江戸時代から受け継がれる加賀百万石の伝統美 石川県金沢市

江戸時代に加賀藩の城下町として栄え、現在では北陸屈指の観光都市として知られる金沢市。
「加賀百万石」と称されるほど広大な敷地を誇った加賀藩主・前田家は、藩内で積極的に
美術工芸を奨励したことから、金沢市には今もなお36種もの伝統工芸が受け継がれています。
現代に息づく伝統の技と美、そんな魅力を体感できる金沢のスポットをご紹介しましょう。

江戸時代から受け継がれる加賀百万石の伝統美 石川県金沢市

江戸時代に加賀藩の城下町として栄え、現在では北陸屈指の観光都市として知られる金沢市。「加賀百万石」と称されるほど広大な敷地を誇った加賀藩主・前田家は、藩内で積極的に美術工芸を奨励したことから、金沢市には今もなお36種もの伝統工芸が受け継がれています。現代に息づく伝統の技と美、そんな魅力を体感できる金沢のスポットをご紹介しましょう。

金沢城のお膝元で栄えた城下町を散策

金沢城のお膝元で栄えた城下町を散策

 金沢市には加賀百万石の栄華を築いた前田家ゆかりのスポットが数多く残っています。なかでも雅な風情を感じられると人気なのが「ひがし茶屋街」。文政3年(1820)に12代藩主・前田斉広が点在していたお茶屋を集めて茶屋街を開設したことが始まりとされ、江戸時代後期~明治時代初期の建物が立ち並んでいます。お茶屋を改装したおしゃれなカフェやショップに立ち寄りながら散策すれば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのよう。
 そしてもう一つ、金沢が誇る観光名所といえば「兼六園」。こちらは金沢城の外庭として、加賀藩5代藩主・前田綱紀以降、歴代藩主によって約180年もの長い歳月をかけて作庭されました。江戸時代の林泉回遊式庭園の特徴を今に伝えるこの庭は、国の特別名勝に指定されるとともに、水戸の偕楽園・岡山の後楽園と並ぶ日本三名園にも数えられています。

〈上〉国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているひがし茶屋街 〈左下〉兼六園のシンボル、徽軫灯籠(ことじとうろう)が立つ霞ヶ池。池の周辺を回遊しながら四季折々の景観を眺めよう 〈右下〉兼六園の向かいには金沢城公園があり、重要文化財の石川門などを見ることができる


金沢のアートスポットで伝統工芸にふれる

金沢のアートスポットで伝統工芸にふれる

 兼六園の南側に位置する百万石通りは、金沢21世紀美術館や石川県立美術館などが立つアートスポット。その一角にあるのが、金沢ならではの工芸品を数多く集めたショップ&ギャラリー「金沢・クラフト広坂」です。
 1階のショップでは、約20種の工芸品を展示販売。国の伝統工芸品に指定される「加賀繡(かがぬい)」から、現在では希少といわれる「二俣和紙」まで、幅広くラインナップしています。そのなかには、前田家に輿入れした徳川家康の孫・珠姫(たまひめ)が持参した手まりがルーツとされる「加賀てまり」や、武士たちが足腰の鍛錬のために行った鮎釣りから発展したという「加賀毛針」など、加賀藩ゆかりの工芸品も少なくありません。

〈上〉陽光射し込む店内には、魅力溢れる金沢の工芸品がいっぱい 〈左下〉作品はすべて職人の手仕事によるもの 〈右下〉加賀手まりは色も形もさまざま。ストラップとして使える姫手まり864円も人気

 金沢・クラフト広坂では、伝統の技を守りながらも、現代のライフスタイルに合わせた実用的なアイテムも数多く取り揃えています。たとえば「二俣和紙」は、もともと加賀藩に献上される公用紙として作られたものですが、現在ではレターセットやブックカバーなど多彩なアイテムを展開。「加賀友禅」の作家が手がけたアクセサリーや、着物の端布をアレンジした「加賀お細工物」は、見た目にも愛らしく、思わず自分用のみやげに欲しくなりました。
 また、2階にあるギャラリーでは、さまざまな工芸分野で活躍する現代作家たちによる企画展を年間20回以上開催。展示に合わせた実演や工芸体験が行われることもあるので、ぜひまた訪れてみたいと思いました。

〈上〉加賀友禅作家が描いたメモ紙432円、二俣和紙の一筆箋432円など 〈左下〉小さなお猪口に入った加賀お細工物の針刺し2484円~ 〈右下〉希少伝統工芸のめぼそ針(縫針)が入ったおはりこ2376円~は持ち運びにも便利


