左下〉メインとおかずを選べるランチセット1566円はボリュームたっぷり 〈右下〉スイーツやフルーツが盛りだくさんのデザートプレート842円
10月初め頃、芸西村で開催される個性的なイベントが「琴ヶ浜竹灯りの宵」。大小の穴が多数開けられた「竹灯り」を浜に並べ、ロウソクの火を灯します。すると、温かな色合いの光が穴から漏れ、暮れゆく浜が何ともいえない幻想的な雰囲気に。ジャズやゴスペルなどの演奏会や、竹灯り作りを体験できるワークショップなども楽しめます。
竹灯りと月の光、松林のライトアップの競演
350本に及ぶ竹灯りが琴ヶ浜を照らす
琴ヶ浜(ことがはま)
【電】0887-33-2114(芸西村企画振興課)【住】高知県芸西村和食甲452-1【交】高知自動車道南国ICから車で35分【料】【時】【休】周辺自由【P】25台
琴ヶ浜かっぱ市(ことがはまかっぱいち)
【電】0887-33-2990【住】高知県芸西村和食甲452-1【交】高知自動車道南国ICから車で35分【時】8時~16時【休】無休【P】41台
SEAHOUSE(しーはうす)
【電】0887-32-2880【住】高知県芸西村西分乙54-1【交】高知自動車道南国ICから車で30分【時】11時30分~19時30分LO(土・日曜、祝日は11~20時LO)【休】無休【P】30台
琴ヶ浜竹灯りの宵(ことがはまたけあかりのよい)
【電】0887-33-2114(芸西村企画振興課)【住】高知県芸西村和食甲【交】高知自動車道南国ICから車で35分【料】入場無料【時】開催日時:2018年は10月6日15時~20時30分(雨天の場合は10月13日順延) 【P】特設駐車場200台