国宝天守を望む、心落ち着くロケーション
水際まで枝を伸ばす松。陽の光を受けて真っ白に輝く櫓(やぐら)。後方に高くそびえる天守。江戸時代、1604年から約20年の歳月をかけて天下普請(幕府が大名に命じて行わせた土木工事)によって完成し、彦根藩の拠点が置かれていた彦根城です。中堀に沿って並ぶ「土佐松」は、かつては47本植えられていたことから“いろは文字”にちなんで「いろは松」と呼ばれます。
水面の左側には桜、右側にはいろは松が映り、歴史ファンならずとも心がすっと落ち着く美しい情景です。天守と多門櫓を真正面に捉えるこの最高のロケーションに立つのが、上質なくつろぎを提案するホテル「彦根キャッスル リゾート&スパ」です。
彦根城下町に溶け込むリゾートホテル
彦根城にもっとも近いホテル・彦根キャッスル リゾート&スパの客室は全部で52室。井伊家35万石の城下町として発展した彦根の町並みに溶け込む5階建ての造りになっています。
姫路城、松本城、犬山城、松江城とならび国宝に指定されている彦根城天守までは、散策しながら歩いても15分。ホテルからお堀に沿って南西へ歩けば、白壁と黒格子に統一され、江戸時代の情緒が感じられる「夢京橋キャッスルロード」までも10分とかかりません。
1階にはロビーやレストラン、2階には大浴場とエステ&リラクゼーションサロン「 NaturalSPA さらさ」があり、3階から5階に客室が配置されています。そのなかでも、時間によって表情を変えるキャッスルビューを思う存分堪能できるのが、4室用意されているスーペリアツインルームです。
チェックアウトぎりぎりまで過ごしたくなる客室
45平米を超える広々としたスーペリアツインルームには、シモンズ社のセミダブルベッドが2台。リビングスペースには、ゆったりと腰掛けて城を眺められるロッキングチェアが備えられています。また、あたたかなオレンジ色の炎が美しい暖炉もあり、寒い日には換気窓を少し開けて冷たい風を頬に感じながら暖をとることもできます。
客室の壁に飾られたアート作品にも、土地ならではのこだわりがあります。漆塗りに金粉をあしらった作品は仏壇職人の手によるもの。彦根市では、徳川の時代から始まったと言われる仏壇の生産が盛んで、彦根仏壇は仏壇仏具の業界で初めて伝統工芸品に指定されたのだそう。その漆塗りや蒔絵の技法を駆使した作品は、上質なスーペリアツインルームのインテリアにさりげなく彩りを与えています。
窓の外では、夕刻になれば天守がライトアップされ、暗闇に浮かび上がります。歴史ロマンを感じながら、揺らぐ暖炉の炎を時折見つめれば、より一層のリラックス効果が期待できそうです。
窓の向こうはまるで絵画のよう
こちらはスーペリアツインルームのなかでも最上階の特別室に設けられた“ビューバス”です。バスタブは、メイド・イン・ジャパンのブランドJAXON社製。日本人デザイナーが、お風呂を楽しむ日本古来の文化を新たなデザインで提案しています。
なめらかなバスタブの曲線の向こうに桜と竹の緑が茂り、石垣と天守がのぞく眺望は、のぼせるのも忘れて見ほれてしまうほどの素晴らしいものです。(※1室のみ春から秋にかけて天守閣が見えない客室もあります)3階のスーペリアツインルームのお風呂は半露天風呂になっているので、眺望に加えて心地よい風を感じながらの入浴が楽しめそうです。
彦根を拠点にした旅プランを練って
彦根キャッスル リゾート&スパに宿泊する人のなかには、「お城は客室から堪能できたから」と天守には登らない人も多いのだそうです。でも、実は城内を歩いてみなければわからない魅力がたくさんあります。
たとえば、天守のデザイン。3層で一見こぢんまりとしていますが、近づいてみると多様な飾り屋根や花頭窓が美しく、全体を威厳あふれる姿に引き立てています。また、内部には鉄砲狭間や矢狭間といった防御機能が備わり、上層の窓から琵琶湖のきらめく水面と有人島の沖島が見渡せます。黒門と本丸をつなぐ山道脇には、高さ約20メートルの石垣がそそり立ち、これも圧巻です。
「国宝・彦根城築城400年祭」のキャラクターとして生まれた「ひこにゃん」が毎日欠かさず登場するのも彦根城の城域です。ひこにゃんにひと目会えば、その愛嬌にとりこになってしまうかもしれません。
静寂のなか、湯船から見上げる天守
さて、彦根キャッスル リゾート&スパでは、客室のお風呂のほかに大浴場「城見の湯」でも湯浴みを楽しむことができます。洗い場と浴槽のあるスペースがドアできっちり隔てられているのは、浴槽に浸かったら水音に邪魔されず静かに眺めを楽しんでほしいという願いから。早朝は6時から開いているので、朝風呂で1日の始まりを気持ちよく迎えることもできます。
滋賀県随一のお花見スポットを発見
お風呂上がりに立ち寄りたいのが、同じ階の、開放感あふれる「城見のテラス」です。ライブラリーラウンジで好きなドリンクを選び、広々としたテラスに出て、中堀を泳ぐウやカモ、サギを観察してみるのも風情があります。暗くなるとかがり火が灯され、雰囲気は一気にロマンチックになります。ご覧の通り、春になれば桜があでやかに咲き誇り、彦根の誇る絶好の夜桜スポットに。天守と淡い色の桜がそれぞれライトアップされて浮かび上がるさまは幻想的です。
一方、秋の紅葉を楽しむなら、彦根城域の東側に広がる池泉回遊式庭園「玄宮園(げんきゅうえん)」に足を伸ばすのがおすすめです。4代藩主井伊直興(なおおき)によって造園された下屋敷の庭園で、広大な池に天守と赤く色付いたモミジが映り込むさまは、例えようもなく優美です。
近江牛を館内着でいただく、ぜいたくな時間
旅先では、四季折々の自然の恵みを目だけでなく舌でも楽しみたいですよね。彦根キャッスル リゾート&スパの魅力を「旅館とホテルのいいとこ取りができるところ」と説明するのは、副支配人の三浦弘行さん。入浴後の食事はぜひ館内着でリラックスして食べてほしいと言います。
宿泊券利用時の夕食は「近江ダイニング橘菖(きっしょう)」での会席料理か「近江牛鉄板焼鳳凰(ほうおう)」の鉄板焼から選択可能。会席料理なら目にも鮮やかな近江野菜に、伊勢海老の炭火焼きなどの季節ごとの和食、さらに近江牛のお料理がいただけます。鉄板焼では、鉄板シェフが迫力満点のフランベで霜降り近江牛のステーキを目の前で仕上げ、フランス料理の技が結集したオリジナルソースとともに提供してくれます。
過剰なサービスや派手な演出ではなく、ゆったりと流れる上質な時間を味わいたい。そんな大人の休日には彦根キャッスル リゾート&スパがぴったりです。圧倒的な大自然から受けるパワーとはひと味違い、人の手で築かれ、歴史が刻まれた城を客室から眺めていると不思議なほどに穏やかな気持ちになり、エネルギーがみなぎってくるのです。