江戸時代から代々続く九谷焼の名窯元へ

江戸時代から代々続く九谷焼の名窯元へ

 百万石通りから西へ歩いて約10分。続いて訪れたのは、藩政時代の面影を色濃く残す長町武家屋敷界隈に店を構える、九谷焼の老舗窯元「鏑木商舗(かぶらきしょうほ)」です。約360年の歴史を有する九谷焼はその昔、廃窯の危機に瀕した時代もありましたが、文化3年(1806)、加賀藩が京都の名工・青木木米(あおきもくべい)を招いて再興。そうした気運の高まりを受けて、鏑木商舗は文政5年(1822)に九谷焼最初の商家として金沢で創業しました。
 和の趣溢れる店内では、人間国宝の作品からリーズナブルな普段使いの器まで、多彩な九谷焼を展示販売。なかでも南ドイツの老舗ガラスウエアメーカー「シュピゲラウ」とコラボした九谷焼のワイングラスは、日本の伝統工芸と洋式の美を融合したアイテムとして、世界中から注目を集めているそうです。

〈上〉店舗併設の工房でオリジナルの九谷焼を製作 〈左下〉RONA社のワイングラスに九谷焼のステム(脚)を用いた、酒グラス1万4000円(本体価格)~ 〈右下〉金沢九谷ミュウジアムでお気に入りの逸品を探そう

 九谷焼の数々をじっくり鑑賞してお気に入りを見つけたあとは、店内に設けられたカフェ・食事処「おいしいいっぷく鏑木」でひと休み。風情ある庭に面したカウンター席では、お抹茶や生麩ぜんざいなどの甘味を、九谷焼の器でいただくことができます。夜になれば、茶室を改築した和室や、季節のおばんざいが並ぶカウンターで食事を楽しむこともできるそうです。九谷焼のグラスに注がれた地酒やワインは、加賀野菜や日本海の幸にこだわったお料理と相性抜群だとか。
 鏑木商舗の本店のすぐ近くには、別館の「春日山窯木米庵」があり、現代作家とコラボしたオリジナルアイテムを豊富に取り揃えています。またJR金沢駅のショッピングモール・金沢百番街「あんと」にも直営店があるので、ぜひ旅の途中に立寄ってみてはいかがでしょうか。

 伝統を重んじながらも、時代に合わせて進化を続ける金沢の工芸品。そうした自由闊達な心意気もまた、加賀藩の時代から脈々と受け継がれているのかもしれません。
(2019年4月)

〈上〉お菓子付きの抹茶1000円。この日は九谷焼らしい花詰の抹茶碗で提供 〈左下〉庭を望むカウンター席は、2019年秋にリニューアル予定 〈右下〉「見て、触れて、味わって。多彩な角度から九谷焼を楽しんでください」と8代当主の鏑木基由さん

料亭金城樓のお食事券(ペア)

料亭金城樓のお食事券(ペア)

ひがし茶屋街の近くで営む「料亭金城樓」は、明治23年(1890)創業の老舗料亭旅館。加賀藩祖・前田利家の長女に婿入りした前田対馬守の子孫が住んでいた地に立っており、館内には加賀百万石の文化を受け継いだ雅な雰囲気が漂っています。ふるぽのお食事券では、郷土料理の鴨治部をはじめとした全8~9品の加賀懐石を、金沢らしいしつらえの部屋でゆったりと堪能することができます。四季折々の食材を吟味した料理はどれも、料理長が趣向を凝らした逸品揃いです。
※掲載の「お礼の品」は品切れや季節の都合で受付を終了・中止していることがあります。

〈左〉一品一品、手間ひまをかけた郷土の味を楽しんで 〈右〉格式ある料亭ならではの空間で美食のひと時を

SPOT LIST

兼六園(けんろくえん)

【電】076-234-3800【住】石川県金沢市兼六町1【交】JR金沢駅から北鉄バス11・12番系統などで20分、兼六園下・金沢城下車すぐ【料】入園310円【時】7~18時(10月16日~2月末日は8~17時)【休】無休【P】周辺有料駐車場を利用

ひがし茶屋街(ひがしちゃやがい)

【電】076-220-2194(金沢市観光政策課)【住】石川県金沢市東山【交】JR金沢駅から北鉄バス11・22番系統などで8分、橋場町下車、徒歩5分【料】【時】【休】散策自由【P】なし

金沢・クラフト広坂(かなざわ・くらふとひろさか)

【電】076-265-3320【住】金沢市広坂1-2-25(金沢能楽美術館内)【交】JR金沢駅から北鉄バス10・18番系統などで10分、広坂・21世紀美術館下車すぐ【時】10~18時【休】月曜(祝日の場合は翌日)【P】なし

鏑木商舗(かぶらきしょうほ)

【電】076-221-6666【住】石川県金沢市長町1-3-16【交】JR金沢駅から北鉄バス10・18番系統などで10分、香林坊下車、徒歩5分【時】9~22時(日・月曜は~18時)【休】不定休【P】2台

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