着物が普段着であった時代は遠く過ぎ、現代ではハレの日の特別な衣装として受け継がれている着物。特別な日の装いを担う着物だからこそ、確かな品質と想いが込もった品を身につけて、非日常を味わう晴れ着にしてほしいのだと池部さんは語ります。そして、今回は丹後ちりめんの側面からご紹介した丹後半島ですが、古墳の時代から脈々と続く歴史、絹織物と共に生まれた養蚕に由来する独自の神事、豊かな海と田畑によって育まれた食文化、そして日本三景にも名前入りする通りの海を中心とした名勝の数々。見どころは、織物産地としての側面だけに留まりません。
晴れ着の着物を身にまとって、見どころの詰まった丹後半島へ旅に来て、非日常を楽しめる機会が増えますように。この町だからこそ表現できる日本文化と、それを支える丹後ちりめんの技術を永く継承していきたい。「だから、もっともっと、気軽に着物を来て楽しんでもらえる体験の場も増やしていきたいんです」と語る池部さんの眼差しは、自分が心から良いと思うものを広めたいと願う好奇心に満ちていました。